介護福祉士実務者研修とは?カリキュラムの内容や費用など詳しく解説
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介護福祉士実務者研修とは?カリキュラムの内容や費用など詳しく解説

介護福祉士実務者研修は、介護福祉士国家試験を受験する際に、受講と修了が必須となる研修です。

スキルアップや給与アップにもつながるため、介護業界で働いていくためにはぜひ受講してほしい資格です。

この記事では、介護福祉士実務者研修の内容や費用、メリットなどについて説明していきます。多くの方が間違えやすい「初任者研修」との違いについても解説していますので、正しく理解して受講に臨みましょう。

この記事でわかること

  • 介護福祉士実務者研修の内容や費用
  • 実務者研修と初任者研修の違い

    こんな人におすすめの記事です

    • 介護福祉士実務者研修を受けたい方
    • 介護福祉士実務者研修のメリットを知りたい方
    目次

    介護福祉士実務者研修とは?

    介護福祉士実務者研修とは?

    介護福祉士実務者研修とは、安定して質の高い介護を提供するために、「基本的な介護提供能力の修得」を目的とした研修です。

    2017年より「実務者研修の受講と修了」が、介護福祉士国家試験要件のひとつとして義務化され、介護福祉士国家試験を受けるために必須となりました。

    実務者研修は、以前実施されていた「ホームヘルパー(訪問介護員)養成研修1~3級」と「介護職員基礎研修」を1本化した資格として位置づけられています。

    さらに、実務者研修は「介護福祉士養成校」の到達目標と同じ水準で行われており、高い技術と知識を修得できる資格です。

    介護福祉士実務者研修の内容

    介護福祉士実務者研修の内容は、大きく以下の4つに分類されます。

    • 人間と社会
    • 介護
    • こころとからだのしくみ
    • 医療的ケア

    このうち「医療的ケア」は実技、ほかの3つは座学となります。

    介護福祉士実務者研修の内容は、科目にすると20科目、時間にすると450時間です。

    受講科目と時間に関しては、以下の表を参考にしてください。

    科目名 受講時間
    人間の尊厳と自立 5時間
    社会の理解Ⅰ 5時間
    社会の理解Ⅱ 30時間
    介護の基本Ⅰ 10時間
    介護の基本Ⅱ 20時間
    コミュニケーション技術 20時間
    生活支援技術Ⅰ 20時間
    生活支援技術Ⅱ 30時間
    介護過程Ⅰ 20時間
    介護過程Ⅱ 25時間
    介護過程Ⅲ 45時間
    発達と老化の理解Ⅰ 10時間
    発達と老化の理解Ⅱ 20時間
    認知症の理解Ⅰ 10時間
    認知症の理解Ⅱ 20時間
    障害の理解Ⅰ 10時間
    障害の理解Ⅱ 20時間
    こころとからだのしくみⅠ 20時間
    こころとからだのしくみⅡ 60時間
    医療的ケア 50時間
    合計 450時間

    引用︰厚生労働省 実務者研修における「他研修等の修了認定」の留意点について

    ただし、医療的ケアに関しては、50時間の講義とは別に演習を修了しなければなりません。

    有資格者は免除になる科目がある

    介護福祉士実務者研修の内容は、「介護職員初任者研修」「訪問介護員研修1~3級」「介護職員基礎研修」などと重複する科目があります。

    そのため、有資格者に関しては免除となる科目があるため、介護関連の資格を有している方は事前に確認しておくとよいでしょう。

    詳しくは以下の表を参考にしてください。

    介護職員初任者研修 訪問介護員研修1級 訪問介護員研修2級 訪問介護員研修3級 介護職員基礎研修 その他全国研修
    人間の尊厳と自立
    社会の理解Ⅰ
    社会の理解Ⅱ
    介護の基本Ⅰ
    介護の基本Ⅱ
    コミュニケーション技術
    生活支援技術Ⅰ
    生活支援技術Ⅱ
    介護過程Ⅰ
    介護過程Ⅱ
    介護過程Ⅲ
    発達と老化の理解Ⅰ
    発達と老化の理解Ⅱ
    認知症の理解Ⅰ 認知症実務者研修
    認知症の理解Ⅱ 認知症実務者研修
    障害の理解Ⅰ
    障害の理解Ⅱ
    こころとからだのしくみⅠ
    こころとからだのしくみⅡ
    医療的ケア 喀痰吸引等研修
    合計時間 320時間 95時間 320時間 420時間 50時間

    引用︰厚生労働省 実務者研修における「他研修等の修了認定」の留意点について

    また、看護師の資格を有している方は、医療的ケアが免除となる場合があるため、担当スタッフに確認してみましょう。

    介護福祉士実務者研修の受講要件

    介護福祉士実務者研修の受講要件はありません、誰でも受講することが特徴です。

    しかし、介護福祉士実務者研修は、初任者研修レベルの知識や技術が身についていることが前提の研修です。

    そのため、未経験や無資格の方は、先に初任者研修を受けてから実務者研修を受けることをおすすめします。

    介護福祉士実務者研修の取得にかかる費用

    介護福祉士実務者研修の取得にかかる資格別の費用は以下になります。

    保有資格 費用
    無資格 7~20万円
    初任者研修 6~16万円
    ヘルパー2級 6~16万円
    ヘルパー1級 5~10万円
    介護職員基礎研修 3~5万円

    介護福祉士実務者研修にかかる費用は、保有している資格や、研修を行っている施設によってさまざまです。

    有資格者は、免除となる科目があるため、無資格者よりも安くなる傾向にあります。

    また、施設によっては、割引制度を設けている場合もあるため、確認してみると良いでしょう。

    詳しい金額を知りたい場合には、厚生労働省が公表している「実務者養成施設指定一覧」を参考に、施設に問い合わせてみてください。

    また、ハローワークの「求職者支援制度」を利用すると、無料もしくは通常よりも安く実務者研修を受講できる場合があります。

    ハローワークで求職している方は、一度問い合わせてみると良いでしょう。

    実務者研修と初任者研修の違い

    実務者研修と間違われやすいのが「初任者研修」になります。

    初任者研修とは、介護の基本的な知識や技術を学ぶための研修で、以前のホームヘルパー2級に位置づけられます。

    実務者研修の受講と修了は、介護福祉士国家試験の受験要件のひとつです。

    一方、初任者研修は介護福祉士国家試験の受験要件とはなりません。つまり、初任者研修を受講・修了しても、介護福祉士国家試験は受けられないため注意しましょう。

    そのほか、実務者研修と初任者研修の主な違いは以下の通りです。

    実務者研修 初任者研修
    受講科目と時間 20科目/450時間 9科目/130時間
    試験の有無 基本的にはなし カリキュラム修了後に、「修了試験の実施義務」がある
    医療的ケアの有無 なし あり
    研修修了後の資格 540日(3年)以上の実務経験後に、サービス提供責任者として働ける サービス提供責任者としてすぐに働ける
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    介護福祉士実務者研修を受けるメリット5つ

    介護福祉士実務者研修を受けるメリット5つ

    介護福祉実務者研修を受けるメリットには、以下の5つがあります。

    • 給与アップにつながる
    • 介護福祉士国家試験が受験できる
    • スキルアップにつながる
    • サービス提供責任者を目指せる
    • 転職の幅が広がる

    それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

    給与アップにつながる

    介護業界では、特定の資格に対し資格手当を支給している場合が多く、介護福祉士実務者研修の受講・修了が手当の対象となっている施設もあります。

    また、実務者研修を受講・修了すれば、介護福祉士国家試験を受けられるため、さらに給与アップを図ることが可能です。

    介護施設の中には、役職につくために介護福祉士の資格が必須となっているところもあります。役職につければ役職手当もつくため、さらなる給与アップが目指せるでしょう。

    「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、実際に資格を有しているかどうかで給与にも大きな違いがあることがわかります。

    資格の種類 給与
    無資格 271,260円
    介護職員初任者研修 300,510円
    介護福祉士実務者研修 307,330円
    介護福祉士 328,720円

    引用:厚生労働省 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(187ページ)

    介護業界での給与アップを目指す方は、資格取得を検討すると良いでしょう。

    介護福祉士国家試験が受験できる

    実務者研修は、介護福祉士国家試験を受験するうえで必須になります。

    介護福祉士は、介護関連で唯一の国家資格です。

    実際に介護福祉士国家試験の受験資格には、実務者研修の受講・修了のほかに、3年以上の実務経験があります。

    そのため、いますぐに取得するわけではなくても、今後も介護業界で勤務していく予定であれば、先のことを見据えて取得しておくのも良いでしょう。

    介護福祉士国家試験の試験に合わせるのであれば、無資格者は5月、初任者研修修了者は9月ごろから実務者研修を受けると良いです。

    実務者研修修了までには、無資格者の場合は約半年、初任者研修修了者は約2か月かかるため、計画的に実務者研修を受け始めましょう。

    ただし、介護福祉士国家試験の受験申込日までに実務者研修を修了していない場合でも、「実務者研修修了見込証明書」を発行してもらうことで、試験の受講が可能です。

    実務者研修修了見込証明書には提出期限があり、今年度であれば、令和5年4月3日までに試験センターに提出しなければなりません。

    期限を過ぎてしまうと無効となるため、注意しましょう。

    スキルアップにつながる

    実務者研修では、「喀痰吸引」や「経管栄養」といった医療的ケアについても学びます。

    実際に現場で喀痰吸引や経管栄養を実施するには、実務者研修修了後、実地試験を受けなければなりません。

    実務者研修を修了すればすぐに実施できるわけではありませんが、医療的ケアに関する知識が身に付くため、確実にスキルアップにつながります。

    サービス提供責任者を目指せる

    サービス提供責任者とは、提供する訪問介護サービスの責任者で、「サ責」とも呼ばれます。実務者研修を修了していれば、サービス提供責任者になることが可能です。

    サービス提供責任者は、訪問看護事業所への配置が義務付けられています。

    しかし、実務者研修を修了していない人がサービス提供責任者として訪問看護事業所へと配置されていると、介護報酬が減額されてしまいます。

    そのため、実務者研修を修了していると、サービス提供責任者として訪問看護事業所へ転職する際に非常に有利です。

    また、サービス提供責任者の主な仕事内容は、利用者のケアマネージャーやホームヘルパーとのマネジメント業務です。

    介護士としての仕事とは異なるため、業務の幅も広がるでしょう。

    転職の幅が広がる

    実務者研修の修了は、介護士としての専門的な知識・技術を修得していることの証明となります。

    そのため、未経験や無資格の方よりも優遇して採用してもらえる場合が多く、転職の幅が広がります。

    介護福祉士実務者研修は働きながらでも取得できる!

    介護福祉士実務者研修は、介護業界で働いていくうえで重要となる研修のひとつです。

    介護業界で働いていくうちに、研修を希望する方も多いでしょう。

    実務者研修を実施している施設の中には、働きながら研修を受講できるよう、夜間開設しているところもあります。

    また、受講日に休みを調整してくれたり、勤務日内に受講できるよう調整してくれる職場もあります。

    介護福祉士実務者研修を受講して、給与アップやスキルアップにつなげましょう。

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    監修者

    【保有資格】
    ・社会福祉士

    【経歴】
    ・医療ソーシャルワーカー約5年
    ・介護専門のキャリアアドバイザー約4年
    ・株式会社SOYOKAZE(旧 株式会社ユニマットリタイアメントコミュニティ)経営企画室約4年
    ・株式会社SOYOKAZE Staff Company(旧 株式会社ユニマットスタッフカンパニー)取締役社長約3年

    医療ソーシャルワーカー時代に都内有数の急性期病院で約5年、約1,000名の介護相談支援を行い高齢者福祉業務に従事。その後、介護専門のキャリアアドバイザーとして4年間で累計約1,000名の介護職希望者のキャリア面談を行う。
    介護業界有数の施設を持つ 株式会社SOYOKAZE にて経営企画に従事したのち、株式会社SOYOKAZE Staff Company の社長に就任。

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