介護福祉士としてのキャリアアップを目指す方の中には、ケアマネージャーや生活相談員など、現場から離れる方法ばかりが出てきて困惑している方もいるのではないでしょうか。
しかし中には、給料アップだけではなく、介護士としてのレベルアップを目指している方もいるはずです。
この記事では、医療介護福祉士の概要や医療介護福祉士のメリットなどについて解説しています。
医療介護福祉士の取得方法についても説明していますので、ぜひ最後まで読んで、介護福祉士としてのキャリアアップを目指しましょう。
この記事でわかること
- 医療介護福祉士とはなにか
- 医療介護福祉士にできること
- 医療介護福祉士の今後のニーズ
- 医療介護福祉士になる方法
こんな人におすすめの記事です
- 医療介護福祉士について詳しく知りたい方
- 医療介護福祉士になりたい方
医療介護福祉士とは?
医療介護福祉士とは、医療や介護についての理解を深めることを目的とした一般社団法人日本慢性期医療協会認定の民間資格です。
2010年に開始された比較的新しい資格で、高齢者介護や、慢性期医療で行われる検査や薬、救急処置などの知識について学びます。
これまで、介護福祉士の上位資格というと、ケアマネージャーや生活相談員など、現場から離れた資格が多くなっていました。
しかし、医療介護福祉士は、医師や看護師などの多職種と連携を図りながら、現場の第一線で働いていけるため、現場を離れたくない方におすすめです。
医療介護福祉士ができること
医療介護福祉士ができることは、主に以下の3つです。
- 医療関係の現場で働くための医学的知識の習得
- 事故防止の対応
- 医療行為を含まない緊急時対応
医療介護福祉士は、チーム医療メンバーとして働ける介護福祉士を育成することを目的とした資格です。
そのため、医療介護福祉士の資格を取得したからといって、医療行為ができるようになるわけではありません。
ただし、医療介護福祉士として医療に関する知識を身につければ、アセスメント能力が格段に上がります。
アセスメント能力が向上すれば、利用者の変化に適切な対応ができるようになるため、利用者に質の高い日常生活援助を提供できるようになります。
したがって、医療介護福祉士は、現場の第一線で、医師や看護師などと連携を図りながら働いていきたい方におすすめの資格です。
そもそも介護福祉士は医療行為ができる?
介護福祉士ができる医療行為は、以下に当てはまるもののみとなります。
- 厚生労働省によって、医療行為には該当しないとされたもの
- 規制の対象外となるもの
- 介護福祉士のみができるもの
介護福祉士になったからといって、すべての医療行為ができるようになるわけではないため、注意しましょう。
ここからは、介護福祉士ができる医療行為と、できない医療行為を一覧で解説していきます。
業務を行ううえでの参考にしてください。
介護福祉士ができる医療行為
厚生労働省は2005年に、介護士が行える医療行為と、介護士が行ってはいけない医療行為の明確な線引きを行いました。
これにより、以下の医療行為に関しては、現在は介護士も行えるようになっています。
- 体温測定
- 自動血圧測定器による血圧測定
- 動脈血酸素飽和度の測定(パルスオキシメータの装着)
- 切り傷、擦過傷、やけどなどの軽微な傷の処置やガーゼ交換
- 点眼
- 坐薬の挿肛
- 鼻腔粘膜への薬剤噴霧
- 服薬介助
- 湿布の貼付
- 軟膏塗布(褥瘡処置以外)
参考:医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について
また、以下の行為においては、法律上は医療行為となっていますが、「規制対象外」となっているため、介護士も行うことができます。
- 歯ブラシや綿棒などを使用した口腔ケア
- 耳掃除
- 爪切り
- ストーマのパウチに溜まった排せつ物の破棄
- 市販されているグリセリン浣腸器の使用
- 自己導尿の補助
参考:医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について
上記に関しては、介護福祉士に限らず、無資格の介護士にも行える医療行為です。
さらに、介護福祉士に関しては、2011年の「社会福祉士及び介護福祉士法」の一部が改正されたことによって、以下の医療行為も行えるようになりました。
- 口腔・鼻腔内の喀痰吸引
- 気管カニューレ内部の喀痰吸引
- 胃ろうまたは腸ろうの経管栄養
- 経鼻経管栄養
ただし、介護福祉士取得後すぐにできるようになるわけではなく、「本人や家族の同意を得る」「看護師による講習を受ける」などの条件の下、実施できるようになる点に注意しましょう。
介護福祉士ができない医療行為
介護福祉士ができない医療行為には、以下のようなものがあります。
- 摘便
- 血糖測定
- インスリン注射
- 点滴管理
- 褥瘡の処置
ほかにも、介護士ができる医療行為であっても、臨機応変に対応できるようにしなければなりません。
たとえば、本来であれば介護士が行える爪切りであっても、爪の周りに炎症がある場合には、介護士では爪切りをせず、看護師に頼む必要があります。
また、万が一ご家族に、医療有資格者しか行えない医療行為を頼まれた場合には、決して行わず、看護師などを呼びましょう。
医療介護福祉士を取得するメリット
医療介護福祉士には、以下の2つのメリットがあります。
- トラブルに対応できるようになる
- 転職が有利になる
それぞれについて詳しくみていきましょう。
トラブルに対応できるようになる
医療介護福祉士の資格を取得したからといって、できる医療行為は介護福祉士と変わりがありません。
しかし、医療知識を身につけていれば、緊急時に医師や看護師が来るまでの一時対応ができるようになります。
利用者の小さな変化に気づくこともできるようにもなるため、早い段階で適切なケアができ、利用者のADLやQOLの維持につながります。
たとえば、脳出血の兆候にいち早く気づき、看護師に伝え、早い段階で適切な処置が行えれば、利用者の残存機能を残すことができ、その後のADL維持・向上に貢献できます。
また、介護スタッフや看護師からの信頼も厚くなるため、任せられる仕事も多くなり、自信をもって仕事ができるようになるでしょう。
そうすることで、仕事のやりがいにもつながります。
転職が有利になる
医療介護福祉士は、介護福祉士としての実務経験を積んだあと、さらに認定講座と試験を受けなければなりません。
そのため、医療介護福祉士としての資格を有しているだけで評価が高まり、転職の際には有利になるでしょう。
加えて、今後さらに加速することが予想される高齢化社会において、医療介護福祉士のニーズは非常に高まると考えられます。
医療介護福祉士の年収は?
医療介護福祉士の年収は、介護福祉士と変わらない施設が多いのが現状です。
医療介護福祉士は、2010年に開始されたばかりの比較的新しい資格のため、明確に給料基準の上がる施設は多くありません。
ただし今後、医療介護福祉士を取得していることで資格手当がつく可能性はあるでしょう。
また、常勤の場合は難しくても、派遣やパートであれば、時給を上げる交渉ができるかもしれません。
医療介護福祉士の取得方法
医療介護福祉士になるためには、認定講座を受講後、試験を受けて合格しなければなりません。
認定講座の受講対象者は、介護福祉士として1年以上の実務経験がある方のみです。
認定講座は、全6日間、24単位で、座学と現場実習を行います。
認定講座の内容は以下の通りで、高齢者介護と慢性期医療について学びます。
- 脳血管疾患管理や口腔ケア
- リハビリテーション介護
- 胃ろうの管理
- 排せつケア
- 薬や検査
高齢者の身体介護の知識をもとに、近年需要のある慢性期医療についても学び、介護と医療の知識を深めることが目的です。
医療介護福祉士の取得には、日本慢性期医療協会会員施設に勤める介護福祉士の場合が70,000円、一般の方が90,000円の費用がかかります。
医療介護福祉士を取得しスキルアップを目指そう!
医療介護福祉士は、高齢者介護のみではなく、慢性期医療についての知識も身につくため、介護福祉士としてのキャリアアップが目指せます。
さらに、医療的知識を身につけることで、緊急時の対応ができるようになるため、周りからの信頼が得られ、介護福祉士としての自信にもつながるでしょう。
医療介護福祉士の資格は、今後ニーズが高まっていくことが予想され、より待遇のよい職場へ、有利に転職できるようになる可能性があります。
医療介護福祉士の資格を取得後、転職する際には、カイゴLINKがおすすめです。
3万件以上ある求人掲載の中から、ぜひ自分に合った求人を見つけてください。