一人ひとりと向き合いながら看護ができる老人ホームの看護師に惹かれているけど、給料面での不安があり、転職に踏み切れない方もいるでしょう。
この記事では、老人ホーム別の看護師の給料や老人ホームでの看護師の仕事などを中心に解説しています。
老人ホームでの仕事が向いている看護師の特徴についても紹介していますので、転職の際の判断材料にしていただけると幸いです。
この記事でわかること
- 老人ホーム別の看護師の平均給料
- 老人ホームでの看護師の仕事
- 老人ホームでの仕事が向いている看護師の特徴
こんな人におすすめの記事です
- 施設看護師の平均給料が知りたい方
- 老人ホームの仕事に興味のある看護師
【老人ホーム別】看護師の平均給料
厚生労働省が公表した「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均給料は、338,400円でした。
老人ホームの看護師の給料を、平均と比較しながらみていきましょう。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は、在宅復帰を目的とし、身体機能の維持・改善を目標に、リハビリテーションを行う施設です。「老健」とも呼ばれます。
基本的には、65歳以上かつ要介護度1以上の方が対象ですが、厚生労働省が指定する特定疾病に罹患している40~64歳の要介護度1以上の方も、入所できる場合があります。
老健の看護師の給料は、以下の通りです。
雇用形態 月収
(看護師/准看護師)手取り
(看護師/准看護師)常勤 448,962円/382,799円 約359,170円/約306,239円 非常勤 362,987円/334,143円 約290,390円/約267,314円
看護師が老健で働く場合には、基本的に夜勤業務が含まれます。
そのため、他の介護施設と比較すると、平均月収が高めであることが特徴です。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは「特養」とも呼ばれ、65歳以上かつ要介護度3以上の要介護者が対象の施設です。
ただし、老健同様に、特定疾病を罹患している40~64歳以上かつ要介護度3以上の方が、入所できる場合もあります。
ほかにも、特例として、認知症や精神疾患に罹患している要介護1~2の方も入所できる施設もあります。
特養の看護師の給料は、以下の通りです。
雇用形態 月収
(看護師/准看護師)手取り
(看護師/准看護師)常勤 422,652円/382,542円 約338,122円/約306,034円 非常勤 375,894円/349,664円 約300,715円/約279,731円
特養は、要介護3以上の医療的ケアを要する方が入居しているため、看護師の給料も比較的高めです。
しかし、特養の看護師は基本的に夜勤がないため、老健と比較すると給料が安くなります。
また、夜勤はないですが、オンコール制度があることを覚えておきましょう。
オンコールとは、利用者が急変した場合などに夜勤をしている介護士が、看護師に電話で指示を仰ぐことで、場合によっては夜中に施設へ行くこともあります。
オンコールを担う看護師には、毎月5,000円程度のオンコール手当が支給されます。
さらに、オンコール1回ごとに、1,000~3,000円程度の手当が支給される施設が多いです。
有料老人ホーム
有料老人ホームは、生活支援や身体介護などの介護サービスを提供する施設です。
有料老人ホームには、以下の3種類があり、それぞれ入所対象者が異なります。
施設 | 入所対象者 |
---|---|
健康型 | 60歳以上かつ自立 |
住宅型 | 65歳以上かつ自立~要介護者 |
介護付き | 一般型:60歳以上かつ自立 |
混合型:60歳以上かつ自立~要介護者 | |
介護型:60歳以上かつ要介護度1以上 |
有料老人ホームの看護師の給料は、以下の通りです。
雇用形態 月収
(看護師/准看護師)手取り
(看護師/准看護師)常勤 427,972円/375,933円 約342,378円/約300,746円 非常勤 375,101円/342,629円 約300,081円/約274,103円
ただし、有料老人ホームは民間運営の施設のため、料金も安いところから、1,000万円以上の入居費がかかる施設までさまざまです。
費用の高い高級有料老人ホームの場合には、その分職員に還元されることもあります。その場合には、上記の給料よりも高くなるでしょう。
グループホーム
グループホームは、認知症の方が少人数で共同生活を送ることを目的とした施設です。
グループホームは、65歳以上かつ要支援2以上で、医師から認知症の診断を受けた方が対象となります。
さらに、厚生労働省が公表している特定疾病の中には、若年性認知症も含まれており、要支援2以上かつ40~64歳の方も、入所可能となる場合があります。
グループホームの看護師の給料は、以下の通りです。
雇用形態 月収
(看護師/准看護師)手取り
(看護師/准看護師)常勤 397,661円/319,635円 約318,129円/約255,708円 非常勤 339,533円/299,425円 約271,626円/約239,540円
グループホームでの業務は、日常生活支援や健康管理が中心で、医療行為はほとんど行われません。
高度なスキルを必要とせず、一般的には夜勤もないため、平均月収は低めです。
ただし、グループホームも、オンコール体制をとっている施設が多いため、次に紹介するデイサービスと比較すると、平均月収が高くなっています。
デイサービス
デイサービスは、要介護1以上の在宅で生活している高齢者が、日帰りで介護サービスを受けられる通所型の介護施設のことです。
デイサービスの看護師の給料は、以下の通りです。
雇用形態 月収(看護師/准看護師) 手取り(看護師/准看護師) 常勤 354,319円/326,620円 約283,455円/約261,296円 非常勤 327,058円/291,242円 約261,646円/約232,994円
デイサービスは、基本的に日中のみ運営している施設のため、夜勤やオンコール制度はありません。
したがって、手当が支給されず、その分介護施設の中でも特に給料が安くなっています。
また、中にはボーナスが支給されない施設もあるため、平均月収よりも給料が下がる可能性もあります。
介護施設看護師の給料は病院と比較すると安い
令和2年度介護事業経営実態調査結果によると、介護療養型医療施設(病院)の看護師の給料は、以下の通りになります。
雇用形態 月収
(看護師/准看護師)手取り
(看護師/准看護師)常勤 437,297円/370,201円 約349,838円/約296,161円 非常勤 358,567円/315,847円 約286,854円/約252,678円
施設看護師と病院看護師の平均月収を比較すると、施設看護師の給料のほうが安い場合がほとんどですが、必ずしもそうとは言い切れません。
たとえば、介護療養型医療施設と老健の看護師の平均月収を比較すると、老健の看護師の給料のほうが高いです。
ただし、常勤の病院看護師は、ほとんどの場合夜勤業務があるため、夜勤手当がつきます。
一方で、施設看護師の場合は、常勤であっても必ず夜勤業務があるわけではありません。
病院看護師の夜勤業務は、5~6回が平均ですが、人員不足などによって、8~10回になることもあります。
夜勤手当は、1回につき5,000~10,000円程度の支給になるため、夜勤回数が増えれば、その分給料も上がります。
施設看護師の給料は今後上がる?
過去3年間の施設看護師の給料を見てみると、常勤・非常勤ともに、上昇していることがわかります。
常勤の年収 | 非常勤の年収 | |
---|---|---|
平成31年 | 447万7,440円 | 294万8,640円 |
令和2年 | 456万1,800円 | 301万8,720円 |
また、2022年10月からは、看護師の給料をアップするための政策として、「看護職員処遇改善評価料」が開始されました。
この制度は、救急センターなどで働く看護師を対象としたものですので、施設看護師は対象にはなりません。
しかし、今後、施設看護師を対象とした給料アップの政策が開始される可能性も考えられます。
老人ホームでの看護師の仕事
老人ホームでの看護師の主な仕事内容は、「日常業務」と「緊急時対応」の2種類になります。
日常業務とは、利用者を看護の面からサポートしていくことです。
具体的には、バイタルチェックや、経管栄養などの医療行為、食事・入浴介助などの介護業務を指します。
介護業務は、基本的には介護士の仕事ですが、誤嚥しやすい方の食事介助などは、看護師の仕事となります。
緊急時対応とは、利用者に体調の変化が見られた場合に対応することです。
具体的には、転倒や意識レベル低下、誤嚥性肺炎発症時の応急処置や、入退院のサポート、看取り対応などが挙げられます。
施設によっては、ご家族への説明を看護師が担うこともあります。
老人ホームでの仕事が向いている看護師の特徴
老人ホームでの仕事が向いているのは、以下のような看護師になります。
- 一人ひとりと長く関わりたい
- チームで看護をしていきたい
- ワークライフバランスを大切にしたい
- 看取りやターミナルケアに関心がある
療養病棟や精神科病棟などでない限り、基本的に病院は、日単位や週単位での退院を求められます。
一方、老人ホームの場合には、年単位の長期入居が可能な場合も多く、その分ひとり一人と長く関わることができます。
利用者一人ひとりとゆっくり関わっていきたい方には、老人ホームでの仕事がおすすめです。
また、老人ホームは利用者の生活の場であるため、より良い生活を送ってもらうために、介護士やケアマネージャーなど、他職種とのチームプレイでの業務となります。
利用者のために、ディスカッションを重ねながら、仕事をしていきたい方は、老人ホームでの仕事にやりがいを感じやすいでしょう。
ほかにも、残業が少なく、基本的には夜勤もないため、ワークライフバランスを大切にしたい方にも、働きやすいといえます。
特養などの場合、看取り対応やターミナルケアを行っている施設も多いです。
看護師が老人ホームで働くために求められるスキル
老人ホームで働く看護師に求められるもっとも重要なスキルは「普段との違いに気付ける観察力」です。
利用者の中には、認知症の方や寝たきりの方も多く、自身の体調の変化を訴えられないことも多いです。そのため、普段の様子と異なる僅かな変化も見逃してはいけません。
褥瘡の処置や高齢者に多い皮膚疾患の対処法など、高齢者看護に対する知識も必要ですが、それは、働きながら学んでいくことができます。
高齢者が好きで、普段との違いに気が付けるよう、利用者とコミュニケーションを積極的にとっていける方を老人ホームは求めていることが多いです。
そのためには、介護業務にも積極的に携わっていく必要があります。
また、病院の場合は、医師からの指示を受け、看護師がメインで動くというのが一般的ですが、老人ホームの場合は介護士がメインになります。
介護士が気が付いた利用者の変化などに耳を傾け、ケアマネージャーなどの他職種に伝えていけるコミュニケーション能力も必要です。
老人ホームの看護師は求人倍率が高い
老人ホームの看護師の人員配置基準は、あまり多くありません。
また、夜勤や残業がない場合が多く、病院の看護師と比較してワークライフバランスを保ちやすいことから、老人ホームの看護師を辞める方は少ないです。
したがって、求人倍率が高く、条件の良い老人ホームの場合には、求人を募集していないことも多いです。
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