未経験でケアマネへの転職は難しい、失敗するのではないかと思っている方もいるでしょう。
ケアマネが専門性の高い仕事であるというイメージが強かったり、身近なケアマネが忙しそうにしていたりということが影響しているかもしれません。
結論から言うと、ケアマネは未経験の方でも転職しやすいです。
ケアマネージャーは人手不足といわれており、求人募集は頻繁にされているためです。
しかし介護職と比較すると、求人件数や募集人数も相対的に少ないこと、経験者優遇の求人や主任ケアマネの募集が目につくことも事実です。
この記事では、ケアマネージャー未経験でも応募ができる求人の探し方のコツを解説します。
ケアマネージャーに転職したい方はご覧下さい。
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)の転職について
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)に必要なスキルについて
- 未経験で介護支援専門員(ケアマネージャー)の求人に応募したい方
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)の求人について知りたい方
未経験でケアマネへの転職は厳しい?
未経験のケアマネを募集している事業所は多い
未経験のケアマネージャーが応募できる求人は多くあります。
なぜならケアマネージャーは深刻な人手不足だからです。
職業情報提供サイトjobtagによると、ケアマネージャーの有効求人倍率は4.8倍(令和4年度)となっています。
平成30年度からケアマネージャーの受験資格が変更となったことが影響しています。
ケアマネージャーの試験を受けるには、指定の国家資格に基づく業務及び施設等において必置とされている相談援助業務に、5年以上かつ900日以上の実務経験が必要です。
これにより受験資格を持っている介護職や相談員が減ったことや、介護支援専門員を目指すハードルが高いと感じてしまう介護職が多くなったことが1番の理由でしょう。
実際に平成30年度で一度受験者数が大幅に減少しています。
以降、増加の傾向にはありますが受験資格改定以前と比べると受験者数は半分以下になっています。
深刻なケアマネ不足に悩んでいる介護事業所も多く、私も「ケアマネの応募が全くない」と採用担当者に相談を受けたことがあります。
未経験者であっても、ケアマネを志し資格を取得した方であれば積極的に採用したいと考えている事業所もあります。
未経験だと厳しいと思わず、求人に応募してみることをおすすめします。
もし不安がある場合は、応募前に求人に関する質問ができるカイゴLINKがおすすめです。
経験者と新人、どちらが採用される?
同じ求人なら経験者の方が採用率が高いのではと思う方が多いでしょう。
しかし、実際は経験の有無が必ず採否に関係するとは言えません。
例えば、後身育成のために未経験のケアマネや、これからケアマネを目指す方を募集する求人があります。
事業所の方針によって、経験者はこれまでの仕事に固執してしまうことを懸念し、未経験者をイチから教育していきたいと考える場合もあるようです。
即戦力を募集している求人では経験者が採用される可能性が高くはなりますが、前職でどのような働き方をしていたのかや、自身の長所をアピールすることでチャンスはあります。
特に、相談員やグループホームでの計画作成担当の経験がある場合は、自身の強みとして積極的に伝えていきましょう。
40代・50代の未経験ケアマネも転職可能!
令和4年度の介護労働実態調査結果でも、介護支援専門員は40歳以上55歳未満を合わせると全体の43.6%と半数に近い割合を占めていることが分かります。
また介護支援専門員として就業している方の平均年齢は51.6歳と、介護職員の44.2歳よりも高いことが分かります。
そもそも介護支援専門員の受験資格から考えると、無資格未経験から介護職として入職した場合は受験ができるまで最短で約8年必要です。
30代~40代から介護を始めた場合、介護支援専門員を取得するころには40代~50代近くなりますよね。
ですから、40代・50代の未経験ケアマネは珍しいことではありません。
重要なのは年齢ではありません。
介護支援専門員としての知識が身に付いていること、新しい仕事を覚える積極性があり、そのための努力ができる人材であることが、ケアマネを目指すために必要なことでしょう。
参照
職業情報提供サイトjobtag 施設介護員
職業情報提供サイトjobtag 介護支援専門員/ケアマネジャー
未経験でも抑えておきたいケアマネに必要なスキル
未経験のケアマネが求人に応募する場合、ケアマネとしての実績をアピールすることはできません。
しかし、ケアマネに必要なスキルを自分は持っているということを伝えることはできますよね。
ここでは、ケアマネ未経験でも抑えておきたいスキルを紹介します。
マネジメントスキル
ケアマネ業務を滞りなく進めるためには、マネジメントスキルが重要です。
居宅ケアマネの場合は最大44名、施設ケアマネの場合は最大100名の利用者のケアプランを一人で作成することになります。
担当人数分のケアプランの作成、モニタリング、各所への連絡調整などの仕事を行うため、スケジュール管理が非常に重要になります。
これまでの仕事でのマネジメント経験や、どのような工夫をして仕事を円滑に進めていたのかを伝えることでアピールになるでしょう。
参照
令和6年度介護報酬改定における決定事項について 介護支援員1人当たりの取り扱い件数(基準)
指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)における主な人員配置基準
介護療養型医療施設及び介護医療院
介護療養型医療施設及び介護医療院
コミュニケーションスキル
ケアマネの主な仕事はケアプランの作成とモニタリングになります。そのどちらも、利用者や家族、利用する介護サービスの職員などとコミュニケーションが不可欠です。
ケアマネには利用者や家族から希望を聞きとる力、それを伝える力が大切です。
ニーズをくみ取るためには、ケアマネと利用者の間に信頼関係を築く必要もあるでしょう。
また、モニタリングの際には、担当する利用者が利用しているサービスの生活相談員や介護職に状況を確認する場合もあります。
介護職や相談員として経験をしてきた方は、利用者や家族とコミュニケーションをとり、信頼関係を築いてきたはずです。
ケアマネとして働く場合も同様にコミュニケーションができるのだということを、具体的なエピソードとして伝えられるといいでしょう。
一緒に働く他職種と協力して行事を成功させた、利用者の支援を考えて実施したというような実績もアピールになりますよ。
介護保険の知識と介護士の視点
ケアマネの資格を保有しているということは、介護保険に関する知識が身についていることが前提です。
それにプラスして、これまでの仕事で介護保険に関わる業務(計画作成、請求業務など)を行ったり、介護福祉士を取得している場合は積極的にアピールしましょう。
試験勉強で頭に入れた知識なのか、実際に仕事で使ってきた知識なのかというのは大きな差になります。
介護の現場を知っているという経験も、ケアマネには必要です。
サービスの現場感を知っていることは、利用者にも安心感を与えてくれるでしょう。
基本的なパソコンスキル
ケアマネの仕事はパソコンで行うものが多いです。
ケアプランの作成、アセスメントシートやモニタリングシートの作成など書類作成の業務はパソコンを使用して作成されます。
毎月の請求業務を行う場合もあるでしょう。その際は、専用のソフトを利用するのが一般的です。
パソコンスキルはケアマネにとって最低限必要なスキルと言えるでしょう。
新人ケアマネの困った体験談
未経験で働き始めたけれど、こんなことが大変だった・・・という話を耳にしたことはみなさんもあるかもしれません。
せっかく就職できた事業所から転職まで考えてしまうような、大変な出来事もあるようです。
困ったときどうしたらいいのかのアドバイスと共にご紹介します。
担当(ケアプラン)の引継ぎが大変
未経験ケアマネの場合新しく担当を持つのではなく、既にケアプランが作成されている利用者の引継ぎから仕事に慣れていくケースもあります。
ほとんどの場合、前担当者からスムーズに引継ぎが行われます。
しかし、中には前担当者と自分が比べられることもあるでしょう。
利用者から「前の担当のほうがよかった」と言われては、ショックを受けてしまいますよね。
しかし引継ぎを行った時点で、前担当者との間に信頼関係が築かれているのは当たり前のことです。
自分が利用者の担当なのだという気持ちを強く持って、積極的にコミュニケーションを取り自分との信頼関係を築き上げていきましょう。
担当利用者について分からないことがあれば、前担当者への確認や今までの記録を見直すことを心がけましょう。
利用者や家族とトラブルが発生
仕事をしていると、自分では思っていないところでミスが起きたりトラブルが発生したりする可能性がありますよね。
ケアマネは一人で多くの担当を抱える可能性が高いです。
モニタリングの時期が重複して多忙になることもあるでしょう。
限られた時間で対応をしようと思うと、利用者の話をゆっくり聞けなかったり、連絡が漏れてしまったりということもありえます。
トラブルが起きないように仕事をすることが大前提ですが、自分が原因でミスが起きてしまうこともあれば、思いもよらないところからクレームに発展することもあり得ます。
未経験ではどのようなことがトラブルに繋がりかねないのか、判断することが難しいかもしれません。
ケアプランや利用者について少しでも気になることがあれば、すぐに周りの職員に相談するよう心がけましょう。
先輩ケアマネが実はいなかった
入職をしたはいいが、先輩のケアマネが休職していた、退職直前で有給消化期間だったという話もあります。
一時的に施設長がケアマネを兼任しているため、教育に取れる時間が少なく質問も気軽にできないということもあるようです。
未経験の場合、すぐに質問や確認ができる先輩職員が居ないと不安になりますよね。
教育担当が忙しい場合は質問をするタイミングが限られる可能性が高いです。
質問をする際に、優先順位を付けて確認をするように心がけましょう。
また一度聞いたことは、あとから確認ができるようメモを取るようにしましょう。
訪問や外出のスケジュールが集中してへとへと
ケアマネの仕事に慣れるまでは、スケジュールの立て方に試行錯誤するようです。
モニタリングの時期が重なることもあるようで、利用者や介護サービス側の都合などによっては、一日で複数の用事をこなす必要があり、終日外出で仕事が終わってしまったなんてことも。
一日の時間の使い方に慣れるまでは、日々のスケジュールに追われてしまって苦労することが多いようです。
先輩からスケジュールの仕方を聞いて参考にする、仕事内容の優先順位を見極めて取り組むといった工夫をしてみましょう。
未経験ケアマネが応募するべき求人
未経験のケアマネが応募できる求人はありますが、慎重に選ぶことをお勧めします。
専門性を求められる仕事でもあるため、教育環境が全くない職場では継続して働くことは厳しいと感じる方もいるでしょう。
せっかくケアマネとして働くことができたのに、「思っていた仕事と違う」「しんどいから辞めたい」とならないように、気を付けるポイントを確認しましょう。
ケアマネの在籍数が多い施設
求人応募する前に、ケアマネの在籍人数を確認しましょう。
ケアマネの在籍人数が多ければ、疑問に思ったことをすぐに確認することができます。
あわせて募集人数も確認するようにしましょう。
在籍人数や募集人数が多いということは内定を貰える可能性の高い求人とも言えるでしょう。
事業所の情報については、求人内容やホームページの確認や、厚生労働省の介護事業所生活関連情報検索の利用をお勧めします。
未経験歓迎や後任育成をうたっている
「未経験歓迎」や「後任育成」を全面に押し出している求人に絞って応募するというのも一つの方法です。
このように求人に打ち出す職場は、教育環境が整っており、人員にも余裕があることが期待されます。
更に、募集理由が欠員募集ではなく「事業規模拡大のため追加募集」など記載があれば、施設の運営が順調であることも分かるでしょう。
未経験歓迎の求人は、教育環境について面接で予め説明をして下さることも多いため、面接時にも新人教育の制度について質問しやすいのもメリットでしょう。
新規立ち上げ施設や事業所
新規立ち上げ施設や事業所が求人募集をする際は、ほとんどの場合いちから人材を探して確保しなければなりません。
そのため、ケアマネージャーも含めてまとまった数の職員採用をするため、未経験にもチャンスはあります。
募集人数が多ければ、採用してもらえる可能性も高いですし、全員が同じラインからスタートできるというのもメリットの一つでしょう。
まとめ
ケアマネージャーは人手不足の職種であり、制度改正に伴って資格取得のハードルも高くなっているのが現状です。
そのため、未経験であっても資格を取得しケアマネを目指す人材は、介護業界として貴重な存在といえます。
年齢問わず転職を目指せる職種であり、これまでの経験を活かしてキャリアアップも可能です。
未経験でケアマネージャーに転職すると、覚えることが多く、介護職とは業務内容も大きく異なるため、最初は厳しい仕事だと感じるかもしれません。
そんなときは一人で頑張るのではなく、先輩の力を借りながら、少しずつ仕事を覚えていきましょう。
「未経験でも活躍できる職場を探したい」「どの事業所でケアマネとして働くか悩んでいる」「ケアマネ資格を取得したが、介護職とケアマネのどっちを選ぶか相談したい」という方は、カイゴLINKのキャリアアドバイザーに是非ご相談下さい。
希望の条件を伺ったうえで、どのような働き方があなたにあっているのかご提案させて頂きます。
ケアマネ求人への応募を悩んでいる方、転職の相談をしたい方は、お気軽にご相談ください。