介護の16時間夜勤と聞くと「時間が長くてきつい」というイメージを持たれている方も多いかもしれません。
夜勤を検討していても、仕事内容や休憩時間など具体的な様子がわからないと不安に感じるでしょう。
この記事では、実際に働いた経験をもとに16時間夜勤の実態について解説していきます。
16時間夜勤のメリットやデメリットもご紹介しますので、ぜひ、転職の参考にしていただければ幸いです。
この記事でわかること
- 16時間夜勤の仕事内容や働き方
- 16時間夜勤のメリット・デメリット
こんな人におすすめの記事です
- 16時間夜勤を検討している方
- 16時間夜勤の働き方について知りたい方
16時間夜勤の実態とは
夜勤回数や休憩時間など16時間夜勤の実態について以下で詳しく解説します。
夜勤回数
2022年介護施設夜勤実態調査結果によると16時間夜勤の1ヶ月間の平均回数は4.4回です。
労働基準法上では、夜勤回数の決まりはありませんが「1日8時間」という労働時間の制限があります。
しかし、介護のような変則的な仕事の場合「変形労働時間制」の適用になり、1週間の労働時間が40時間以内であれば1日8時間以上の勤務も可能になります。
夜勤専従でなければ、日勤帯のシフトもこなすため週1回くらいのペースで夜勤をすることが多いようです。
休憩時間
2022年介護施設夜勤実態調査結果によると16時間夜勤の平均休憩時間は「2時間21分」です。
労働基準法では、労働時間が8時間を超える場合「1時間以上の休憩」を取ることが定められています。
日本看護協会の夜勤・交代制勤務に関するガイドラインによれば、効果的な疲労回復のためには「連続した2時間以上の睡眠」を推奨しています。
平均休憩時間からも、疲労回復に必要な休憩時間は確保されているところが多いと言えるでしょう。
8時間夜勤との違い
夜勤形態には「16時間夜勤」と「8時間夜勤」があります。
それぞれの違いについて以下の表を参考に解説します。
16時間夜勤 | 8時間夜勤 | |
---|---|---|
勤務時間 | 16時〜翌日10時まで | 22時〜翌日7時まで |
勤務形態 | 2交替制 | 3交替制 |
夜勤回数 | 月4〜5回 | 月6〜7回 |
休憩時間 | 約2時間 | 約1時間 |
休日の扱い | 夜勤明けの翌日が休み | 夜勤明けが休み |
夜勤手当 | 平均6,011円 | 平均3,712円 |
仕事内容 | 巡視、排泄介助、食事介助等 | 巡視、排泄介助 |
16時間夜勤と8時間夜勤の大きな違いは、夜勤回数と休日の扱いです。
16時間夜勤は夜勤明けの翌日が休みですが、8時間夜勤は明けの日が休みになります。
夜勤回数は8時間夜勤のほうが多く、公休の多くが夜勤明けの休みとなってしまうかもしれません。
8時間夜勤のメリットは、1回の夜勤の負担が少ないことです。
しかし、デメリットとして夜勤明けは睡眠を取らなければ体調を崩す恐れもあるため、時間の活用が難しいことが挙げられます。
プライベートを充実させたいのであれば、16時間夜勤の方が時間を有効活用できるでしょう。
その反面、負担のかかる働き方のため、体のケアはしっかり行い体調を崩さないように十分注意してください。
16時間夜勤の仕事内容・スケジュール
介護施設の種類によって夜勤の業務内容も異なりますが、基本的な16時間夜勤のスケジュールは以下の通りです。
時間 | 仕事内容 |
---|---|
16:00 | 出勤、申し送り |
17:30〜 | 夕食介助 |
19:00〜 | 就寝介助、排泄介助 |
21:00〜 | 定期巡回 |
0:00〜 | 定期巡回、排泄介助 |
3:00〜 | 定期巡回、排泄介助 |
6:00〜 | 起床介助、排泄介助 |
7:30〜 | 朝食介助 |
9:00〜 | 排泄介助 |
9:30〜 | 申し送り |
10:00〜 | 退勤 |
夜勤の主な業務は、定期巡回と排泄介助です。
定期巡回は約3時間おきに実施し、入所者の安否確認をします。
特別養護老人ホームや老人保健施設など介護度が重い方が多い施設では、おむつ交換やトイレ誘導も行うため、体力的にはきついかもしれません。
食事の介助や起床・就寝介助も日勤帯に比べると少ない職員で対応するため、慌ただしく感じるでしょう。
介助に時間をかけすぎると他の入所者を待たせてしまうこともあるので、効率的に業務を行う必要があります。
夜勤の仕事内容について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
16時間夜勤の給料
16時間夜勤の給料について解説します。
各施設の平均給料は、以下の通りです。
施設形態 平均給料 介護老人福祉施設 345,590円 介護老人保健施設 338,390円 介護療養型医療施設 287,070円 介護医療院 307,550円 特定施設入居者生活介護事業所 319,760円 認知症対応型共同生活介護事業所 291,460円
施設によっても平均給料は異なりますが、介護施設の中では介護老人福祉施設や介護老人保健施設の平均給料が高いです。
夜勤では、夜勤手当や深夜手当が支給されます。
前者は夜勤業務に対する手当であり、後者は深夜時間(22時~翌日5時)の労働に対して通常の1.25倍の賃金が支払われる手当です。
夜勤をすることで手当が支給され、日勤帯のみで働くより効率的に給料を上げることができるでしょう。
16時間夜勤のメリット3つ
16時間夜勤をするメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 給料が上がる
- スキルアップできる
- 時間を有効活用できる
以下で詳しく解説します。
給料が上がる
夜勤をすることで夜勤手当や深夜手当が支給されるため、効率よく給料を得られます。
先ほど説明したとおり、16時間夜勤の平均夜勤手当は平均6,011円、深夜手当は22時から翌日5時まで賃金の1.25倍が支給されます。
さらに給料を上げたい場合、夜勤回数を増やすことでより給料を上げられるでしょう。
スキルアップできる
特別養護老人ホームや老人保健施設では、介護度が重い方も多くいるため、排泄介助、体位交換、更衣介助などの身体介護をする機会が多いです。
一方で、グループホームでは、認知症専門の施設であるため認知症の対応スキルが身につくでしょう。
施設によって使うスキルも異なるため、伸ばしたいスキルを明確にして施設を選んでも良いかもしれません。
時間を有効活用できる
夜勤の入りや明けの時間を上手に活用することで、プライベートを充実させることができます。
16時間夜勤では、「入りの日の夕方まで」「明けから翌日まで」実質2日間ほど自由な時間が確保できます。
夜勤入りや明けの日は睡眠時間を確保したとしても、それ以外の時間で趣味や遊びを楽しんだり、用事を済ませたり時間を有効に使えるでしょう。
16時間夜勤のデメリット3つ
16時間夜勤をするデメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 長時間労働がきつい
- 生活リズムが乱れやすい
- 緊急時の対応が大変
以下で詳しく解説します。
長時間労働がきつい
夜間に長時間労働するため、心身ともに負担が大きいです。
特に要介護度が重度の方が多い施設では、身体介護も多く、体力的にきつく感じることもあります。
疲労が溜まると腰を痛めることもあるため、「十分な休息をとる」「ストレッチする」など日ごろから体のケアを大切にしていきましょう。
体力的に心配な方は、サービス付き高齢者専用住宅や住宅型有料老人ホームなど、比較的自立された方が多く入居されている施設の夜勤を検討しても良いかもしれません。
生活リズムが乱れやすい
夜勤のある施設では、早番や日勤、遅番、夜勤など勤務がシフト制となっており、生活リズムが乱れやすい傾向があります。
生活リズムが乱れると体調不良や仕事への集中力低下などにつながるため、注意が必要です。
起床・就寝時間をなるべく同じ時間にしたり、夜勤明けは仮眠程度に済ませ夜ぐっすり眠れるようにしたりすると、生活リズムの乱れを防げるでしょう。
就寝前にホットタオルで目を温めたり、ストレッチしたりすることでリラックス効果が得られるため、睡眠の質が向上し疲労回復効果も期待できるのでおすすめです。
緊急時の対応が大変
夜間、医師や看護師が不在の施設の場合、介護士が急変時の対応をする必要があります。
状況に応じて迅速かつ、適切な対応が求められるため、プレッシャーに感じる方も多いかもしれません。
事前に急変時の連絡ルートや状況に応じた処置や対応方法について確認しておくと、慌てずに対応できるでしょう。
自分に合った職場をみつけるために確認すべき3つのポイント
施設形態や職場によって勤務時間や休憩時間など働き方はさまざまです。
自分に合った職場をみつけるために確認すべきポイントは、3つ挙げられます。
- 休憩時間や仮眠の時間
- 勤務形態
- 急変時の対応
以下で詳しく解説します。
休憩や仮眠の時間
施設によって、まとまった休憩や仮眠時間が確保されていないところもあります。
そのような施設は、落ち着いているときに休憩や仮眠を取ることになり、状況が落ち着かないとまともな休憩や仮眠が取れないこともあるので注意が必要です。
休憩や仮眠の時間がしっかり確保されているか事前に確認しましょう。
勤務形態
勤務形態によって夜勤の勤務時間や回数も異なります。
2交替制勤務の場合、勤務時間は16時間で月4〜5回の夜勤になります。
一方で、3交替制勤務の場合、勤務時間は8時間で月6〜7回の夜勤です。
また、施設の人員状況によっても夜勤回数は変動するため、希望通りの夜勤回数ができるとは限りません。
希望に合った働き方をするためにも、勤務形態や夜勤回数について確認しましょう。
急変時の対応
看護師の配置状況によって急変時の対応方法が異なります。
夜間看護師が配置されていたり、オンコール体制があったりする施設では、看護師に相談しながら対応できますが、不在の場合、介護士の判断で対応することになります。
夜勤の不安を軽減させるためにも、看護師の配置基準や急変時の対応方法について確認しましょう。
自分に合った職場をみつけて夜勤にチャレンジしよう!
16時間夜勤は長時間労働で大変ですが、収入アップやスキルアップ、時間を有効活用できるメリットがあります。
その反面、デメリットとして、体力的にきつい、生活リズムが乱れやすいなどがあります。
施設により夜勤時間や回数、休憩時間が異なりますので、事前に確認しないと希望していた働き方と相違が出てしまうかもしれません。
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担当者が施設を訪問し、人事担当者と直接面談しているため、施設の詳細な情報を提供できます。
あなたにとって働きやすい職場をみつけて、夜勤の仕事にチャレンジしましょう。