介護士が目指す道の一つにケアマネジャー(介護支援専門員)があることをみなさんはご存じでしょうか?
ケアマネジャーとは、要介護者や要支援者の人の相談や心身の状況に応じて、介護サービスを提供するための「ケアプラン」を作成したり、各種サービスや施設との連絡調整をする担当者です。
利用者への直接介護ではなく相談支援が主な業務となるため、介護技術以外にも援助に関する専門知識や技術を持っていることが求められます。
介護職よりも給与額が高く設定されている求人の多いケアマネジャーですが、実際にはどれほど給与が変わるのでしょうか。この記事では、ケアマネジャーの給与や仕事について説明します。
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介護支援専門員(ケアマネジャー)の給与額
介護支援専門員(ケアマネジャー)の仕事内容
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介護支援専門員(ケアマネジャー)になって給与を上げたい方
介護支援専門員(ケアマネジャー)を目指すか悩んでいる方
ケアマネの平均給与、月収37万6770円
令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護支援専門員(ケアマネジャー)の平均給与額は376,770円です。
介護職と比較すると給与額におよそ4万円~11万,0円の差(※)があります。
※保有資格なしと介護福祉士の平均給与額より算出
ケアマネの給与額が介護サービスで働く職種の中では高給与であることは明確です。
では、想定年収や手取り額への換算をし、給与額を詳細に確認していきましょう。
ケアマネの平均給与と手取り額
まずは、ケアマネジャーと介護職の平均月給を比較してみましょう。
年収は月給の12ヶ月分で計算をしています。実際は賞与額が含まれる事業所もありますのであくまでも目安の金額として参考にして下さい。
どの種別においても、介護支援専門員の方が給与が高くなっていることが分かります。
給与が高い理由として、資格手当が付いている、施設ケアマネとして就業している、介護リーダー等で活躍している等が考えられます。
次に手取り金額を確認してみましょう。
おおよその手取り金額は総支給額の75~85%となるため、月収と年収の75~85%の金額を算出しています。
手取りの金額の算出は、個人の前年度の収入や扶養家族の有無等によっても異なりますが、最高で月々35万円近くの金額が手元に残る給与額となるようです。
現在の給与額と比較し、ご自身の手取りの金額の方が低いと感じた方もいるかもしれません。
その中でケアマネジャーへの転職を検討している方や、ケアマネジャーとして現在就業している方は、他の求人を確認してみてはいかがでしょうか?
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給与は今後あがるのか?
ケアマネジャーの給与は今後あがる可能性があります。
令和6年度介護報酬改定において、介護職員以外の賃上げも可能となるよう基本報酬に配分することが決定しているからです。
介護職員に対する処遇改善加算の内容も変更となり賃上げが想定されていることから、介護職の賃上げと共にケアマネジャーを含むその他職種の賃上げを検討する事業所も増加するのではないかと推測します。
基本報酬の見直し
概要
○ 改定率については、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に行いつつ、サービス毎の経営状況の違いも踏まえたメリハリのある対応を行うことで、全体で+ 1.59%を確保。そのうち、介護職員の処遇改善分+0.98%、その他の改定率として、賃上げ税制を活用しつつ、介護職員以外の処遇改善を実現できる水準として+ 0.61%。○ これを踏まえて、介護職員以外の賃上げが可能となるよう、各サービスの経営状況にも配慮しつつ+ 0.61%の改定財源について、基本報酬に配分する。
居宅支援事業所における特定事業所加算の見直しや、介護予防支援を行う場合の取り扱いについても改定が入っています。
参照:厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について 居宅介護支援・介護予防支援 基本報酬
同時にケアマネジャー一人あたりの担当できる件数も下記の通り変更となっています。
指定居宅介護支援事業所において指定居宅介護支援の提供を受ける利用者数が当該指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員1人当たり45名未満(居宅介護支援費(Ⅱ)を算定している場合は50名未満)であること。
加算によって報酬は増える見込みですが、事業所によってはケアマネの担当件数が増えることでしょう。
給与は上がるが、仕事も比例して忙しくなるという可能性も考えられます。
転職を考えている方は、仕事内容と見合った給与額が設定されているのか、ワークライフバランスなどを踏まえて検討するといいでしょう。
ケアマネ資格は廃止される?
ケアマネの仕事と資格
介護支援専門員(ケアマネジャー)とは、要介護者や要支援者の人の相談を受け、心身の状況を判断しつつ、介護サービスを受けられるようにケアプランの作成を行う仕事です。
また、ケアプランに基づく介護サービスの利用のため、市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行うことも仕事の一つです。
介護支援専門員になるには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要があります。
合格後は実務研修を受け、各都道府県の介護支援専門員名緒に登録することで資格が取得できます。
ケアマネジャーの資格は、介護支援専門員要介護者や要支援者の人が自立した日常生活を過ごすために必要な援助を提供するために専門知識や技術を持っていることを証明するものになります。
主任ケアマネと給与額
主任ケアマネジャーの給与額について公的なデータはありませんが、ケアマネジャーの月収・年収より高い給与の可能性は高いです。
まず主任ケアマネジャーはケアマネジャーとして従事した期間が5年(60ヶ月)以上であることなど受験要件が細かに定められています。
これは、主任ケアマネジャーがケアマネジャーの育成等マネジメントをする立場の職種となるためです。
名前にも「主任」とつくとおり管理職の側面が強くなる資格です。
その資格を保有し、かつ、管理職のポジションとして就業する場合、ケアマネジャーと比較して給与が高く設定されることは当然のことでしょう。
令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果によれば、居宅介護支援事業所以外のサービスでも主任ケアマネジャー資格を取得していることを理由に給与等の引き上げを行っている事業所もあるようです。
ケアマネの本音
仕事に給与が見合っていないと感じる
私がキャリアアドバイザーを経験していた際、ケアマネジャーとして転職を検討されていた方からも、介護職でケアマネジャーを目指している方からも、「できるケアマネ」と「できないケアマネ」がいるという話を耳にしたことがあります。
仕事のできるできないと判断は個人の価値観によるところではあります。
「できるケアマネ」と言われている方は、担当件数が多くて忙しかったり、利用者からも「この担当ケアマネさんじゃないと嫌だ」というように希望をされたりする印象があります。
利用者から求められるということは、利用者や家族の相談に寄り添い、希望するサービスの提供ができているということでしょう。
利用者の希望をくみ取るには、利用者の要介護度や要支援の状況を知っている必要があります。
また、コミュニケーションから情報を拾い上げる能力も必要になります。
ケアプランが適切かどうかを判断するには関係者各所に連絡や調整をしたり、利用しているサービスの相談員や介護職へ利用者の状況を確認したりといった情報収集も大切な仕事です。
これらの仕事は、ケアマネジャー自身が「やろう」と思えばできますが、「このくらいで充分か」と思えば見て見ぬふりができてしまう仕事でもあります。
また、明確な正解や終わりというものが無いため、利用者や家族のためを考え、ケアマネジャーとして動けば動くほど、業務時間内に行う仕事も増えていきます。
気づけば給与額以上の働きをしているように感じるという経験のある方がいるかもしれません。
ケアプラン作成を一人で担当する負担が大きい
事業所によってはケアマネジャーが一人だけという場合もあります。
事業所としては報酬のために、担当件数は持てるだけ持ってほしいというのが本音です。
モニタリングやケアプラン更新の時期が被っている利用者の多い月などは、特に忙しくなるようです。
仕事内容と自身のキャパシティ、その上で支払われる給与のバランスを考えて就業先を選ぶことをおすすめします。
現場介護職の方が稼げることも・・・
給与額と仕事内容のバランスとしてどちらを優先するのかというのは、個人の価値観によるものが大きいでしょう。
実際にケアマネジャーを経験した結果、夜勤のある介護職として働くことを選択した求職者にお会いしたこともあります。
その方は、利用者や家族の話を聞いてプランを立てるよりも、現場で利用者さんと何気ない話をして介護職として直接支援をすることが自分に向いていると気が付いたと話されていました。
相談を聞いたり連絡調整をすることがストレスに感じてしまったとも仰っていました。ケアマネジャーは利用者と家族であったり、利用者とサービスであったり、何かと板挟みになることも多いようです。
結果として、私がお会いした求職者は、介護福祉士も保有していることから介護職として勤務をすることを選択し転職をしました。
夜勤を多めに勤務する条件であったり、資格手当が付いたり、介護職のリーダーをして役職手当がついたりなどすると、ケアマネジャーの給与と大きな差が無くなることもあるようです。
やりがいを取るか、給与をとるか
ケアマネジャーは、介護技術以外にも援助に関する専門知識や技術を持つ職種です。
その技術や知識を活かして、地域や施設で生活する高齢者を介護サービスの視点から支援することが求められます
仕事内容や責任感などを考えた時に、給与が見合わないと感じる方もいるでしょう。
地域で生活する要支援者・要介護者へは居宅サービスを利用して必要な支援をケアプランに入れて計画を立てます。
しかし、介護サービスそのものを受け入れたくないという方もいらっしゃったり、ご家族の協力を頂ける状況じゃなかったりということがあります。
介護サービス自体は利用するが、ご自身の介護度の状況を理解されてない場合もあるでしょう。
それによって、利用者や家族との話し合いが難航することも。
利用がスタートしてからも、利用者の希望にそぐわなかったり、サービスに行くこと自体を拒否する方もいらっしゃいます。
施設サービスの利用については、施設内で提供している介護や食事が本人が本当にしたいことなのかと問われると難しい問題です。
施設という制限のある生活の中であっても、介護サービスの提供だけでなく、利用者がその人らしく生活できるようなケアプランを立てることが理想でしょう。
ケアマネジャーを経験していると、困難事例を担当するタイミングもあるはずです。
思い通りにいかなかったり、多くある問題をひとつずつ解決していく必要があったりと、問題解決のために頭を悩ませることも。
担当利用者と関わる機会が多い分、直接感謝を伝えられたり、利用者がその方らしく生活している姿を目にしたりと、やりがいを強く感じる機会も多い職種です。
大変な仕事もありますが、それらはご自身の経験や成長にも必ず繋がっていくものとポジティブに捉えていきましょう。
ケアマネとして働くことに悩んだときは相談を
担当する仕事の内容が給与に見合っていないと思い、転職を考える方も居るはずです。
自分は介護業界でどのような仕事をしたいのか、やりがいと給与のどちらに重きをおいているのかを見極めることが大切です。
キャリアプランや希望がはっきりと分からない方がいるのは当然です。
そんなときは転職の専門家キャリアアドバイザーに相談してみるのも一つの方法です。
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まとめ
介護士として働いている方は、ケアマネジャーに転職すれば給与がアップすることは間違いありません。
しかし、ケアマネジャーの仕事は介護士の仕事とは内容が大幅に異なります。
介護士もケアマネジャーも利用者に介護サービスを提供するというベースは同じです。
しかし、利用者が生活しやすいような計画を立てるプランナーになるのか、そのプランを実行する介護士になるのかでは、仕事で悩むポイントや抱えるストレスも異なることでしょう。
ケアマネジャーへの転職を考えている方は、自分が介護に携わる職種としてどちらの仕事を行いたいのかをはっきりさましょう。
その仕事に就くうえで給与額が仕事内容に見合っているのかどうかの確認などが転職のポイントになることでしょう。