介護事務の仕事を目指そうと考えていても、具体的な仕事内容や給料相場などが、分からないという方も多いでしょう。
本記事では、介護事務の仕事や将来性・給料相場について解説します。
さらに求められるスキルや、介護事務に向いている人の特徴も紹介するため、将来介護事務を目指す方は必見です。
介護事務について
介護事務を目指している方であれば、以下の内容に不安を感じる方も多いでしょう。
- 介護事務の概要
- 未経験でも就業可能か
- 活躍できる就職先はあるか
- 将来性
- 給料相場
- 医療事務との違い
前述で挙げた内容について以下で詳しく解説します。
介護事務とは?
介護事務とは、介護施設や介護に関わる事業所で働く事務職の総称です。
介護事務は介護スタッフとは異なりデスク業務が中心で、ときにはケアマネジャーのサポートもします。
代表的な業務は介護報酬の請求業務である一方、その他にも一般事務・経理・労務・採用など幅広い知識が必要です。
さらに3年に1度介護保険制度が改正されるため、定期的に知識のアップデートをする必要があります。
介護事務は未経験でも働けるのか
介護事務は未経験・無資格でも就業できます。
ただし事務業務ではパソコン操作が欠かせないため、基本操作はできるようにしましょう。
特にExcelやWordが使えるか否かが重要視されるため、MOSを取得できれば自身のパソコンスキルを客観視できます。
MOSとはMicrosoftが認定する、Microsoft Officeの知識や操作スキルについての資格です。
その他には、以下の資格保有者や業務経験者が優遇される傾向にあります。
- 介護経験や有資格者
- 医療事務の経験や有資格者
- 簿記資格者
- 運転免許
前述でお伝えした経験はあくまでも歓迎される経験のため、経験がない方でも介護事務の仕事に就くことは可能です。
介護事務が活躍できる就職先
介護事務が活躍できる就職先は以下の通りです。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 有料老人ホーム
- グループホーム
- デイサービス
- 訪問介護事業所
前述の通り介護事務として働く場所は数多くあります。
ただし就職先によっては介護事務と介護業務を兼務する場所もあり、介護事務の業務範囲は施設や事業所によって異なります。
職場を選ぶ際は介護事務員と介護職員両方の視点で、利用者とどのように関わりたいかを基準に職場を選びましょう。
介護事務の将来性
高齢化が進み介護業界は常に人材不足で、事務職も例外ではないでしょう。
介護事務職の業務では、介護報酬の請求や各種行政手続きなど、専門性の高い業務が数多くあります。
さらに介護保険制度は3年に1度の改正があり、知識のアップデートと共に幅広い業務知識が欠かせません。
今後の介護業界はAIの導入が予想されますが、もうしばらくはAIが介護事務職をすべてを担当することは難しいでしょう。
介護事務の業務には書類作成だけではなく現場の補助やケアマネージャー・介護利用者やその家族とのコミュニケーションが含まれるためです。
したがって完全にデジタル化することは難しいため、将来性が高い職種と言えるでしょう。
介護事務の給料相場
介護事務の給料相場は、常勤で30.8万円、非常勤(パート)17.9万円、ハローワーク求人統計データ 18.8万円です。
参考:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果 厚生労働省老健局老人保健課(p119)介護事務 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
前述の給料を参考に基本給を算出すると、正社員は約20万円で非常勤の時給は約1,450円が平均値です。
ただしハローワークの求人統計データを確認すると18.8万円のため、住んでいる地域や職場によっても差はあるでしょう。
なお今回紹介した給料相場には月によって変動する支給額は含まれていないため、支払われる給料は多くなる可能性があります。
介護事務と医療事務の違い
介護事務は特別養護老人ホームやデイサービスなどの、介護サービスを提供している介護施設や介護事業所が勤務先です。
主な業務は介護報酬を請求する際に必要となる、介護給付費明細書(レセプト)の作成業務を担っています。
一方、医療事務はクリニック・医院・総合病院・救急病院・歯科医院などの、医療機関が勤務先です。
主な業務内容は診療費用請求の際に必要な、診療報酬明細書(レセプト)の作成業務を担っています。
前述から介護事務と医療事務では、勤務先から業務内容まで大きな違いがあります。
介護事務の仕事内容
介護事務の主な仕事内容は以下の通りです。
- 受付業務
- 職員の労務管理
- 施設の整備
- レセプトの作成
- 利用者への請求書作成
- ケアマネジャーのサポート
など多岐にわたります。
以下では介護事務の仕事内容を詳しく紹介します。
受付業務
受付業務は介護施設や事業所の顔となるポジションです。
主な業務内容は、以下の通りです。
- 電話対応
- 来客対応
- 利用者および家族に対してサービス内容や利用料の案内
- 施設への入居や退去に関わる手続き
電話対応では電話の相手は、医療機関の関係者や一般の方までさまざまで、臨機応変な対応が求められます。
さらに来客対応では座席や飲み物の準備など、来客時のマナーに対する知識が必要です。
受付業務では利用者および利用者の家族と関わる機会が多いため、より親切・丁寧な対応が求められるでしょう。
職員の労務管理
介護施設や事業所で働いている職員の労務管理は、介護事務員が担っています。
主な業務内容は、以下の通りです。
- シフト管理
- 給与計算
- 勤怠管理
- 福利厚生管理
- 社会保険の手続き
- 労働契約書の作成
- 給与明細の作成
前述の通り介護事務員であっても、労務管理をする施設や事業所もあるため、介護に関する知識のみならず労務に関する知識も必要です。
施設の整備
介護事務員は環境整備や備品の管理にも対応し、環境整備では施設周辺の清掃や設備が故障・破損していた場合、業者への修繕依頼をします。
介護用設備にトラブルが発生した場合は、現場の職員と共に予算を考慮しながら対策を講じます。
さらに介護施設や事業所では、事務用品から医療品まで多数の備品があり、備品管理も介護事務員の仕事です。
在庫切れや足りない備品は何かを常に把握し、必要であれば発注をします。
レセプトの作成
介護事務の業務で最も重要な業務のひとつである介護報酬請求業務、通称レセプトの作成です。
介護保険制度では、利用者の負担は原則介護サービス料の1割(2割または3割)負担で、残りは市町村が負担します。
そのため介護報酬請求は介護保険制度に基づき、介護報酬請求書の作成・点検・保険者への請求作業をします。
レセプトは、前月に提供した分の介護報酬を月に一度請求する大切な業務のため、期限厳守で対応しなければならない重要な業務です。
利用者への請求書作成
介護事務員は利用者への請求書作成業務も担っています。
介護報酬請求によって算出された金額に基づき、利用者が自己負担するサービス料を請求する業務です。
請求書を作成した後は、郵送もしくは利用者や家族へ手渡しで届けます。
請求書発行業務もレセプト同様、期限厳守で作成しなければならない重要な業務です。
ケアマネジャーのサポート
介護事務員はデスクワークのみならず、ケアマネジャーのサポートもしています。
主なサポート業務内容は以下の通りです。
- 送迎
- 配膳
- 洗濯
- 介助の補助
- 書類作成
ケアマネジャーの主な業務は介護を必要としている方へ、適切な介護サービスを提供できるようにケアプランの立案から作成を担っています。
ケアプランを作成する場合、介護保険料や介護給付費が関係するため、介護事務員にも補佐が求められます。
ただし、サポートの範疇や頻度は施設や事業所によって異なるでしょう。
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介護事務に向いている人の特徴
介護事務に向いている人には以下の特徴があります。
- 事務作業が苦にならない人
- 管理能力に長けている人
- 介護に興味や関心のある人
以下では介護事務に向いている人の特徴を詳しく解説します。
事務作業が苦にならない人
介護事務はケアマネジャーのサポート業務をする場合もありますが、基本的にデスクワーク中心です。
デスクワーク中心の仕事は、長時間事務所内に座って事務作業をするため、デスクワークが苦でないと感じることも介護事務における適性です。
特に介護報酬請求業務は請求額に間違いがないように、パソコン画面と長時間向き合います。
業務上扱う金額も高額であるため、プレッシャーやストレスに感じる方も多いでしょう。
自身のストレス発散方法がある方や、健康管理ができる方は介護事務の仕事が向いているでしょう。
管理能力に長けている人
介護事務は請求書や書類作成業務が多く、期限内にまとめて提出しなければならないため、各書類の期限をしっかり守れるスキルも重要視されます。
スケジュール管理やタスク管理が得意な方は、計画的に仕事を進められるため、介護事務に向いています。
さらに提出書類に関しても記入漏れや、請求額にミスがないように提出しなければならないため、細かな作業を正確・迅速に対応できる方が向いているでしょう。
介護に興味や関心のある人
過去に介護や福祉経験がなくても、人の役に立ちたい・介護業界に興味や感心がある方は、介護事務に向いています。
介護業界は未経験でも入りやすい業界であるため、経験の有無よりも介護に対して興味・感心があるか否かが重要です。
介護事務は施設や事業所を支える大黒柱のような存在のため、業務に対してやりがいを感じられる人が、介護事務の仕事に向いているでしょう。
介護事務で求められるスキル
介護事務で求められることは以下のスキルです。
- 介護保険に関する知識
- パソコンスキル
- コミュニケーション能力
パソコンスキルやコミュニケーション能力は、一般的な事務でも大切なスキルで、介護保険に関する知識が求められることは介護事務ならではですね。
以下では介護事務において求められるスキルに関して詳しく解説します。
介護保険に関する知識
介護事務では介護報酬請求業務に関する知識と、スキルは欠かせないでしょう。
介護報酬請求業務は介護施設や事業所の利益に直結する業務のため、未経験で働く場合でもある程度の知識を備えておきましょう。
さらに介護保険に関する知識も必要です。
介護にまつわる費用で市町村や介護施設と連携を取りながら進めるため、制度をよく理解し申請する必要があります。
また介護報酬に関しても、請求時の流れや計算方法を理解しておくと、働いてからの負担軽減につながります。
パソコンスキル
介護事務の業務はデスクワークが中心となり、パソコンを使っての業務が中心です。
基本的なパソコン操作に加え、Word・Excelの知識があると尚よいでしょう。
したがってパソコンの基本的な操作が分からない場合は、作業効率も低下する可能性があるため、介護事務の仕事に就く前にマスターしておきましょう。
一方パソコンスキルが十分ある場合、仕事をより効率的に進められます。
コミュニケーション能力
介護事務は受付業務を通して、利用者やその家族・医療関係者・行政担当者など、さまざまな人とやり取りをします。
そのため介護事務員は聞いたことを的確に人に伝える、コミュニケーション能力が重要視されます。
介護施設や事業所の顔として円滑なコミュニケーションを取り、よい印象を与えられるようにしましょう。
介護事務員はデスクワーク業務でありながらも、多様な人間関係がある中で働くため、コミュニケーション能力の有無は重要視されます。
介護事務でやりがいを感じるポイント
介護事務でやりがいを感じるポイントは以下の通りです。
- 幅広い知識が身に付く
- 施設利用者から感謝されやすい
- 責任が大きい
介護事務はデスクワークが中心で、やりがいを感じにくいと思う方も多いでしょう。
しかし前述の通り、介護事務でも多数のやりがいを感じながら、日々業務にあたっています。
以下では介護事務でやりがいを感じるポイントについて、詳しく見ていきましょう。
幅広い知識が身に付く
介護事務に携わることで、幅広い知識や対応力が身に付きます。
業務の性質上介護事務員は施設や事業所の、受付業務全般を対応します。
そのため利用者のみならず利用者の家族や新規利用者希望の方など、さまざまな人と関わりながら業務を進めるため、対応力が身に付けられるでしょう。
したがって単調な日々の繰り返しではなく、多様な業務を担っているので毎日が刺激的で、マンネリ化しづらい環境です。
多様な業務を担っているため、介護業界における幅広い知識を身に着けられ、やりがいを感じながら業務を進められます。
施設利用者から感謝されやすい
介護事務は利用者やその家族、外部の人間と接する機会が多いため、感謝されやすい環境です。
自身の対応が相手から必要とされる場面や、利用者や外部の人間から感謝される機会も多く、やりがいを感じやすいでしょう。
たとえば利用者の補助や外部の人と連携しながら業務を進め、自分の行動や取り組みによって相手の好感を得られれば、直接感謝の言葉や喜びを聞けます。
自分の行動が他者から喜んでもらえたり、感謝されたりすると仕事へのモチベーションがアップし、より一層頑張ろうと思えるでしょう。
責任が大きい
介護事務は施設や事業所によっては、戦略や運営に携われます。
ときには総務のように施設や事業所運営全般の把握や、経理のように施設や事業所の収支把握をし、問題が起こった際は把握している内容を基に打開策を考えます。
さらに管理者や役職スタッフとともに戦略会議に同席し、介護事務の立場として意見を述べる機会もあるでしょう。
責任がある仕事に携われるため、仕事に対して達成感ややりがいを感じられます。
あると有利な資格
介護事務に国家資格はありませんが、民間資格を取得すると業務がスムーズに行えるでしょう。
介護事務として取得していると有利な資格は以下の通りです。
- 介護事務管理士
- ケアクラーク
- 介護報酬請求事務技能検定
- 介護事務認定実務者(R)
- 介護保険事務管理士
前述の資格を詳しく解説します。
介護事務管理士
介護事務管理士技能認定試験は、技能認定振興協会(JSMA)主催の、比較的認知度が高い民間資格です。
資格を取得すると介護事務として、働くうえで必要な介護報酬請求業務・受付窓口業務の知識やスキルを証明できます。
試験は毎月開催し在宅で受験も可能です。
試験内容は法規・介護請求に関する学科と、レセプト点検にまつわる実技が出題されます。
学科・実技ともに60%以上の得点で、全問の得点合計が80%以上で合格となり、合格率の平均は70%以上と高いため、未経験で介護事務に挑戦する方にもおすすめです。
参考URL:介護事務管理士®技能認定試験
ケアクラーク
ケアクラーク技能認定試験は、一般財団法人 日本医療教育財団主催の民間資格です。
資格を取得すると介護報酬請求事務や、社会福祉制度に関する知識・スキルを証明できます。
試験は毎年5月・9月・1月の年3回の実施し、在宅での受験も可能で試験内容は学科が介護事務知識に関する筆記問題で、実技は介護報酬請求事務や介護給付費明細書作成です。
合格率は学科・実技共に70%以上で、高めの基準となっています。
参考URL:ケアクラーク技能認定試験の概要
介護報酬請求事務技能検定
介護報酬請求事務技能検定試験は、日本医療事務協会が主催の民間資格です。
資格を取得すると介護報酬請求事務の知識と技能を証明できます。
試験を受けるには協会主催の介護事務講座を受講する方のみです。
会場で試験を受ける際は偶数月で、在宅で試験を受験する際は毎月実施し、学科試験と介護給付費明細書を作成する実技試験が出題されます。
合格率は80%以上で高い合格率を誇っているため、介護事務に関わる資格を初めて取得しようと思っている方にはおすすめです。
参考URL:介護報酬請求事務技能検定試験とは
介護事務認定実務者(R)
介護事務認定実務者試験は、全国医療福祉教育協会が主催の民間資格です。
資格を取得すると介護保険制度や介護給付などに関わる知識と技能を証明できます。
試験は毎月実施で在宅での受験も可能です。
試験内容は学科が介護保険制度や介護給付費明細書に関する知識で、実技が介護給付費明細書作成です。
合格率は60%〜80%で高い合格率のため、介護事務に関わる資格を初めて取得しようと思っている方におすすめですね。
参考URL:介護事務認定実務者(R)試験とは?
介護保険事務管理士
介護保険事務管理士は、一般財団法 日本病院管理教育協会が主催の民間資格です。
資格を取得すると介護施設や事業所で、介護報酬請求業務に関わる知識と技能を証明できます。
資格取得にあたり、一般財団法 日本病院管理教育協会が指定した教育指定校に通学し、介護事務に必要な専門知識を学びます。
指定校で学べる履修科目は以下の通りです。
- 制度の仕組みと関連法規を含む介護保険法制度論
- 報酬の原則と算定のポイントを含む介護報酬算定理論と実務
そのうえで資格認定試験を受験し合格した際は、資格の認定申請をしましょう。
参考URL:介護保険事務管理士
まとめ
本記事では介護事務の仕事内容や、求められるスキル・資格についても紹介しました。
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