ヘルパー1級を保有し、ホームヘルパーとして活躍している方の中には、介護士としてのスキル・キャリアアップや、給料アップを目指している方もいるでしょう。
また、ヘルパー1級が廃止になったことは知っていても、代わりとして開始された実務者研修に関しては詳しくないという方も少なくありません。
この記事では、ヘルパー1級と実務者研修・介護福祉士の違い、ヘルパー1級が実務者研修を受講するメリットなどについて説明しています。
ヘルパー1級保有者が、実務者研修を受講する際に免除となる科目についても説明していますので、最後まで読んでキャリアアップにつなげましょう。
この記事でわかること
- ヘルパー1級と実務者研修や介護福祉士との違い
- ヘルパー1級は廃止後どのように変更になったのか
- ヘルパー1級保有者が実務者研修を受けるべき理由
こんな人におすすめの記事です
- ヘルパー1級保有者で、スキルや給料アップを考えている方
- ヘルパー1級と実務者研修の違いについて知りたい方
ヘルパー1級とは?
ヘルパー1級(ホームヘルパー1級)とは、ヘルパー2級修了者を対象にした資格で、目的は、主任ヘルパーの養成です。
正式名称は、「訪問介護員養成研修1級課程」で、取得には、以下の講義・実務・演習を合計230時間受講する必要がありました。
- 介護技術に関する講義・演習
- 福祉用具の操作法に関する演習
- 介護実習
しかし、介護を担う人材の不足を解消することを目的として、キャリアパスを明確にするために、ヘルパー試験制度は廃止されています。
2013年にヘルパー試験制度が廃止されたあとは、1級は実務者研修に、2級は初任者研修に変更されました。
ただし、ヘルパー1級の資格は、現在も保有資格として履歴書等に記載が可能です。
では、実務者研修になったことで、どの部分が変更になったのでしょうか。
実務者研修との違いや、混同しやすい介護福祉士との違いについて確認していきましょう。
実務者研修との違い
実務者研修は、質の高い介護を安定して提供するために、基本的な介護提供能力を修得することを目的としています。
実務者研修は、「介護職員基礎研修」と「ホームヘルパー(訪問介護員)養成研修1~3級」を1本化した資格です。
また、実務者研修は、介護福祉士養成校の到達目標と同じ水準で実施されているため、ヘルパー1級よりも、高いスキルと知識を修得できることが特徴です。
具体的には、以下の3つの違いがあります。
- 医療的ケア・介護課程Ⅲが追加されている
- 訪問介護以外の業務もできる
- 介護福祉士国家試験の受験資格を得られる
実務者研修では、介護の質の向上を目的として、医療的ケアと介護課程Ⅲの科目が追加となりました。
これにより、実務者研修を修了し、実地試験を行った方は、喀痰吸引や経管栄養の実施が可能となっています。
さらに、ヘルパー1級は訪問介護に特化した資格でしたが、実務者研修では、幅広い知識やスキルを修得できるため、訪問介護以外でも業務ができるようになります。
また、実務者研修を修了すると、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。
ヘルパー1級では、受験資格は得られないため、注意しましょう。
介護福祉士との違い
介護福祉士は、介護業界で唯一の国家資格です。
ヘルパー1級取得者が、介護福祉士になるためには、介護現場で3年以上の実務経験を積み、さらに、実務者研修を修了する必要があります。
ヘルパー1級取得者が実務者研修を受ける4つのメリット
ヘルパー1級を保有していれば、実務者研修を受ける必要はないと思っている方もいるかもしれません。
しかし、ヘルパー1級取得者が実務者研修を受けることで、以下の4つのメリットがあります。
- スキルアップになる
- 給料アップになる
- サービス提供責任者になれる
- 転職で有利
スキルアップや給料アップを目指している場合には、特に、実務者研修を取得すると良いでしょう。
スキルアップになる
実務者研修のカリキュラムの中には、「喀痰吸引」と「経管栄養」といった医療的ケアが含まれます。
実際に介護の現場で、医療的ケアができるようになるのは、実務者研修修了後、実地試験を受けてからになります。
そのため、すぐに医療的ケアができるわけではありませんが、医療的ケアに関する知識が身につくため、確実にスキルアップにつながるでしょう。
さらに、医療的ケアについて学んでおくことで、万が一のトラブルの際にも冷静な判断ができるようになるため、自信にもつながります。
給料アップになる
令和3年度のホームヘルパー(訪問介護事業所)の月収は、資格別にみると以下の通りです。
資格 常勤 初任者研修 309,060円 実務者研修 315,360円 介護福祉士 321,350円
このように、できる業務が増えるほど、比例して給料も上がっていくことがわかります。
ヘルパー1級の給料については明記されていませんが、ヘルパー1級よりも実務者研修修了者のほうができることが増えるため、給料も上がる可能性があります。
さらに、実務者研修の資格があれば、介護福祉士の受験が可能です。介護福祉士の資格を取得できれば、さらに給料アップを目指せるでしょう。
サービス提供責任者になれる
サービス提供責任者とは、訪問介護サービスの責任者で、訪問介護サービスの計画や運営が主な仕事です。「サ責」とも呼ばれます。
サービス提供責任者になるためには、実務者研修を修了していなければなりません。
ヘルパー1級保有者でも、サービス提供責任者にはなれます。
しかし、ヘルパー試験制度は10年前に廃止となっているため、実務者研修を修了していた方がより確実です。
また、現場の仕事とは異なるため、業務の幅も広がり、ヘルパーとしてさらに成長できるでしょう。
ホームヘルパーへの指導や育成、管理などもサービス提供責任者の仕事であるため、ヘルパーとしての経歴も生かせる仕事です。
転職で有利
実務者研修の修了は、介護に対する専門的知識と技術を修得していることの証明となります。
そのため、ヘルパー1級保有者よりも優遇される場合が多く、転職の際に有利になるでしょう。
ヘルパー1級取得者は実務者研修が一部免除になる
実務者研修は、「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」の3つの座学と、「医療的ケア」の実技を学びます。科目にすると20科目、時間にすると450時間です。
ただし、実務者研修の内容は、介護関連の資格と重複する科目があるため、有資格者に関しては、一部免除となる科目があります。
ヘルパー1級も例外ではありません。
ヘルパー1級保有者は、科目にすると2科目、時間にすると95時間の研修で、実務者研修が修了します。
具体的には、以下の表を参考にしてください。
○がついている科目が、免除となる科目です。
受講時間 訪問介護員研修1級 人間の尊厳と自立 5時間 ○ 社会の理解Ⅰ 5時間 ○ 社会の理解Ⅱ 30時間 ○ 介護の基本Ⅰ 10時間 ○ 介護の基本Ⅱ 20時間 ○ コミュニケーション技術 20時間 ○ 生活支援技術Ⅰ 20時間 ○ 生活支援技術Ⅱ 30時間 ○ 介護過程Ⅰ 20時間 ○ 介護過程Ⅱ 25時間 ○ 介護過程Ⅲ 45時間 発達と老化の理解Ⅰ 10時間 ○ 発達と老化の理解Ⅱ 20時間 ○ 認知症の理解Ⅰ 10時間 ○ 認知症の理解Ⅱ 20時間 ○ 障害の理解Ⅰ 10時間 ○ 障害の理解Ⅱ 20時間 ○ こころとからだのしくみⅠ 20時間 ○ こころとからだのしくみⅡ 60時間 ○ 医療的ケア 50時間 合計時間 450時間 95時間
また、費用に関しても、ヘルパー1級所有者は免除となる科目がある分、無資格の方よりも安く済みます。
無資格の方が実務者研修を受ける場合の費用の相場は、7~20万円ですが、ヘルパー1級の場合には、5~10万円です。
実務者研修の費用は、研修を行っている施設によってさまざまですので、注意しましょう。
実務者研修を修了して介護業界で働こう
ヘルパー1級は、2013年に廃止され、実務者研修へ変更となりました。
しかし、実際には、ヘルパー1級と実務者研修では、学ぶ内容などに違いがあり、実務者研修修了者にはできて、ヘルパー1級保有者にはできないこともあります。
ヘルパー1級は、現在でも介護業界で通用する資格です。
ただし、キャリアアップや給料アップを目指すには、実務者研修の取得が必要です。
ヘルパー1級保有者であれば、短期間で実務者研修を修了できます。
実務者研修を受講し、介護士としてキャリアアップ・給料アップを目指しましょう。
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