介護福祉士は、介護関連で唯一の国家資格のため、介護職に転職するのであればぜひ取得したい資格です。
しかし、介護業界に馴染みのない方にとっては、介護士とどのように違うのかイメージしづらい部分もあるかもしれません。
そこでこの記事では、介護福祉士の仕事内容・一日のスケジュールについて解説します。
ぜひ最後までご覧いただき、介護福祉士の仕事について理解を深めてください。
この記事でわかること
- 介護福祉士の仕事内容
- 介護福祉士の一日のスケジュール
- 介護士と介護福祉士の違い
こんな人におすすめの記事です
- 介護福祉士の取得を検討している方
- 介護福祉士の仕事内容や一日のスケジュールが知りたい方
介護福祉士とは?介護士との違い
介護福祉士とは、介護福祉士国家資格に合格した方のみが名乗れる「名称独占資格」で、介護関連で唯一の国家資格です。
一方、介護士とは、介護職に従事している方の総称です。
介護サービスを提供している事業所で介護の仕事をしていれば、無資格であっても介護士といえます。
介護福祉士は、介護士がキャリアや給料アップのために取得する資格と考えると良いでしょう。
介護福祉士になる方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
介護福祉士の仕事内容
介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に記載されている、以下の6つの義務に基づいて仕事をしています。
- 誠実義務
- 信用失墜行為の禁止
- 秘密保持義務
- 連携
- 資質向上の責務
- 名称の使用制限
介護福祉士の主な仕事の内容には、「身体介護」「生活支援」「相談・助言」「社会活動支援」「チームマネジメント」の5つがあります。
それぞれの仕事内容について、詳しく確認していきましょう。
身体介護
身体介護とは、身体に直接触れて行う介護サービスのことです。
身体介護を行うのに必要な準備や後片付けも、仕事内容に含まれます。
身体介護の具体的な仕事内容は、以下になります。
- 食事介助
- 排せつ介助
- 整容
- 体位交換
- 服薬介助
- 通院や外出の介助
他にも、要介護者のADLを維持・向上するために、声掛けしながら見守るのも、身体介護の仕事内容の1種です。
例えば、車いすからベッドへ移乗する際、あえて身体に直接触れて介助をせず、残存機能を残すために声掛けと見守りを行うなどです。
生活支援
生活支援とは、日常生活を送るうえで必要な援助のことです。
家事代行サービスと考えてもらうとわかりやすいでしょう。
生活支援の内容は、以下の通りです。
- 掃除・洗濯
- 配膳・下膳・調理
- 衣類整理
- 薬の受取
利用者が自分で行いたいのにできないことを、介護福祉士が代わりに行うのが生活支援になります。
そのため、家族のために行っている家事の代行や、ペットの散歩など、利用者に関わらない日常生活援助は、生活支援には含まれません。
相談・助言
相談・助言は、介護福祉士という専門的な立場から、利用者やご家族、関係者の相談に乗り、助言や指導を行うという仕事内容です。
具体的な相談・助言の内容は以下の通りです。
- 保険や要介護度認定の相談
- 福祉用具の相談
- 人間関係に関する相談
介護福祉士には、要介護者が自立した日常生活を送れるように導くことが求められます。
そのため、相談内容によっては、継続した相談・助言が必要なケースもあります。
相談内容を解決するだけではなく、根源にある不安の解消や、トラブル回避などが必要な場合もあります。
社会活動支援
社会活動支援とは、要介護者が社会とのつながりを保ち、社会の一員として安定した生活を送れるように支援していく仕事です。
要介護状態となると、外出する機会が減るため、社会から孤立し、人間関係が家族と施設スタッフのみになる方が少なくありません。
また、中には家族との関係もうまくいかなくなってしまう方もいます。
そこで、介護福祉士が社会とのつながりを保てるよう、以下のような支援を行っていきます。
- 就労支援
- 地域活動の情報提供、参加
社会とのつながりがあるかどうかは、要介護者のQOLの向上に関わってくる問題です。
要介護者が、近隣の方や家族と円滑な人間関係を築けるようにサポートしていくのも、介護福祉士の仕事内容のひとつです。
チームマネジメント
チームマネジメントとは、介護職のチームリーダーとして、以下のようなチームケアやチームマネジメントを行っていくことです。
- 勤務調整
- 他職種との連携
- 研修の企画
- 行事の企画
- 業務内容やマニュアルの見直し
介護福祉士は、介護業界で唯一の国家資格であり、介護職のリーダーを期待される立場です。
また、介護職の代表として、看護師や理学療法士、ケアマネージャーなどの他職種との連携を図る仕事を任されます。
【職場別】介護福祉士の一日の仕事内容
介護福祉士の仕事内容は、勤務する施設によって異なります。
ここからは、以下の施設での介護福祉士の一日の仕事内容を、時系列に沿って紹介していきます。
- 介護老人保健施設
- 特別養護老人ホーム
- 有料老人ホーム
- 訪問介護
- デイサービス
- 病院
ただし、ここで紹介する時系列は日勤帯の流れです。
早番や遅番、夜勤などの勤務形態によっても異なるため、参考程度にご覧ください。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は、リハビリや医療的ケアを目的とした施設で、「老健」とも呼ばれます。
要介護1以上の方が入所でき、平均入所期間が3~6か月と短期間であることが特徴です。
介護老人保健施設で働く介護福祉士の一日のスケジュールは、以下の通りです。
時間 | 仕事内容 |
---|---|
9時 | 朝礼、夜勤者からの日勤者への申し送り |
10時 | 入浴介助やリハビリ介助 |
11時 | シーツ交換や排せつ介助、昼食の準備 |
12時 | 昼食・服薬介助と昼食後の口腔ケア、ベッド臥床の介助 |
13時 | 職員が交代で休憩、休憩以外は利用者の見守り |
14時 | 入浴介助やリハビリ介助、排せつ介助 |
15時 | おやつの準備とおやつ介助、レクリエーション |
16時 | 記録 |
17時 | 夕食準備 |
18時 | 夜勤者への申し送り |
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、要介護度3以上の方が入所できる終身利用を前提とした施設で、「特養」とも呼ばれています。
季節ごとのイベントを定期的に行っているため、イベントの有無によっても一日のスケジュールが変わります。
特別養護老人ホームで働く介護福祉士の一日のスケジュールは、以下の通りです。
時間 | 仕事内容 |
---|---|
9時 | 朝礼、夜勤者からの日勤者への申し送り |
10時 | 入浴介助や排せつ介助、10時のお茶介助、季節のイベント |
11時 | シーツ交換や昼食の準備 |
12時 | 昼食・服薬介助と昼食後の口腔ケア、ベッド臥床の介助 |
13時 | 職員が交代で休憩、休憩以外は利用者の見守り |
14時 | 入浴介助や排せつ介助、季節のイベント |
15時 | おやつの準備とおやつ介助、レクリエーション・リハビリ介助 |
16時 | 記録や夕食準備 |
17時 | 夜勤者への申し送り |
18時 | 夕食介助 |
有料老人ホーム
有料老人ホームには、「健康型」「住宅型」「介護付き」の3種類があり、種類によって仕事内容がかわってきます。
基本的な有料老人ホームでの一日のスケジュールは、以下の通りです。
時間 | 仕事内容 |
---|---|
8時半~9時 | 朝礼、夜勤者からの日勤者への申し送り |
10時 | 入浴介助や行為、排せつ介助、リハビリ・機能訓練介助 |
11時 | シーツ交換や昼食の準備 |
12時 | 昼食と昼食後の口腔ケア |
13時 | 職員が交代で休憩、休憩以外は利用者の見守り |
14時 | 入浴介助やリハビリ介助、排せつ介助 |
15時 | おやつの準備とおやつ介助、レクリエーション |
16時 | 記録 |
17時 | 夕食準備、夜勤者への申し送り |
訪問介護
訪問介護は、利用者の自宅を訪問し、自宅で身体介助や生活支援を行う仕事です。
一日の訪問件数によってスケジュールは変わりますが、基本的な訪問介護で働く介護福祉士の一日の流れは、以下の通りです。
時間 | 仕事内容 |
---|---|
8時半 | 訪問する利用者の確認と情報収集 |
9時 | 1件目の利用者宅で、生活支援をする |
10時 | 2件目の利用者宅で、身体介護をする |
11時15分 | 3件目の利用者宅で、身体介護をする |
12時30分 | 休憩 |
13時30分 | 4件目の利用者宅で、通院のサポートをする |
15時 | 5件目の利用者宅で、生活支援をする |
16時 | 帰社、記録 |
17時 | 退勤 |
デイサービス
デイサービスとは、自宅で生活する要介護者が、入浴やリハビリなどを目的に高齢者が日帰りで利用する通所型の介護事業所です。
デイサービスには、一日型もしくは半日型のものがあり、それによって仕事内容も変わります。
デイサービスで働く介護福祉士の一日のスケジュールは、以下の通りです。
時間 | 仕事内容 |
---|---|
8時30分~9時 | 利用者の迎え、施設到着後健康状態(バイタルなど)の確認 |
10時~11時 | 入浴介助やレクリエーション、機能訓練 |
12時 | 昼食準備、必要に応じて食事介助 |
13時 | 職員は交代で休憩に入る、それ以外は見守り |
14時 | レクリエーションや体操 |
15時 | おやつ準備、必要に応じて食事介助 |
16時 | 利用者を自宅まで送り届ける |
17時 | 施設に帰社後、退勤 |
病院
病院で勤務する介護士は、「看護助手」と呼ばれる場合が多いです。
基本的な業務内容は、介護施設と差異はありません。
ただし、介護施設の場合は、介護福祉士が主体である場合が多いですが、病院では「看護助手」となるため、看護師の介助という役回りになる場合が多いことを覚えておきましょう。
病院で働く介護福祉士の一日のスケジュールは、以下の通りです。
時間 | 仕事内容 |
---|---|
8時半 | 連絡事項や仕事内容の確認 |
9時 | 排せつ介助や入浴介助、検査室への誘導 |
10時 | シーツ交換や整容 |
11時 | 昼食準備、飲水の介助 |
12時 | 昼食、食事介助 |
13時 | 交代で休憩 |
14時 | 排せつ介助や入浴介助、検査室への誘導 |
15時 | おやつ介助や記録、書類整理 |
16時 | 夕食の準備 |
17時 | 夜勤者への申し送り |
介護福祉士は現場以外の仕事もできる?
介護福祉士の仕事は現場だけではありません。
例えば、介護福祉士の資格を利用してできる仕事には、ケアマネージャーや介護福祉士養成施設の教員、福祉系の高校の教員などがあります。
また、介護福祉士としての経験を活かせば、介護事業所の事務職や、介護タクシーのドライバー、ソーシャルワーカーなどの仕事に就くことも可能です。
詳しくは以下の記事で説明しているため、現場以外での仕事を検討している方は、ぜひご覧ください。
介護福祉士の仕事に関するよくある質問
ここからは、介護福祉士の仕事に関するよくある質問に答えていきます。
介護福祉士の仕事はきつい?
結論から述べると、慢性的な人手不足や、身体的・精神的負担が大きいこと、変則的な勤務などから、介護福祉士の仕事を「きつい」と感じる方は多いです。
他にも、利用者にとってなにが最善か、を考えるあまり、他のスタッフと意見が衝突する場合もあるでしょう。
しかし、それ以上に介護福祉士としてのメリットは多くあります。
利用者のできることが増えたり、利用者や家族から感謝されれば嬉しいですし、やりがいを感じます。
また、人生の先輩である高齢者から、学べることはたくさんあります。
実際に、「利用者の笑顔を見ると仕事のきつさは忘れてしまう」という介護福祉士は多いです。
介護福祉士を取得しても意味がない?
介護福祉士の資格を取得しても、基本的や仕事内容は、無資格者や初任者研修修了者と変わりません。
そのため、介護福祉士の資格取得は「意味がない」といわれがちですが、そんなことはありません。
介護福祉士を取得することで、喀痰吸引や経管栄養など、できる医療行為が増えます。
他にも、知識や技術が得られるため、介護士としてのキャリアアップにつながるでしょう。
また、介護福祉士の資格手当による給料アップや、役職を目指す際にも必須の資格です。
介護福祉士の資格を活かせる現場以外の仕事もいくつもあるため、介護福祉士の資格を取得しておけば、仕事の幅も広がるでしょう。
介護福祉士はやりがいを感じられる魅力的な仕事
介護福祉士の仕事は、身体的・精神的な負担が多く、楽ではないのが事実です。
しかし、利用者の笑顔や、QOL・ADLの維持・向上に直接的に関われる介護福祉士には、大きなやりがいを感じられるでしょう。
介護福祉士として働くうえで、技術や知識は必要ですが、それ以上に大切なのが、「利用者の小さな変化を見逃さず気がつけること」です。
知識や技術は、あとからでもついてきます。
まずは介護士としての1歩を踏み出してみましょう。
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