認知症介護に役立つ資格9選!義務化された認知症介護基礎研修についても紹介

認知症の方を介護するためには、認知症介護基礎研修が義務化されています。加えて、役立つ資格を取得することで認知症についての知識や理解を深められたり、介護時にさらに細かなサポートが可能です。

ここでは、認知症介護基礎研修をはじめとする、認知症に関する資格や取得のメリットについて解説します。

この記事でわかること

  • 認知症介護に役立つ資格とは?
  • 認知症介護基礎研修が義務化について
  • 認知症に関する資格や取得のメリット
こんな人におすすめの記事です

  • 介護職への転職をご検討中の方
  • これから認知症介護に携わる方
  • 認知症介護の資格取得にご興味がある方
目次

認知症ケアとは

認知症ケアとは、認知症を患う方の尊厳を大切にしつつ心身のケアをすることです。

認知症は、脳の病気や障害などが原因で認知機能が低下することを指します。症状は、家族のことや物の使い方が分からなくなったり、何事にも無気力になったりするなど、さまざまです。

厚生労働省は、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると推計しています。今後さらに認知症の方が増えると予想され、認知症ケアのスキルを持つ人材が求められます。

参考)認知症の人の将来推計について厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/001061139.pdf

認知症介護基礎研修の基礎知識

介護職に携わる際、介護や医療に関する資格を持たない方は、認知症介護基礎研修の受講が不可欠です。

ここでは、認知症介護基礎研修について詳しく解説します。

認知症介護基礎研修とは

認知症介護基礎研修とは、介護職員のベースアップを目的とした公的研修です。

認知症の現状とその介護に関する基礎知識や、正しい介護技術の習得を図ります。

厚生労働省が策定した、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)をもとに、2016年度から全国的に開始され、2024年度から義務化されました。

複数の認知症介護に関する公的研修のうち、認知症介護基礎研修は、認知症についての基礎知識を身につける入門として位置づけられる研修です。

受講対象者

介護サービスで働く無資格の介護従事者が対象です。新たに受講対象者が入職した場合は、1年以内の研修の受講が義務付けられています。

ただし、福祉用具を貸与するサービスや居宅介護支援サービスで働く方は受講対象外です。

また、すでに医療福祉関連の国家資格を持っている方や、介護職員初任者研修、認知症介護実践者研修などの公的研修修了者は、受講が免除されます。

認知症介護基礎研修の取得方法

研修は各自治体が実施するため、対象の自治体の受講方法や研修時期を確認しましょう。

主な受講方法は、インターネットを利用するeラーニングと、対面あるいはオンラインで実施される集合型研修です。eラーニングと集合型研修を組み合わせた複合型で実施するケースもあります。

受講時間は受講方法によって異なります。eラーニングで要する時間は、約150分の動画視聴と、確認テストや自己ワークによる復習の時間です。集団型研修では、講義と演習を3時間ずつ、計6時間のカリキュラムが組まれ、1日で終了します。

参考)認知症介護基礎研修大阪府

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認知症介護に役立つ資格9選

認知症介護基礎研修以外にも、認知症介護に役立つ資格は複数あります。ここからは、認知症介護に役立つ資格を9つご紹介します。

認知症介護に関するスキルアップを目指す方は、ぜひ参考にしてください。

認知症介助士

初心者向けの民間資格です。認知症に関する知識を正しく理解し、さまざまな事例から認知症の方への適切な対応方法の習得を目的としています。受験方法は4種類あり、好きな場所から受講できるオンラインも選択可能です。

受験資格はないため、誰でも取得できます。受験資格はなく、取得することで認知症の方への適切な対応方法を習得できるため、介護の仕事でもプライベートでも役立ちます。

受験料は3,300円です。公認テキストや検定試験対策問題集を購入する場合は、別途2,200円〜3,300円かかります。

参考)認知症介助士公益財団法人 日本ケアフィット共育機構
https://www.carefit.org/dementia/

認知症ライフパートナー

認知症の症状や状況は人によって異なります。

認知症ライフパートナーは、認知症の方の状況を把握するスキルやコミュニケーション能力を習得し、それぞれの趣味に合ったアクティビティ・ケアの習得を目的とした民間資格です。

3級と2級は受験資格がなく誰でも取得を目指せますが、1級は2級合格者のみ受験可能です。

試験は12の都道府県で実施され、級ごとに試験会場が異なります。

オンラインでの開催はなく、近隣の試験会場に出向いて受験します。各級の受験料は以下の通りです。

  • 1級:14,000円(税込)
  • 2級:9,800円(税込)
  • 3級:6,000円(税込)
  • 2級+3級:15,800円(税込)

参考)認知症ライフパートナー一般社団法人日本認知症コミュニケーション協議会
https://www.jadecc.jp/license/

認知症ケア指導管理士(初級・上級)

認知症に関する知識を深め、認知症の方やその家族が求める適切な認知症ケアについて習得できる民間資格です。

認知症の方の尊厳を守りつつ、安心して生活できる環境の提供のために、2010年7月度より施行され、試験は9都道府県で実施されます。

初級は、高校生以上であれば誰でも受験できます。受験料は一般が7,500円、学生(高校・専門学校・大学)が4,000円です。

上級の受験料は一次試験が12,000円、二次試験が6,000円で、以下のいずれかの該当者が受験可能です。

  • 認知症ケア指導管理士(初級)資格を取得して1年以上経過する者
  • 認知症ケア指導管理士(初級)資格を取得し、かつ国家資格または国家資格に準ずる資格を所持する者
  • 初級資格未取得者のうち国家資格または国家資格に準ずる資格を所持し、「認知症ケア指導管理士(初級)試験」と「上級認知症ケア指導管理士 一次試験」を併願受験する者

参考)
認知症ケア指導管理士(初級)一般財団法人 職業技能振興会
上級認知症ケア指導管理士一般財団法人 職業技能振興会

認知症介護実践者研修

認知症介護に関する専門知識や技術を、実践的に習得できる公的資格です。

6日間の講義と演習の後、自分が所属する事業所で4週間以上の実習を実施します。全日程への参加が研修修了の条件です。受講前に事前課題が求められるケースでは、グループワークにも参加します。

受験資格を得るために要するものは、身体介護に関する基本的知識や技術の習得と、2年以上の実務経験です。受験料は25,000円前後が相場とされますが、各地域によって異なります。

参考)令和6年度 認知症介護実践者研修大阪府

認知症介護実践リーダー研修

認知症介護基礎研修で得た知識や技術をさらに深め、チームリーダーになるための公的資格です。リーダーとして職員の指導やケアの調整ができるように、チームを効率よく効果的に機能させる能力を身につけられます。受験料や日程は自治体によって異なりますが、概ね7〜8日間の講義・演習と、自身の勤務先や外部での4〜6週間の実習が求められます。

受験資格は、認知症介護実践者研修を修了して1年以上、介護業務の実務経験が5年以上あり、施設や事業所でリーダーの立場にあることです。

参考)令和6年度 認知症介護実践リーダー研修東京都福祉局

認知症ケア専門士

認知症ケアに携わる方の資質向上と、生涯学習の場を提供するために創設された民間資格です。資格取得により、認知症ケアに関する高い知識と倫理観が身につけられます。資格には有効期限が設けられ、定期的な更新を要します。

受験資格は過去10年間に3年以上の実務経験がある方です。一次試験には4部門あり、すべてに合格することが条件で、受験料は3,000円×受験分野数です。

一次試験に合格し、認知症ケア准専門士の資格を取得し5年以内であれば、二次試験が受験できます。二次試験の受験料は8,000円です。

参考)認知症ケア専門士一般社団法人 日本認知症ケア学会

認知症ケア上級専門士

認知症ケア専門士の上級資格で、資格取得により、認知症ケアのチームリーダーや地域のアドバイザーとして働けます。

受験料は10,000円で、認知症ケア専門士としての3年以上の実務経験や、認知症ケア上級専門士研修会の修了など、受験資格が複数定められています。

認知症ケア上級専門士研修会は現地開催ではなく、オンラインで開催される研修です。

参考)認知症ケア上級専門士一般社団法人 日本認知症ケア学会

認知症介護指導者養成研修

認知症介護に関する最上位の公的資格です。

研修を通して、認知症介護実践リーダー研修で得た知識や技術を深め、認知症介護実践者研修や認知症介護実践リーダー研修などのプログラムの作成や教育ができるようになります。

受験資格は各自治体によって異なりますが、基本的には認知症介護基礎研修や認知症介護実践リーダー研修の受講や、一定の資格、実務経験の保有が条件です。受験料も自治体によって異なります。

参考)認知症介護指導者養成研修大阪府

認知症ケア准専門士

認知症の方を支える人的な社会資源の確保と定着を目的に作られた民間資格です。資格取得を通して、認知症についての知識を得られます。試験はオンラインで実施されます。

受験資格は、試験実施年の3月末時点で満18歳以上であり、過去10年間で認知症ケアの実務経験が3年未満であることです。受験料は12,000円です。

認知症ケア准専門士一般社団法人 日本認知症ケア学会

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認知症介護の資格を取得するメリット

認知症介護の資格を取得することにはさまざまなメリットがあります。ここでは、認知症介護の資格を取得することで得られる主なメリットを紹介します。

認知症への理解が深まる

認知症介護の資格取得を目指して勉強することで、資格の種類に関わらず認知症に関する知識や技術が習得できます。

認知症の方が利用する施設や事業所などに就業する際は、幅広い業務に携わったり、自信を持ってサポートしたりできます。認知症を患う親族がいる方は、適切なケアやコミュニケーションに有効です。

認知症の方の行動理由や対処の理解が深まれば、患者とサポート提供者、双方にとってのよい環境につながります。

就職や転職に有利

施設や事業所によっては、応募時に資格取得を必須とするケースがあります。

資格なしでも応募可能な求人もありますが、認知症介護の客観的なスキルを証明する手段として、資格は最適です。資格を取得することは、幅広い求人への応募につながり、就職や転職の際に有利に働きます。

また、資格手当がつく施設に勤めることで、給料額の向上が期待できたり、昇進の可能性が高まったりするメリットもあります。

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まとめ

認知症の方の介護には専門的な知識や技術が不可欠であり、質の高いサービスを提供するために役立つ資格は複数あります。

認知症介護についてどのような知識や技術を身につけたいかを明確にし、自分の状況に合った資格を取得しましょう。

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