特別養護老人ホーム(以下特養)とは、要介護3以上で常時介助を必要とする高齢者を対象とした介護施設で、身体状況が比較的重度の方々の介護を行うことになります。
そんな特養での夜勤というと、しんどいイメージや、実際に大変という話を聞く機会もあり、特養への転職を考えている方は不安に感じることもあるでしょう。
漠然とした不安を解消するためには、まず特養の夜勤の仕事内容を知り、なぜしんどいと言われるのかを理解することが大切です。
今回は、ユニット型と従来型の特養の違いについて解説しながら、特養の夜勤のメリットとデメリットをご紹介します。
この記事でわかること
- 特養の夜勤の仕事内容
- 特養の夜勤がしんどいと言われる理由
こんな人におすすめの記事です
- 特養の夜勤で働くことを検討している方
- 特養の夜勤で大変なことを知りたい方
特養の夜勤がしんどいと言われる4つの理由
「特養の夜勤がしんどい」というのは、介護業界ではよく聞く話です。
その理由として、以下の4つが挙げられます。
- スタッフの数が少ない
- 生活リズムが崩れる
- 精神的・体力的に疲れる
- 介護スキルが問われる
それぞれ詳しく解説します。
スタッフの数が少ない
特養の夜勤は、日勤帯と比べて入居者数に対する介護士の人数が少なくなる傾向にあります。
厚生労働省が定めた人員配置基準では、入居者数が25人以下の場合は介護士および看護師が1名以上となっています。
日勤は入居者3名に対して介護士および看護師が1名以上と定められており、それと比較すると夜勤帯は職員1人あたりの負担が大きくなる可能性があります。
見守りや巡回、呼び出し対応などをしているとろくに休憩を取れないことも少なくありません。
これらはあくまで最低限の基準になるので、実際には就職先に確認することをおすすめします。また、夜勤を担当するまでの研修体制も合わせて確認すると安心して業務に当たることができるでしょう。
生活リズムが崩れる
特養での夜勤は、2交代制を採用していることが多く、大体夕方17:00〜朝9:00程度の勤務となります。
夜勤中に休憩や仮眠を取れる場合もありますが、人員配置によっては仮眠を十分に取れないこともあります。
また、公益財団法人介護労働安定センターの調べによると、入所系介護施設での月の夜勤回数は、5〜7回の回答が多くなっています。
この数字から、日勤と兼務が前提の職員が多く、月に5回程度の夜勤の前後には、日中の生活リズムが崩れてしまう可能性があります。
生活リズムが一定でないと家族との時間を合わせづらくなるため、特に家庭がある方はこの点をデメリットに感じることも多いでしょう。
転職を考えている場合は、月の夜勤回数や、夜勤明けに休みが取れるかなど、転職を検討している施設が生活リズムを整えやすい体制をとっているか、確認するようにしましょう。
精神的・体力的に疲れる
特養は身体状況が重度の高齢者が多く、施設によっては看取り対応を進めている場所も少なくないため、入居者の状態が不安定なこともしばしばあります。
長時間の拘束時間のなかで、介助量が多くなり体力的に疲労が溜まるのはもちろん、状態が不安定な入居者の緊急事態にも備える必要があり、精神的な疲労を感じることもあるでしょう。
緊急時の対応を事前に確認し、看護師や医師との連携を普段から意識することで、安心して夜勤業務に当たることができるでしょう。
介護スキルが問われる
特養は介護施設の中でも、介護度が高い方が入所する施設です。中等度以上の身体介助や、おむつ交換などの介護業務のスキルが必要になります。
さらに、じょく瘡や関節の固まり、皮膚の弱い方など、身体状況が重度の方が多い特養では配慮する点が多くなるため、状態の把握や勉強をしながら業務にあたることが求められます。
特養の夜勤の仕事内容
特養では2交代制を採用していることが多く、夜勤は大体が夕方17:00〜朝9:00の勤務となり、この中に休憩2〜3時間を含んでいます。
特養での夜勤中の仕事内容として、主に以下の9つが挙げられます。
- 日勤の介護士からの申し送り
- 夕食の準備から食事介助
- 投薬の介助
- 排泄の介助
- 就寝後の巡回や安否確認
- 緊急時対応(救急搬送が必要な場合もある)
- 起床介助
- 朝食の介助
- 翌勤務者への申し送り
一般的な介護施設と大きくは変わりありませんが、入居者は移動はもちろん、起き上がりや座った姿勢の保持も難しい場合があります。
1つ1つの介助量が大きくなる点は、特養の介護業務の特徴です。
ユニット型特養と従来型特養の違い
特養には、ユニット型と従来型の2つのタイプがあります。
従来型特養は、ほとんどの施設において「4人1部屋」の相部屋で入居することになります。
従来型は特に多床室を全員で見るような作りになっていることが多いので、全員で手分けして業務を行えるメリットがあります。
しかしその反面、食事の時間や起床介助時などは一斉に入居者を案内する必要があり、あわただしくなるデメリットもあります。
ユニット型は「新型特養」とも言われ、全室個室でプライバシーが確保されている特徴があります。約10部屋で1つのユニットが構成されており、各ユニットに専従の介護スタッフが配置されます。ユニットごとに担当が割り振られるため、高い介護スキルが求められる特徴があります。
入居者は、自宅で過ごす延長のようにくつろげる設計になっており、これから需要が高まっていくことが予想されます。
以下で、ユニット型特養における夜勤の特徴を解説します。
ユニット型特養の夜勤の人員配置基準
ユニット型特養では、夜間、2ユニットに対して1人以上の介護職員または看護職員を配置することが定められています。
2ユニット以下の施設では、夜間1人体制での業務となることもめずらしくありません。利用者を放置するわけにはいかないので、まとまった休憩を取れない可能性があります。
ユニット型特養での夜勤はきつい?
介護職員にとってユニット型特養での夜勤は、「きつい」と感じる部分もあるでしょう。
特にきついと言われる理由は、夜間の人員配置が少ないことによる見守りや呼び出しへの対応の忙しさや、休憩が十分に取れないことが大きいようです。
しかし、従来型特養においても夜間の人員配置の少なさは同様に「きつい」と感じる大きな原因になります。
従来型特養とユニット型特養を比較した場合に、ユニット型特養での夜勤が特別「きつい」とは言えないでしょう。
どちらのタイプの特養であっても、就職する前に施設ごとの夜勤の体制を確認する必要があるでしょう。
特養の夜勤で働く3つのメリット
「きつい」「しんどい」と言われる特養での夜勤ですが、夜勤ならではのメリットもたくさんあります。
- 収入がアップする
- 夜勤明けは多く休みがとれる
- 荷中の時間を自由に使える
上記3つの夜勤で働くメリットを解説します。
夜勤の「しんどい」部分とメリットを理解して、特養への就職を検討しましょう。
収入がアップする
夜勤をする回数に応じて、基本給と別で夜勤手当がつきます。夜勤手当の金額は施設によって異なりますが、1回の夜勤につき平均で6千円程度となっています。
月に5回夜勤があるとすると、単純計算で約3万円の収入アップになります。
収入を重視する介護職員にとっては、夜勤を含んだ勤務をするメリットが大きいと言えます。
夜勤明けは多く休みがとれる
2交代制の夜勤では、夜勤明けの日中と、その翌日も丸一日休日になる施設が多いです。
まとまったプライベートの時間を取ることができるのは、特養での夜勤をする大きなメリットです。
日中の時間を自由に使える
夜勤での勤務当日や夜勤明けは、日中に自分の時間を多く取ることができます。
スキルアップや資格取得を目指して学業に力を入れたい方や、昼間の就業が困難な家庭事情がある方にとって、夜勤は効率のいい働き方と言えます。
夜勤前後の生活リズムの調整や休養も大切なので、自身の体力と相談しながら、無理のない勤務を心がけましょう。
夜勤のメリット・デメリットを理解して働き方を検討しよう
特養での夜勤は、「きつい」と感じる部分もありますが、まとまった自由な時間を取りやすい点や給与面など、メリットも多くあります。
特養という施設の特徴や、夜勤の仕事内容を理解して、就職を検討しましょう。
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