資格の取得を検討している無資格の介護士の中には、数多くの介護関連の資格のうち、どの資格を取得すればよいのか、悩む方も多いでしょう。
そこでこの記事では、状況別に、介護士におすすめの資格を紹介していきます。
資格取得のメリットや取得方法についても解説していますので、この記事を参考に自分に合った資格を取得してください。
この記事でわかること
- カテゴリ別の介護士におすすめの資格
- 資格取得のメリットや取得方法
こんな人におすすめの記事です
- 介護の資格取得を考えている方
- 介護の資格を取得するメリットを知りたい方
介護でおすすめの資格一覧
介護でおすすめな資格には、以下の10種類があります。
資格名 | 概要 | |
---|---|---|
介護職員初任者研修 | 介護の基礎を学ぶ | |
介護福祉士実務者研修 | 専門的かつ実践的な内容や医療的ケアについて学ぶ | |
介護福祉士 | 介護関連唯一の国家資格 | |
認定介護福祉士 | 介護福祉士の上位資格 | |
医療介護福祉士 | 医療知識を学ぶ | |
喀痰吸引介護福祉士 | 医療行為が実践できる | |
ケアマネージャー (介護支援専門員) |
ケアプランの作成が主な仕事の介護保険のプロフェッショナル | |
認知症介護基礎研修 | 認知症介護に関する基礎を学ぶ | |
認知症介護実践者研修 | 認知症介護に関する実践的な内容を学ぶ | |
レクリエーション介護士 | 個々に合わせたレクリエーション企画ができるようになる |
未経験・無資格者におすすめの働きながら取れる資格
以下の資格は、介護関連でもっとも一般的な3つです。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
いずれも、働きながら取得できる資格ですので、未経験・無資格者におすすめです。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修とは、介護に関する基本的な知識や技術を学ぶ研修で、資格を取得すると、食事や入浴介助などの身体介護が行えるようになります。
初任者研修には受講要件がなく、どなたでも研修を受けることが可能です。
介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修とは、初任者研修の上位資格で、喀痰吸引や経管栄養といった医療的ケアなど、初任者研修よりもさらに専門的かつ実践的な内容について学びます。
実務者研修も、初任者研修同様、受講要件はありません。
ただし、介護に関する基本的な知識が身についていることが前提の研修のため、無資格者の場合は、先に初任者研修を受講することをおすすめします。
また、実務者研修を修了すると、介護福祉士の受験資格を得られます。
介護福祉士実務者研修については、以下の記事で詳しく解説しています。
介護福祉士
介護福祉士は、介護関連の資格で、唯一の国家資格です。
介護福祉士になると、介護サービスの提供のほかに、チームマネジメントや、利用者とその家族への相談対応など、幅広い業務に携われるようになります。
そのため、介護士としてキャリアアップを目指すうえで、必須の資格といえるでしょう。
介護福祉士の受験ルートはいくつかありますが、働きながら取得するのであれば、実務経験ルートがおすすめです。
介護福祉士に関する詳しい内容については、以下の記事で解説しています。
スキル・キャリアアップしたい人におすすめの資格
介護士として、スキル・キャリアアップしたい方には、以下の資格取得がおすすめです。
- 認定介護福祉士
- 医療介護福祉士
- 喀痰吸引等研修
- ケアマネージャー(介護支援専門員)
それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
認定介護福祉士
認定介護福祉士とは、認定介護福祉士認証・認定機構が介護福祉士の上位資格として、2015年に公表した民間資格です。
認定介護福祉士の取得は、介護福祉士よりも専門的な知識や技術、さらに、現場のチームリーダーの必要な能力を持っていることの証明になります。
認定介護福祉士になるためには、介護福祉士としての実務経験が5年以上必要となります。
認定介護福祉士の詳細は、以下でご確認ください。
医療介護福祉士
医療介護福祉士とは、一般社団法人日本慢性期医療協会が認定を行っている民間資格で、2010年に開始されました。
医療や介護に関する知識を深めることを目的としており、高齢者介護や慢性期医療について学び、医療チームの一員として働くことができます。
医療介護福祉士になるためには、介護福祉士としての実務経験が1年以上必要です。
喀痰吸引等研修
喀痰吸引等研修は、厚生労働省が認定した公的資格で、取得すると、喀痰吸引や経管栄養が行えるようになります。
喀痰吸引や経管栄養については、実務者研修でも学びますが、実地研修を修了していなければ、実施することはできません。
喀痰吸引等研修には、受講資格はありません。
ただし、医療行為を行う対象者によって受講するカリキュラムが異なるため、注意しましょう。
ケアマネージャー(介護支援専門員)
ケアマネージャーとは、要介護者に適切な介護保険サービスを提供するために、ケアプランを作成する職種のことで、介護保険のプロフェッショナルです。
ケアマネになるためには、介護福祉士などの指定の国家資格に基づく業務または、施設の相談援助業務に、通算5年以上かつ900日以上従事しなくてはなりません。
介護施設に勤務している人におすすめの資格
介護士として、介護施設に勤務している方には、以下の資格がおすすめです。
- 認知症介護基礎研修
- 認知症介護実践者研修
- レクリエーション介護士
認知症介護基礎研修
認知症介護基礎研修とは、認知症の方への介護を行うために必要な最低限の知識と技術を学ぶことを目的とした研修です。
介護施設に勤務している無資格者や、認知症の方に対する介護未経験の方を対象としています。
認知症介護実践者研修
認知症介護実践者研修では、認知症介護基礎研修よりもさらに実践的な知識・技術の習得を目的としています。
認知症介護実践者研修の受講要件は、各都道府県によって異なり、東京都の場合は、以下の通りです。
以下の要件を全て満たしている方
(1)東京都内の介護保険施設・事業所(居宅介護支援事業所を除く)(※1)に従事している介護職員等
※1:原則として、足立・豊島区内の介護保険施設・事業所は、本研修のお申込みができません。各区が実施する「認知症介護実践者研修」にお申込みください。詳細は、各区の「認知症介護研修」担当部署 にお問合せください。(2)原則として、認知症の人の介護に関する経験が2年程度以上(※2・3)
※2:事務職、施設長、生活相談員等としての経験のみでは、認知症の介護経験とは見なしません。
※3:「介護福祉士と同等の知識を有する方」及び「各施設において介護・看護のチームリーダーに類する立場(主任・副主任・ユニットリーダー等)にある方、または立場になる予定の方」を想定しています。
受講を希望している方は、各自治体に確認しましょう。
レクリエーション介護士
レクリエーション介護士とは、介護施設において、利用者個々に合わせたレクリエーションの企画と提供ができる人材の育成を目的として設立された民間資格です。
レクリエーション介護士は、1級と2級の2種類があり、2級に関しては、どなたでも受験が可能です。
一方、1級は、2級の上位資格となるため、2級合格者でなければ受験ができません。
介護の資格を取得する4つのメリット
介護の資格を取得するメリットには、以下の4つがあります。
- 介護への理解が深まる
- 介護士としてのスキル・キャリアアップになる
- 専門的知識と技術の証明となる
- 給料アップの可能性がある
それぞれについて、確認していきましょう。
介護への理解が深まる
資格取得をするための勉強を通して、介護への理解が深まる点が、介護の資格を取得するひとつ目のメリットです。
たとえば、認知症の方とのコミュニケーションは、介護経験がある人でも戸惑うことが多いため、未経験であればなお難しく感じるのではないでしょうか。
しかし、資格取得を通して認知症に関して学ぶことで、適切な対応が取れるようになる方もいます。
ほかにも、自身が行ったことのない介護業務に関しても学ぶことができる点は、メリットといえるでしょう。
介護士としてのスキル・キャリアアップになる
資格取得は、介護に関する専門的な知識と技術を習得したことになるため、介護士としてのスキル・キャリアアップになります。
また、「実務者研修」「介護福祉士」「ケアマネ」のように、上位資格の受験要件に含まれている資格から取得していくと、徐々にスキルアップすることもできます。
上位資格を取得していくことによって、業務の幅も広がるため、そういった面でも、スキル・キャリアアップにつながるでしょう。
専門的知識と技術の証明となる
資格を取得することで、介護に関する専門的な知識と技術を保有していることを、客観的に証明できます。
つまり、介護に精通している介護士として、職場のスタッフはもちろん、利用者やその家族からの信頼につながります。
また、転職の際にも有利になるでしょう。
給料アップの可能性がある
介護業界では、有資格者に対して資格手当がつく場合がほとんどです。
保有している資格別の平均月収は以下の通りです。
資格の種類 月収 無資格 268,680円 介護職員初任者研修 300,240円 介護福祉士実務者研修 302,430円 介護福祉士 331,080円
上記からも、資格を取得することによって、給料がアップすることがわかります。
また、有資格者であるほうが役職にもつきやすく、役職手当がつくことで、さらに給料がアップする可能性もあります。
介護の仕事は資格なしでもできる?
一口に介護の仕事といっても、さまざまな職種がありますが、介護士であれば無資格でもできます。
ただし、有資格者と比較するとできる業務に限りがありますし、給料アップも難しいでしょう。
資格取得には、給料アップ以外にも、介護士としてのスキル・キャリアアップや、介護への理解が深まるなどのメリットがあります。
また令和6年4月以降、無資格者が直接介護をおこなう介護職として勤務する場合は、入職から1年以内の認知症介護基礎研修受講が義務付けられました。
この研修は、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修などの、介護の資格を取得することで受講免除になる研修です。
認知症介護基礎研修の受講時間は150分と比較的短くはありますが、初任者研修も週1回の受講を行えば4か月程度で働きながらの取得が可能です。
介護士として働いていくのであれば、初任者研修の取得からスタートしてもいいかもしれませんね。
介護の資格の取り方
資格の取得方法は、資格の種類によって異なり、通信や通学で取得するものもあれば、実務経験が必要となる資格もあります。
また、資格によって、受験要件や難易度、合格率、資格取得までの期間もまったく異なります。
講義の受講のみで取得できる、独学でも受かるといった資格がある一方で、そもそも受験要件を満たすことが難しい資格もあります。
資格取得までの要件は、必ず事前に調べておきましょう。
介護の資格は無料で取れる?
資格の種類によって費用は異なりますが、基本的に、介護の資格取得には費用がかかります。
ただし、初任者研修や実務者研修などは、ハローワークの求職者支援制度を利用することで、無料で資格取得が可能です。
ハローワーク以外にも、費用の負担をしてくれる自治体やスクールもあります。
介護の資格を取得してスキル・キャリアアップを目指そう
介護士としてスキル・キャリアアップを目指すのであれば、資格の取得は必須です。
また、介護に関する専門的な知識・技術を習得していることの証明になるため、転職の際にも有利になるでしょう。
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