小規模多機能型居宅介護における看護師の仕事とは?具体的に紹介!

この記事でわかること

  • 小規模多機能型居宅介護とは
  • 小規模多機能型居宅介護の看護師のお仕事について
こんな人におすすめの記事です

  • 小規模多機能型居宅介護について知りたい方
  • 小規模多機能型居宅介護への転職を検討中の方
  • 小規模多機能型居宅介護で働いてみたい方
目次

小規模多機能型居宅介護について

ここでは、小規模多機能型居宅介護の概要や設立の背景を解説します。

なお、「小多機」は小規模多機能居宅介護の略称です。

類似するものに「看多機」と略される看護小規模多機能居宅介護がありますが、この記事では小多機と、そこに配置される看護師について記載します。

小規模多機能型居宅介護とは何か

小規模多機能型居宅介護は、利用者自身が可能な限り自分の力で日常生活を送ることをサポートする介護制度です。

地域密着型の小規模な施設であり、全国に施設が存在しています。

利用希望者は、以下の2つの条件を満たすことで利用できます。

  • 要支援1以上の要支援・介護認定済みである
  • 施設所在地と同一の市町村に居住している

小規模多機能型居宅介護の3つのサービス

小規模多機能型居宅介護のサービス内容は、大きく以下の3つに分けられます。

  • 宿泊
  • 通い
  • 訪問

これらのサービスから利用者は自らに必要なものを選び、自由に組み合わせられます。

3つのサービスを1カ所の施設で提供することで、サービスが変更になる際も環境を変えることなく、顔見知りの職員から手厚く多様なサービスを受けられる点がメリットです。

設立の背景

小規模多機能型居宅介護は、2006年に始まった制度です。

前述した3つのサービスは、以前は別々の施設に依頼する必要がありました。

小規模多機能型居宅介護はすべてのサービスを1つの事業所で提供し、介護を効率化するために設立されました。

また、2012年からは看護小規模多機能型居宅介護(看多機)が新設されています。

これらの施策により、住み慣れた地域で自分らしい生活を最後まで続けられる人がますます増えることが期待されています。

小規模多機能型居宅介護に看護師が配置される理由

小規模多機能型居宅介護には、必ず看護師が配置されます。

看護師は、患者のバイタルチェックや服薬管理など、医療面で利用者を支えるために必要不可欠な職種です。

利用者の状態をチェックし、介護士にはできない医療処置を行ったり主治医と連携をとったりするなど、看護師には重要な役割があります。

小規模多機能型居宅介護における看護師の仕事

小規模多機能型居宅介護における看護師は、具体的にどのような仕事を任せられるのでしょうか。

以下で詳しく解説します。

バイタルチェック

バイタルチェックは利用者が現在置かれている状況を数値化するための検査で、チェック項目は主に以下の通りです。

  • 体温
  • 脈拍
  • 血圧
  • 呼吸
  • 意識レベル

日頃のバイタルチェックを通してちょっとした異変に気づくことで、病気の早期発見や転倒予防の効果が得られます。

温度変化や体調変化が起こりやすい入浴の前後は、特にバイタルチェックが重要です。

医療行為

看護師が行う医療行為は、注射や点滴などです。

利用者の容態が急変した際には、応急処置をしたり救急隊へ引き継いだりする業務があります。

看護師が行える医療行為の範囲は所属する施設によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

服薬の管理

利用者に、薬の準備や確認の声掛けをします。

自力で薬を飲めない利用者にはゼリーやオブラートを用意し、口腔内への投与をサポートします。

なお、一部の服薬管理は介護職員でも行えるため、協力して管理しましょう。

各種サポート

前述した内容以外の、通院や通所、介護のサポートです。

利用者の通院をサポートする際は、道中の体調不良にも医療的目線で対処できます。

また、施設によっては介護そのものをサポートすることがあります。

小規模多機能型居宅介護施設に関してよくある疑問

ここでは、小規模多機能型居宅介護施設に関してよくある疑問をまとめました。

ぜひ参考にしてください。

1日の流れは?

以下の表に、小規模多機能型居宅介護で働く看護師を例にして1日の流れをまとめました。

小規模多機能型居宅介護における看護師の1日の例
時刻 業務内容
8:30 出勤・夜勤からの引継ぎと準備
9:00 「通い」利用者の迎え
10:00 「訪問」介護サービス
11:00 「訪問」外出や通院介助
12:00 昼食(食事・服薬介助)
13:00 入浴介助・職員は順番に休憩
14:00 「通い」レクリエーション・リハビリ・おやつ
15:30 「通い」利用者の送り
16:00 介護記録作成・整理
17:00 夕食(食事・服薬介助)・夜勤へ引継ぎ
18:00 「宿泊」就寝準備・介助(夜勤)
21:00 「宿泊」排泄介助・見回り(夜勤)

これは夜勤までを含めた一例であり、日勤の際は17:00頃に退社できる場合もあるようです。

給料・勤務形態は?

以下の表は、2022年9月時点の小規模多機能型居宅介護施設に勤める介護職員の平均月給をまとめたものです。

小規模多機能型居宅介護施設に勤める介護職員の平均月給(2022年9月時点)
給与・勤務形態 常勤 非常勤
月給 287,970円 211,770円
日給 234,940円 176,990円
時給 214,610円 125,800円

また、勤務形態に関しては、通常4〜5交代によるシフト制です。

利用者の状況にもよりますが、非常勤パートも多く、短時間勤務や曜日固定勤務も容易にできます。

参考:厚生労働省
令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果 p.122~p.124

平均職員数は?

施設ごとの平均職員数については、1施設につき常勤職員はおよそ11人ほど配置されています。

また、看護師に限定すると、1施設あたりに配置される人員は平均して0.5人というデータがあります。

より詳しいデータを知りたい方は、厚生労働省のリンクを参照してください。

参考:厚生労働省
第179回社会保障審議会介護給付費分科会(オンライン会議)資料
小規模多機能型居宅介護 p.2

ほかの介護施設とはどう違う?

小規模多機能型居宅介護の特徴は、幅広いケアを1つの施設で行うことです。

入所型施設では行わない訪問のケアにも対応し、訪問型事業所では行わない施設でのケアにも対応することで、利用者や家族の要望に柔軟に応えられることが特徴です。

また、地域に住む要支援1〜2および要介護1〜5の方が利用できる点で、地域密着型のサービスとして、利用者が住み慣れた場所で最期まで生活を続けられます。

小規模多機能型居宅介護はしんどい?

小規模多機能型居宅介護は、施設によって夜勤があったり、多様なサービスを提供することから判断力が求められたりと、大変に感じる方もいるでしょう。また、車の運転を任せられることを負担に感じるケースもあります。

一方で、利用者の要介護度が他の施設と比較して低いことや少人数であることから、他の介護施設よりも負担が少ないと感じる方もいます。

参考:厚生労働省
令和4年度 介護給付費等実態統計の概況 p.2~3

どのような人が小規模多機能型居宅介護に向いている?

小規模多機能型居宅介護施設での勤務には、以下のような方が適しているといえます。

  • 人の役に立つ仕事をしたい
  • コミュニケーションが得意である
  • 一人ひとりにじっくり向き合いたい
  • 介護の知識やスキルを幅広く身につけたい

なお、小規模多機能型居宅介護施設での勤務に向いている看護師の特徴やスキルは、こちらの記事もご参照ください。

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小規模多機能型居宅介護でのキャリア・スキルアップ

小規模多機能型居宅介護施設で働くと、どのようなキャリアやスキルアップを目指せるのでしょうか。

ここでは、キャリアアップやスキルアップに役立つ内容を2つご紹介します。

介護系の資格を取る

小規模多機能型居宅介護施設で看護師として働くためには、看護師免許の資格があれば大丈夫です。しかし、介護のサポートを任されるケースがあるため、介護の知識を得るために、介護系の資格を取得することは有用です。

なお、介護系で役立つ資格に関しては、こちらの記事も参考にしてください。

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実務経験を重ねる

小規模多機能型居宅介護施設では幅広いサービスを提供しているため、さまざまな経験ができます。

小規模多機能型居宅介護施設で実務経験を重ねることは、その後のスキルアップやキャリアアップにおいて非常に有効です。

小規模多機能型居宅介護の特徴

ここでは、小規模多機能型居宅介護施設の特徴に関して3点紹介します。

特徴をしっかり理解することで、今後の職業選択に役立ててください。

利用者に合わせたサービスを提供できる

小規模多機能型居宅介護施設の利用料金は定額制であり、制約が少ないサービスが提供可能です。また、少人数の施設が多いため、手厚いサポートが可能です。

これらのことから、それぞれの利用者に適したサービスを提供できます。

看護・介護の知識を幅広く習得できる

小規模多機能型居宅介護施設では「通い」「宿泊」「訪問介護」などのサービスが一体となって提供されるため、働く側にとっては、さまざまなスキルや知識を身につける絶好の機会です。

キャリアアップのために経験を積みたいと考えている方にとっては、適した職場といえるでしょう。

業務時間が不規則である

小規模多機能型居宅介護施設での業務には夜勤や宿直があります。したがって、生活リズムが崩れることに不安を感じる方もいるでしょう。

そのような方は、日勤帯のみの募集をしている施設を探すことがおすすめです。

施設に応じて募集している勤務形態が異なるため、慎重に検討することが大切です。

小規模多機能型居宅介護施設での介護内容

ここでは、小規模多機能型居宅介護施設で行う介護業務の内容について解説します。

看護師として働く際にも、介護サポートをする機会はあるため、あらかじめ知っておくことが大切です。

訪問介護

訪問介護は、自宅にいる利用者の介護を行うサービスです。これには利用者の生活支援や安否確認の意味合いがあります。

また、小規模多機能型居宅介護施設における訪問介護は通常の訪問介護と比べて、サービスの種類や回数に制限がないことが特徴です。

通所介護

通所介護は、施設に通いながら介護を受ける形態であり、レクリエーションや機能訓練などを行います。内容としては、いわゆるデイサービスに類似しています。

利用者のスケジュールに応じてサービスを提供できるため、柔軟な運用が可能です。

短期入所

短期間施設に入所する方法で、ショートステイのような形のサービスです。

レクリエーションや機能訓練などのサービスが提供されており、夜間には2人以上の看護師を配置することが義務付けられています。

小規模多機能型居宅介護で働く職種

小規模多機能型居宅介護施設で働く人材には、さまざまな役割があります。

ここでは看護師以外の職種について、具体例を取り上げてみましょう。

管理者

管理者は、小規模多機能型居宅介護施設において、管理業務を担当しています。

管理の内容は多岐にわたり、ニーズに応じたサービス提供の管理・人事管理・財務管理などが挙げられます。

管理者は施設の円滑な運営に不可欠な存在であり、責任のある仕事です。

ケアマネージャー

ケアマネージャーは、小規模多機能型居宅介護施設において、利用者の生活品質を向上させる役割を担っています。

具体例としては、利用者の相談対応・ケアプランの策定・利用者のモニタリングなどが挙げられます。いずれも介護に不可欠です。

ケアマネージャーの年収に関しては、こちらの記事もご参照ください。

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介護士

介護士は、小規模多機能型居宅介護施設において、利用者のお世話を担当します。

「通い」「宿泊」「訪問」と、提供するサービスの形態によって、仕事の内容も異なります。

介護士は資格がなくても就業できるため、転職のハードルは低めです。

介護士の年収に関しては、こちらの記事もご参照ください。

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まとめ

この記事では、小規模多機能型居宅介護施設について、その概要やよくある疑問をご紹介しました。

また、小規模多機能型居宅介護施設で働く職種の中から、看護師に焦点を当てて、仕事内容や実例を取り上げました。

この記事を参考に、今後の転職活動にぜひ役立ててください。

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監修者

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