異業種から介護士への転職を考えている方の中には、無資格での転職を考えている方もいるのではないでしょうか。
「すぐに介護士として働きたい」「資格を取得する前に介護士が向いているのか知りたい」などと考えている方は、少なくないでしょう。
そこでこの記事では、介護の仕事は無資格でもできるのか、仕事内容や給料に有資格者との違いはあるのかなどについて解説していきます。
無資格の介護士に求められるスキルや、おすすめの資格についても解説していますので、介護士へ転職する際の参考にしてください。
この記事でわかること
- 介護の仕事は無資格でも可能かどうか
- 有資格者と仕事内容や給料の違い
- 無資格者に求められるスキル
こんな人におすすめの記事です
- 無資格・未経験から介護士を目指している方
- 有資格者との違いについて知りたい方
介護の仕事は資格なしでもできる?
介護の仕事は、資格なしでもできますが、すべての業務が無資格でできるわけではありません。
介護の仕事には、無資格でできるものと、有資格者でなければできないものに分かれます。
介護業界では、慢性的な人手不足が深刻な問題となっており、「令和4年度介護労働実態調査結果の概要について」によると、介護事業所全体の66.3%が人材不足感を感じています。
このような背景から、「無資格者可」の求人を出している介護施設も多く見られます。
介護の仕事で資格なしでもできること
資格なしでできる主な介護の仕事は、以下の5つになります。
- 生活援助
- 施設内・訪問入浴での身体介護
- 介護保険適用外サービス
- 事務作業
- 送迎ドライバー
なお施設内・訪問入浴での身体介護については、令和6年4月から無資格の介護士が身体介護を行う場合、認知症介護基礎研修の受講が必須となったため、入職から1年以内に限り無資格でも行えるという条件があります。
期間内に受講しなかった場合、直接介護に携わることができないため注意しましょう。
では、有資格者とどのような違いがあるのかを確認しながらみていきましょう。
生活援助
生活援助とは、利用者の身体に直接触れずに行う日常生活サポートのことです。
具体的には、食事の準備や片付け、ベッドメイキング、洗濯、掃除などです。これらは特別なスキルを要しないため、無資格であっても行うことができます。
また、介護施設によっては、レクリエーションの準備も生活援助として扱われています。
施設内・訪問入浴での身体介護
身体介護とは、食事や入浴、排せつ介助など、利用者の身体に直接触れて行う介護サービスのことです。
身体介護は通常、有資格者でなければ行えません。
無資格者が身体介護を行う場合には、介護福祉士などの有資格者の指示が必要です。
施設内介護や、浴槽を載せた車で利用者の自宅を訪問し、入浴介助を行う訪問入浴は、介護福祉士などの有資格者を含む複数人のスタッフで介護を行います。
そのため、無資格者であっても身体介護が認められる場合があります。
介護保険適用外サービス
介護保険サービス内で行える生活援助は、利用者が自立した生活を送るのに欠かせない家事などをサポートするものです。
したがって、草むしりや大掃除、家族の食事づくりなど、利用者本人の生活に欠かせないとは言い難いものを提供する場合は、介護保険適応外サービスでの提供となります。
事業所によっては、利用者のニーズに応えるため、利用者の自費負担で介護保険適応外サービスを提供している場合があります。
介護保険適応外サービスに関しては、無資格者でも行うことが可能です。
事務作業
電話や来客の対応、備品の整理や発注などの事務作業は、無資格であっても可能です。
ただし、介護報酬の請求に限っては、介護保険の知識がなければできません。
送迎ドライバー
通所介護事業所(デイサービス)では、利用者の送迎業務があります。
送迎ドライバーの場合、普通自動車免許があれば、介護関連の資格がなくても働ける事業所も多いです。
デイサービスの送迎ドライバーの場合は、ノアやハイエースなどの大きめの車種の運転を任される傾向にあります。
また、バスでの送迎を任される場合もあり、その際には、中型または大型自動車免許も必要になります。
さらに、事業所によっては、初任者研修以上の資格保有を条件としていることもありますので、事前に確認しておきましょう。
介護の仕事で資格なしではできないこと
有資格者ではなければできない介護の主な仕事は、以下の2つです。
- 訪問介護での身体介護
- 医療的ケア
無資格者が行うと違法となってしまうため、覚えておきましょう。
訪問介護での身体介護
訪問介護は、基本的に介護士1人で業務を行います。
そのため、正しい方法で身体介護をできているか確認してくれる人がいない、緊急時に対応を交代できる人がいない、などの理由で、無資格者は訪問介護での身体介護は行えません。
訪問介護で身体介護を行う場合は、介護の基本的な技術と知識を学ぶ「介護職員初任者研修」以上の資格を有している必要があります。
医療的ケア
喀痰吸引や経管栄養といった医療的ケアに関しては、有資格者の指示であっても、無資格の介護士は行えません。
医療的ケアが行えるのは、「喀痰吸引等研修」を受けた方のみです。
介護の仕事を資格なしで始めるメリット・デメリット
メリットとデメリット、両方を確認したうえで、無資格で介護士へ転職するか、資格取得後に介護士へ転職するかを決めるとよいでしょう。
メリット
介護の仕事を資格なしで始める主なメリットは、以下の2点です。
- 自身に合っているか確かめられる
- 働きながら資格取得を目指せる
介護未経験者が、転職前に資格を取得してしまうと、介護の仕事が自身に合っていなかった場合、資格取得のために費やした時間が無駄になってしまう可能性があります。
しかし、まずは働きながら介護に関しての理解を深め、「介護の仕事を続けたい」と思ってから資格を取得を目指すことで、モチベーションアップにもつながるでしょう。
また、働きながら資格取得を目指すことで、学んだことを現場でアウトプットできるため、自分のスキルとしてインプットしやすいというメリットもあります。
デメリット
介護の仕事を資格なしで始める主なデメリットは、以下の2点です。
- 転職の際に不利
- 給料が低い
介護の求人は、他業種と比較して「無資格可」のものも多いことが特徴です。
しかし、介護に関する専門的な知識や技術があることを客観的に証明できる有資格者のほうが「即戦力になる」と判断され、転職の際に優遇される傾向にあります。
また、介護の仕事は保有している資格によって任される業務内容が異なるため、有資格者には、資格手当が支給されることが多いです。
そのため、有資格者よりも無資格者のほうが給料が低くなります。
無資格者と有資格者の給料の違い
正社員として働く介護士の無資格者と有資格者の月収と、月収から算出した年収は、以下の通りです。
保有資格 月収 月収から算出した年収 無資格 271,260円 約325万5,120円 初任者研修 300,510円 約360万6,120円 実務者研修 307,330円 約368万7,960円 介護福祉士 328,720円 約394万4,640円 引用:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
無資格者と、介護業界唯一の国家資格である介護福祉士では、年収に約700,000円の差があることがわかります。
無資格の介護士に求められるもの
介護士として無資格で働く場合には、以下の3つのスキルが求められます。
- コミュニケーションスキル
- 臨機応変な対応力
- 介護へのやる気
これらは、介護未経験の有資格者にも求められる、介護士に必要な基本的なスキルです。
介護士として働くうえで念頭に置いておきましょう。
コミュニケーションスキル
介護士は、利用者やその家族と接する機会が多い仕事です。
また、看護師やケアマネなど、他職種との連携も求められます。
したがって、他者との信頼関係を築くためのコミュニケーションスキルは欠かせません。
チームメンバーの一員として業務をこなせる協調性や、利用者やその家族から悩みを聞き出せるトーク力などがあると重宝されます。
また、プライベートでの交流も深めておくと、なにかあった際に相談しやすいでしょう。
臨機応変な対応力
介護の仕事では、利用者一人ひとりの状況に応じた臨機応変な対応が求められます。
利用者やその家族への対応は、すべてがマニュアル通りにはいきません。
個々の体調や精神状態によって、対応を変えていく必要があるため、状況に応じて対応を変えられる柔軟性が必要です。
介護へのやる気
介護の仕事は、やりがいが多い反面、身体的・精神的負担が大きく、大変なことも多いです。
そのため、介護へのやる気がなければ、モチベーションが続かず、介護の仕事を続けていくことは難しいでしょう。
また、介護の仕事は専門性の高い仕事です。
無資格でもできますが、介護に関する専門的な知識や技術を習得しようとする前向きな姿勢は大切です。
介護は無資格では働けなくなる?
厚生労働省の「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」によると、2024年4月から「認知症介護基礎研修受講」が、無資格者へ義務付けられる見込みです。
したがって、今後、介護の仕事は、無資格ではできなくなるでしょう。
無資格者におすすめの介護の資格
無資格者が介護の資格取得を目指す場合には「初任者研修」「実務者研修」「介護福祉士」の順で取得していくとよいでしょう。
いずれも、働きながら取得を目指すことができます。
資格なしでも介護の仕事は可能!
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