介護支援専門員とケアマネージャーの違いはある?介護支援専門員って何をする仕事なの?

介護支援専門員という職種名と、ケアマネージャーという職種名を耳にしたことがある方は多いでしょう。

この二つの職種は一体何が違うのか疑問に思ったことはありませんか?

実のところ、介護支援専門員とケアマネージャーは同じ資格です。

表記が異なるだけで仕事の内容や受験資格などは全く同じとなります。求人での書かれ方や、職場での呼ばれ方は次のものが多いです。

  • 介護支援専門員
  • ケアマネージャー
  • ケアマネジャー
  • ケアマネ
  • CM

職場では特に「ケアマネ」「ケアマネさん」とよく呼ばれているようです。記録を付けるときやちょっとしたメモではCMと略して書く方もいますね。

厚生労働省では介護支援専門員は「ケアマネジャー」と表記されているため、カタカナで記載する際は「ケアマネジャー」が正しい表記となります。

ケアマネジャーは英語表記で「care manager」となりますが、みなさんが仕事や部活でよく耳にするカタカナ英語である「マネージャー」と発音する方が多いのでしょう。

この記事でわかること

  • 介護支援専門員(ケアマネージャー)の仕事内容
  • 介護支援専門員(ケアマネージャー)として働くために必要なこと
こんな人におすすめの記事です

  • 介護支援専門員(ケアマネージャー)の仕事を知りたい方
  • 介護支援専門員(ケアマネージャー)になりたい方

この記事ではケアマネの基本的な仕事についてや試験について説明します。

ケアマネについて詳しく知りたいと思っている方、将来ケアマネを目指したい方は必見です。

目次

介護支援専門員(ケアマネージャー)とは

介護支援専門員(ケアマネージャー)とは、要介護者や要支援者の人の相談や心身の状況に応じるとともに、サービス(訪問介護、デイサービスなど)を受けられるようにケアプラン(介護サービス等の提供についての計画)の作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う者とされています。

また、要介護者や要支援者の人が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識・技術を有するものとして介護支援専門員証の交付を受けた者とされています。

つまり、介護が必要な方の状況にあった介護サービスなどを提供するために、ひとりひとりにあったプランを作成する専門職ということになります。
日本の介護サービスは、このプランを元にして提供されるため、介護サービスを受ける方には必ず担当のケアマネージャーが付いているという仕組みになっています。

介護支援専門員の仕事内容

ケアマネの仕事のメインはケアプラン(介護サービス計画書)の作成になります。
しかしケアプランを作成するには、ただデスクワークをしていればいいというわけではありません。
一連の流れとしては図のように進んでいきます。

利用者の介護度や希望を確認(アセスメント)しながら、利用者に対して必要なサービスの種類や使用頻度を選択し、組み合わせてケアプランを作成します。作成したケアプランにそって各種サービス(ホームヘルプやデイサービス等)の利用調整を行います。

その後、サービス担当者会議が開かれます。この会議には、主に、ケアマネージャー、医者、介護関連のスタッフ、サービス提供責任者、利用者さんとその家族などが参加し、よりよいサービスの提供に向けて情報共有や意見交換を行います。
この会議にて利用者さんの同意が得られると、ケアプランが確定となりサービス提供がはじまります。

サービス提供の開始後は、利用者の状態や生活状況によって必要とするサービスは変化する可能性があるためモニタリングを行います。
当初のケアプラン通りでいいのか、それとも変更したほうがいいのかを確認していきます。変更が必要な場合は、ケアプランの見直しを行います。

介護支援専門員が働く場所

介護支援専門員が働く場所は大きく分けて2つあります。

居宅介護支援事業所

要介護者や要支援者の人の相談を受け、ケアプランを作成します。
居宅サービス事業者等(訪問介護、デイサービス等)との連絡調整や、入所を必要とする場合の介護保険施設への紹介などを行います。

施設サービスを行う場所

施設等のサービスを利用している利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援するため、解決すべき課題の把握等を行った上で、施設サービス計画等を作成します。

参考:厚生労働省 介護支援専門員概要資料

利用者が自宅で生活をしている場合、利用するサービスは「居宅サービス」となります。そのため居宅サービスを利用するためのケアプランが必要です。

一方で、介護施設で暮らす利用者は施設の中でどのようなサービスを利用するのかについてのケアプランが必要です。

特別養護老人ホームや介護老人保健施設、特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホームなど)、グループホームなどでは、施設で働くケアマネが施設サービス計画を作成し、施設内の介護職員や看護職員等がサービスを提供します。

その他、介護支援専門員が働く場所として、地域包括支援センターや病院、小規模多機能型居宅介護、自治体の役所をはじめとした行政機関などがあります。

介護支援専門員の役割

介護支援専門員は、ケアプランの作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行います。利用者ひとりひとりに最適な介護サービスを提供するために、マネジメントをすることが仕事といってもいいでしょう。

「最適」というのは利用者やその家族の希望を全て叶えることではありません。
家族が希望をしても利用者が希望をしていなかったり、利用者が希望していなくても、介護度や環境を考えると必要なサービスがあったりということもあります。希望しているサービスの利用調整がつかないなんてこともあるでしょう。

ケアマネージャーは、利用者とその家族、介護職員をはじめとした福祉関係者、医療従事者、行政担当者など幅広い人たちとかかわりを持ち、介護保険サービスを提供する上で中心的な存在となります。

利用者の状況や環境が異なる中で、その方がその方らしく、自立した生活ができるようにケアプランを考えるのがケアマネージャーの役割です。

介護支援専門員(ケアマネージャー)になるには

試験を受験する

介護支援専門員になるには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要があります。
合格後は実務研修を受け、各都道府県の介護支援専門員名緒に登録することで資格が取得できます。
参考:職場情報提供サイトjobtag 介護支援専門員/ケアマネジャー

受験資格*は、指定の法的資格(介護福祉士、医師、看護師等)を持ち、対人援助業務の経験が5年以上かつ従事した日数が900日以上であること、あるいは特定の福祉施設、介護施設、障害者施設での相談援助業務の経験が5年以上かつ従事した日数が900日以上であることなどがあります。

一定の資格や実務経験が必要になるため、すぐに取得できる資格とはいえません。
それほどまでに、ケアプランの作成は専門的な知識や経験が必要となる仕事であり、介護サービスを提供する上での要になっているといえるでしょう。

*各都道府県の介護支援専門員実務研修受講試験担当課にて公開されています。
詳細はお住まいの地域の担当課の掲示をご確認下さい。
担当課一覧:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター

合格したらずっと介護支援専門員を名乗れる?

介護支援専門員の資格は更新制となっており、5年ごとに更新が必要な研修を受け、申請手続きを行う必要があります。

ケアマネージャーは専門的な視点や最新の知識を必要とする職種であるため、定期的に研修を受ける仕組みとなっているのです。

更新をしないで介護支援専門員の仕事をしてしまうと、資格の登録を抹消される可能性もあります。
資格が失効している介護支援専門員が就業している事業所では、人員基準を満たさずにサービス提供をすることにもなってしまうでしょう。

介護支援専門員として継続して働いていくためには、更新研修を忘れずに受講しましょう。

ケアマネージャーに相談できること

ケアマネージャーに相談ができることは次の通りです

 

自身や家族に介護サービスが必要かどうかの相談

 

市区町村の介護保険担当課や地域包括支援センターには介護支援専門員が在籍しています

 

自身や家族についての介護サービス計画(ケアプラン)の作成や見直し

 

希望するサービスや介護にかかわる困りごとはケアマネージャーに相談しましょう。

 

介護サービス提供業者・施設との連絡調整

 

新しいサービスを利用するとき、サービスの利用回数を変更するときなどはケアマネージャーを通して相談ができます。

 

要介護認定の際の訪問調査(市町村からの委託による)

 

新しいサービスを利用するとき、サービスの利用回数を変更するときなどはケアマネージャーを通して相談ができます。

ケアマネージャーには、介護サービスに関わる相談をすることができます。介護サービスは利用者の生活に密接に関わるため、ついつい介護サービスに関連しない相談までしたくなることもあるでしょう。

例えば、「家族が〇〇(介護サービス以外の内容)はやめろっていうけど、どうしよう」「今かかっている病院の評判が良くなくて変えたいけどどう思う?」「仕事の介護の両立ができない。どうしよう」などなど……。介護サービスに関係がないこと、あるいは相談する窓口が違うこともあります。

担当のケアマネージャーでも「なんでも」答えられるわけではありません。
信頼して相談したくなる気持ちが生まれるのも分かりますが、相談をする前に相談相手が本当にあっているか確認しておきましょう。

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主任介護支援専門員と介護支援専門員は何が違う

主任介護支援専門員とは

主任介護支援専門員は介護支援専門員の上位資格です。

主任介護支援専門員研修を受講することで取得できる資格ですが、次のような受験要件があります。

受験要件【介護⽀援専⾨員資質向上事業実施要綱(平成26年7⽉4⽇ ⽼発0704第2号 厚⽣労働省⽼健局⻑通知)】
介護⽀援専⾨員更新研修修了者であって、以下の①から④のいずれかに該当する者
① 専任の介護⽀援専⾨員として従事した期間が通算して5年(60ヶ⽉)以上である者(管理者との兼務期間も算定可能)
② ケアマネジメントリーダー養成研修修了者⼜は⽇本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネジャーであって、
専任の介護⽀援専⾨員として従事した期間が通算して3年(36ヶ⽉)以上である者(管理者との兼務期間も算定可能)
③ 主任介護⽀援専⾨員に準ずる者として、現に地域包括⽀援センターに配置されている者
④ その他、介護⽀援専⾨員の業務に関し⼗分な知識と経験を有する者であり、都道府県が適当と認める者
※ その他、質の⾼い研修を実施する観点から、都道府県において上記要件以外の要件を設定することも可能。
主任介護支援専門員の概要より引用

主任介護支援専門員は、ケアマネジメントの質を高めるために介護支援専門員の教育をしたり、居宅介護支援事業所に所属するケアマネのマネジメントを行う立場となります。そのため介護支援専門員としての経験が必須なのでしょう。

介護支援専門員に不満がある

利用者やその家族としてケアマネに不満を抱いたり、介護サービスを利用者さんに提供する立場としてケアマネにむかついた経験がある方もいると思います。

利用者やご家族であれば希望がケアプランに通らなかったり、利用したい事業所が使えなかったということがあるでしょう。介護職などは、提供しているサービスを利用者さんは望んでいなかった、利用者についての情報共有が不十分だった、施設ケアマネが全く介護をしないなどの理由があると思います。

ケアマネはケアプランを作成するにあたって、利用者本人とご家族など関係のある人、利用できる事業所の調整を行います。多くの人やサービスが関わると、どうしても取捨選択をしなくてはいけない状況が生まれたり、専門的な視点から必要なサービスを見極める必要があります。

ケアマネも、決していじわるをしたくて希望を聞いていないのではありません。介護サービスの専門家として多角的な視点を持ってケアプランを作成しているため、時にはケアプランに希望や意見を反映できない場合もあるのです。

もちろん利用者は自身のケアプランですから、ご自身の希望や不安は担当のケアマネージャーに相談をしましょう。
また、利用者の現状を一番知っているのは現場で介護サービスを提供している職員です。利用者の状態の変化で気になることがあれば、遠慮せずにケアマネや相談員に伝えていきましょう。

まとめ

介護支援専門員の仕事についてや資格の取得方法について解説をしてきました。

介護支援専門員はケアマネジャー(ケアマネージャー)とも言い、現場では「ケアマネ」「ケアマネさん」と呼ばれている職種です。

介護サービスを提供するための計画書「ケアプラン」を作成するという、大切な役割を担っているため専門性も非常に高い仕事です。

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監修者

【保有資格】
・社会福祉主事任用

【職歴】
・知的障害者施設 支援員 : 約3年
・介護・福祉のキャリアアドバイザー : 約3年
・介護求人サイト「カイゴLINK」サポート業務 : 約2年

【経歴】
知的障害者入居施設にて支援員として勤務し、直接介護や支援に携わる。
サービス管理責任者と共に個別支援計画の作成やアセスメントの実施を行う。
福祉業界での従事者である経験を活かし、全国に福祉サービスを展開する株式会社SOYOKAZE(旧 株式会社ユニマットリタイアメントコミュニティ)の子会社である株式会社SOYOKAZE Staff Company(旧 株式会社ユニマットスタッフカンパニー)キャリアアドバイザーとして従事。

キャリアアドバイザー時代は3年間の累計約2,600名を超える介護・福祉に関わる職種へ就業を希望される方を対象に、希望されるキャリアアップのための就業先提案やアドバイスを行う。
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