介護士として長い間働いてきた方の中には、給料アップのために介護福祉士を目指すか、ほかの職種に転職するか悩んでいる方もいるでしょう。
介護福祉士を取得した場合、今後給料が上がっていくのかどうかが気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、介護福祉士の給料相場や、今後給料が上がるかどうかの予想、介護福祉士の給料の推移などについて解説していきます。
給料を上げる具体的な方法についても紹介しているため、最後まで読んで給料アップにつなげていきましょう。
この記事でわかること
- 介護福祉士の今後の給料予想
- 介護福祉士の給料の推移
こんな人におすすめの記事です
- 介護福祉士資格の取得を検討している方
- 介護福祉士の今後の給料が知りたい方
介護福祉士の現在の給料相場
厚生労働省が公表した「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護福祉士の平均月収は、328,720円でした。
ただし、介護福祉士の平均月収は、施設形態や性別・年齢、地域によって差があります。
たとえば、都道府県別にみてみると、もっとも平均月収が高い東京都の352万円と、もっとも安い青森県の246万円では約106万円の差があります。
性別・年齢別では、男性の場合、もっとも平均月収が高いのは40~49歳の35万5,700円ですが、女性の場合は50~59歳の31万5,760円です。
カテゴリー別の詳しい月収や手取りについては、以下の記事で詳しく説明しています。
介護福祉士の今後の給料は上がる予想
現在、介護福祉士の人材不足は深刻な問題となっており、その理由のひとつとして「給料が安い」という点が挙げられます。
そこで国として、介護福祉士の給料アップを狙い、以下の取り組みを行っています。
- 介護職員処遇改善加算
- 介護職員等特定処遇改善加算
さらに、岸田総理が賃金アップについて言及したことも話題となりました。
介護福祉士の給料の推移とあわせてみていきましょう。
介護職員処遇改善加算
介護職員処遇改善加算とは、介護職員の賃金と処遇の改善を目的とした制度で、2009年から開始されました。
具体的には、介護職員が安定して働くために、職場環境やキャリアアップの仕組みを整えた施設に対して、国から報酬が出る制度です。
報酬をもらうためには、施設側が加算の届出を申請しなければなりません。
金額に関しては、国が定めた「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」をどの程度満たしているかによって異なります。
キャリアパス要件には、以下の3種類があります。
- 職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
- 資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
- 経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること。
キャリアパス要件Ⅲの「昇給する仕組み」とは、勤続年数や資格の取得などに応じて、昇給する仕組みのことです。
職場環境等要件は、「賃金改善以外の処遇改善(職場環境の改善など)の取組を実施すること」をいいます。
キャリアパス要件と職場環境等要件をもとに、国が定めた金額は以下の通りです。
区分 要件 金額 加算Ⅰ キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲのすべてと、職場環境等要件を満たす 介護職員1人当たり月額37,000円相当 加算Ⅱ キャリアパス要件ⅠおよびⅡと、職場環境等要件を満たす 介護職員1人当たり月額27,000円相当 加算Ⅲ キャリアパス要件ⅠまたはⅡと、職場環境等要件を満たす 介護職員1人当たり月額15,000円相当 加算Ⅳ キャリアパス要件ⅠまたはⅡまたは、職場環境等要件を満たす 介護職員1人当たり月額13,500円相当 加算Ⅴ キャリアパス要件と職場環境等要件のいずれも満たさない 介護職員1人当たり月額12,000円相当
このうち、もっとも金額の多い区分Ⅰが、2017年4月から新たに追加となりました。
介護施設がすでに介護職員処遇改善加算の申請を行っている場合には、「処遇改善加算手当」といった形で求人情報に記載されている場合が多いです。
求人情報を確認する際には、手当の内訳も確認すると良いでしょう。
介護職員等特定処遇改善加算
介護職員等特定処遇改善加算とは、介護職員の人材確保を目的とした制度で、2019年から新たに開始されました。
具体的には、勤続年数が10年以上の介護福祉士に対して、「年収400万円以上の支払い」または「月収80,000円以上の給料アップ」となります。
加算報酬の対象を「勤続年数10年以上の介護福祉士」とした背景には、介護福祉士の離職率を下げる狙いがあるのでしょう。
岸田総理が賃金アップについて言及
岸田総理は介護福祉士の賃金アップについて言及しています。
実際に、2022年2月からは「コロナの克服・新時代開拓のための経済対策」として、福祉・介護職員の給料を引き上げる「介護職員処遇改善臨時特例交付」が開始されています。
介護職員処遇改善臨時特例交付は、2022年2月~9月までの8か月間、介護職員1人あたりに対し、収入の3%程度(月額9,000円相当)引き上げるものです。
ただし、2022年10月以降も、臨時の報酬改定として継続されています。
介護福祉士の給料の推移
介護福祉士の給料は、基本的に右肩上がりとなっています。
常勤の月収で確認していきましょう。
介護職員処遇改善加算の区分Ⅰが開始された2017年の介護福祉士の給料は、30万4,630円でしたが、翌年には31万3,920円に上がっています。
また、介護職員等特定処遇改善加算が開始された2019年の給料は、31万3,590円でしたが、翌年には32万9,250円に上がっています。
そして、令和3年度の給料は、32万8,720円でした。
このように、少しずつですが、介護福祉士の平均月収が上がっていることがわかります。
さらに、2021年12月、内閣官房は、介護士の人材と給料の最終目標について「職種毎に仕事内容に適正な水準まで賃金が上がり、必要な人材が確保されていること」と述べています。
したがって、今後さらに介護福祉士の給料は上がっていくことが予想されます。
介護福祉士の給料が安すぎるといわれる理由
介護福祉士は、無資格者や初任者・実務者研修修了後の方の給料と比較すると高く、「勝ち組」といわれることもあります。
資格の種類 給与 無資格 271,260円 介護職員初任者研修 300,510円 介護福祉士実務者研修 307,330円 介護福祉士 328,720円
しかし、介護福祉士と同じ国家資格である看護師などと比較すると給料が低く、年収500万円の求人はあっても、年収600万円以上の求人はほぼありません。
介護福祉士の給料が安い主な理由には、以下があります。
- 介護報酬の上限が決められている
- 無資格でも働ける
介護報酬とは、要介護認定を受けた要支援・要介護者に介護サービスを提供した施設に対し、対価として支払われる報酬のことです。
介護福祉士の給料は介護報酬から支払われるのが基本です。
しかし、介護報酬には上限が定められています。
したがって、たとえ施設側が給料を上げたいと思っても、上げられないのが実情です。
また、介護福祉士の仕事は無資格者である介護士もできることも、なかなか給料が上がらない理由のひとつです。
介護福祉士の給料を上げるには?
介護福祉士の給料を上げる具体的な方法には、以下の4つの方法があります。
- 手当をもらう
- 資格を取得する
- 勤続年数を増やす
- 転職する
介護福祉士が現場の仕事をしながら給料を上げるには「年末年始手当」「夜勤手当」など、手当がつく勤務を増やしていく方法があります。
また、介護福祉士であれば「役職手当」を目指すのもひとつの方法です。
介護業界で昇進する場合には、年齢よりも、いままで培ってきた経験や知識・技術などが重視される傾向にあります。
そのため、介護福祉士を有していれば、役職に就きやすくなります。
介護福祉士の上位資格である「認定介護福祉士」や「ケアマネージャー」の資格を取得し、給料アップを目指しても良いでしょう。
現在の職場に不満がない場合には、勤続年数を増やしていくのもひとつの方法です。
ただし、介護福祉士の給料は、施設によって差があります。
介護福祉士は、介護関連の資格で、唯一の国家資格となるため、転職の際にも非常に有利です。
自身の勤めている施設の給料の相場が低い場合には、転職するのも良いでしょう。
介護福祉士の給料は今後上がることが予想される
介護福祉士の給料は、少しずつではありますが右肩上りとなっており、今後も上がることが予想されます。
ただし、介護福祉士の給料は施設によって差があるため、給料アップを目指して、転職を検討するのも良いでしょう。
介護福祉士の転職には、3万件以上の求人掲載があるカイゴLINKがおすすめです。
欲しい求人が3分で見つかりすぐ申し込めるので、まずはどのような求人があるかチェックしてみてください。