介護士の夜勤と聞くと、「しんどい」「きつい」というイメージを持つ方も多いです。
特に、介護職を経験したことがない方は、生活が不規則になることや、勤務体制に不安を感じるでしょう。
そんな不安を解消するためには、まずは介護士の夜勤の実際を詳しく知ることが重要です。
夜勤を担当する介護士の仕事内容や待遇を知る中で、介護士の夜勤には悪いことばかりでなく、魅力的なメリットがあることにも気づけるでしょう。
この記事では、介護士の夜勤について、仕事内容やメリット、デメリットについて解説します。
この記事でわかること
- 介護職の夜勤の仕事内容
- 介護職の夜勤のメリット・デメリット
こんな人におすすめの記事です
- 介護士への転職を検討している方
- 介護職の夜勤の仕事内容について詳しく知りたい方
介護士の夜勤の特徴
まず、介護士の夜勤について知る上で、夜勤の勤務時間や、夜勤を担当する回数について理解する必要があります。
ここで解説する働き方は、全国の平均や、一般的な事業所の例なので、実際に転職活動をする際には、応募先の事業所に確認するようにしましょう。
夜勤時間は2交代制と3交代制で異なる
介護事業所の多くは、2交代制と3交代制の勤務体制をとっている場合がほとんどです。
特に夜勤のある介護施設では、2交代制をとっている施設が87.6%と多くなっています。
参考:「2021年介護施設夜勤実態調査」
それぞれの勤務体制での介護士の勤務時間はだいたい以下のようになります。
業務時間 | |
---|---|
2交代制 | 日勤:8:00〜17:00 |
夜勤:16:00〜10:00 | |
3交代制 | 早番:7:00〜16:00 |
遅番:14:00〜22:00 | |
夜勤:21:00〜翌7:00 |
2交代制の職場では、夜勤の勤務時間が16時間と、長くなることになります。
3交代制の職場では、夜勤の勤務時間は8時間程度になることが多いです。
月の夜勤回数には制限がない
実は、介護施設における夜勤の回数は、法的には上限が定められていません。
そのため、月に夜勤を担当する回数は、それぞれの施設によって異なります。
とはいえ、労働基準法による勤務時間の規定や、介護士の体力にも限りがあります。
これらを加味したうえで、介護施設の多くは月に4〜5回ほどの夜勤回数になっています。
夜勤の回数が増えるほど、体力も必要になり、生活リズムの乱れも大きくなることが考えられます。
就職活動の際には、応募先の施設に確認しましょう。
介護士の夜勤の仕事内容
介護士の夜勤のスケジュールは職場によって異なりますが、ここでは2交代制の勤務のタイムスケジュールの例を紹介します。
時間 | 業務内容 |
---|---|
16:00 | 業務開始・業務の引き継ぎ |
18:00 | 夕食の食事介助 |
20:00 | 就寝前のサポート(排泄介助等) |
22:00〜 | 夜間の見守り・安否確認 |
6:00 | 起床時のサポート(排泄介助等) |
8:00 | 朝食の食事介助 |
10:00 | 業務引き継ぎ・業務終了 |
それぞれの業務について以下で詳しく解説します。
食事介助・排泄介助
基本的には日勤と同じように食事前の準備を含めた食事介助や排泄介助を行う必要があります。
ただし、日勤と異なる点として、夜勤は基本的に1人体制になる場合が多くなります。
そのため、1人でスムーズに対応できるスキルを備えていることが大切です。
夜間の見守り・安否確認
夜勤の介護士は、利用者が就寝した後の見回りで安否確認を行います。
体調の不安定な方や夜間徘徊のある方を受け入れる場合もあり、緊急時の対応が必要になる場合もあります。
冷静に対応するために、各職場における緊急時の対応を確認しておくと良いでしょう。
就寝・起床時のサポート
介護施設を利用される方の中には、自分で体勢を変えられない方や、更衣が困難な方もいます。
就寝時、起床時には動作の介助だけでなく、身体の状態確認や、清潔な環境作りなどが求められます。
記録・業務の引き継ぎ
2交代制の場合は、夜勤の勤務開始時に、日勤の介護士から利用者の体調や様子を申し受けます。
同様に、翌朝になると日勤の介護士が出勤するため、夜間での利用者の様子を申し送ります。
記録については、夜間の見回りの間の時間に書く場合が多いようです。
介護士の夜勤のメリット
介護士の夜勤は、夜間の長時間の勤務になることや、1人での業務になることなど、不安に感じる部分も多いです。
しかし、夜勤ならではの大きなメリットもたくさんあります。
ここでは以下の4つを紹介します。
- 収入が増える
- 求人の選択肢が増える
- 自分のペースで仕事ができる
- 日中の時間を自由に使える
上記に関してそれぞれ解説します。
収入が増える
夜勤は1回につき平均6,000円ほどの夜勤手当がつきます。月に5回の夜勤があるとすると、約3万円の月給アップになります。
求人の選択肢が増える
介護施設からすると、夜勤ができる介護士の方が魅力的な人材です。介護士としてのキャリアアップを考えているなら、スキルアップにもなるので、夜勤を経験することは重要になるでしょう。
自分のペースで仕事ができる
夜間は1人体制や少人数で業務に当たる場合がほとんどです。そのため、大人数での業務体制が苦手な方にとっては、働きやすいと感じるかもしれません。
日中の時間を自由に使える
夜勤明けとその翌日は休みを取る施設が多いです。そのため、家庭や自分の趣味に日中の時間を使いたい方には大きなメリットになります。
介護士の夜勤のデメリット・注意点
介護士の夜勤が「きつい」「しんどい」と言われるように、デメリットになりうるポイントもあります。
ここでは以下の2つを紹介します。
- 生活リズムが乱れる
- 緊急の対応が必要
日勤と夜勤を兼ねる場合には、生活リズムが不規則になる可能性があります。体調管理には特に注意が必要な働き方といえます。
また、夜勤は1人体制で働くケースも多く、急な体調不良や場合によっては救急対応なども必要になります。実際に、慣れない対応を1人で取ることに不安を感じる方も多いようです。
介護士の夜勤の給料
ここでは、夜勤のある介護サービスの常勤正社員の平均月給を紹介します。
施設の種類 | 月給 |
---|---|
介護老人福祉施設 | 345,590円 |
介護老人保健施設 | 338,390円 |
介護医療型医療施設 | 287,070円 |
介護医療院 | 307,550円 |
特定施設入所者生活介護事業所 | 319,706円 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 289,520円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 297,460円 |
夜勤を含む事業所の平均 | 312,183円 |
日勤のみの事業所の平均 | 288,380円 |
上記の表から、夜勤を含む事業所は夜勤手当などの影響もあって収入が多くなる傾向があるとわかります。
介護士の夜勤の働き方
日勤と兼務の介護士の場合は月に4〜5回程度の夜勤が一般的です。
介護士の働き方には、日勤と夜勤の兼務という通常の働き方以外にも、以下のような選択肢があります。
夜勤専従
夜勤専従とは言葉の通り、夜勤のみで働く方法です。
夜勤専従のメリットとしては
- 夜勤手当によって、同じ勤務時間でも日勤より給料が高くなる
- 夜勤のみなので、生活リズムが一定になる
などが挙げられます。
しかし、昼夜逆転しやすく、日中の家族や友人との予定が合わせづらくなるデメリットもあります。
もし今以上に収入を上げる必要がある場合には、夜勤専従の施設と別の日勤の事業所を掛け持ちする方法もあります。
自分の体力と相談し、体調管理を十分にしながら働き方を考えましょう。
準夜勤
準夜勤とは、16:00〜深夜1:00などの時間帯に働く勤務形態です。
準夜勤は、深夜に勤務が終了し、休養を取ることができるため、夜勤と比べると生活リズムの乱れや疲労が溜まりにくいメリットがあります。
逆に注意点やデメリットとしては、準夜勤後の翌朝に日勤を担当する場合があることや、深夜の通勤に公共交通機関が使えないことが挙げられます。
夜勤のメリット・デメリットを理解して介護士としての働き方を検討しよう!
介護士の夜勤は、「きつい」「しんどい」と言われることが多い働き方です。
たしかに、夜勤には注意点やデメリットになる部分もありますが、夜勤にしかない大きなメリットもたくさんあります。
夜勤の中にもさまざまな時間帯の勤務形態があり、あなたにあった働き方も見つかるかもしれません。
メリットやデメリットをよく理解した上で、収入アップやキャリアアップのためにも介護士としての働き方を、改めてよく検討しましょう!
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