今後のライフプランや老後2000万円問題などの不安から、長く働ける介護職への転職を考える方は多くいます。
しかし、介護業界は慢性的な人手不足なので、介護職への転職を考えているけど「介護業界はやばい」「若い人は辞めた方がいい」と言われ、転職に踏み出せない方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、介護業界が慢性的な人手不足に陥っている原因と対応策について解説していきます。
未経験から介護業界への転職を考えている方でも、介護業界の現状がわかり、転職活動の助けになるでしょう。
この記事でわかること
- 介護業界がやばいといわれる原因
- 人手不足への対応策
- 転職時に注意すべきポイント
こんな人におすすめの記事です
- 未経験から介護業界への転職を検討している方
- 介護業界がやばいといわれる理由について知りたい方
介護業界が人手不足に陥っている5つの原因
介護業界は慢性的な人手不足と言われています。
「令和4年度介護労働実態調査結果の概要について」によると、労働条件・仕事の負担に関する悩みは「人手が足りない」がトップで、半数以上の52.1%を占めています。
また、介護事業所全体の人材の不足感は66.3%で、多くの事業所が人材不足を感じている状況です。
介護職員の処遇改善が進んでいるとはいえ、介護現場の人手不足は嘘ではなく、人手不足が原因で閉鎖する施設も出てきています。
ここでは、介護業界が人手不足に陥っている原因を解説していきます。
加速する少子高齢化社会
「令和3年版高齢者社会白書(全体版)」によると、2025年には日本の人口のうち2000万人以上が75歳以上になると言われています。
団塊世代が75歳になる、いわゆる「2025年問題」で、医療や福祉の分野に大きな影響が出る年です。
一方、出生率は多少の増減はありながらも全体的には減少しています。
そのため「要介護者は増加傾向にあるのに対して、介護者が少ない」状況が進んでいます。
すでに、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」や、認知症の方の介護をしている方も認知症を患っている「認認介護」が問題となっており、今後も増加するでしょう。
少子高齢化社会が加速し、介護業界の人手不足の原因の1つになっています。
給料が低い
国税庁が調査した「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の平均給与は443万円でした。
一方、厚生労働省が公表した「令和3年度介護従事者処遇改善状況等調査結果」によると、介護職の平均給料は約379万円と、給与所得者全体の平均給料と比較すると低い傾向にあります。
給料が低いことは、働く先を探す時には大きなデメリットになる場合もあります。
介護職への転職を考えていても、求人で給料を見て候補から外されてしまうこともあるかもしれません。
介護職の給料については、地域や資格の有無によって大きく異なるので、以下の記事をご参照ください。
身体的・精神的にきつい
介護職の仕事は、身体的にも精神的にもきついと言われています。
身体的負担は不規則な勤務や身体介護などから感じ、精神的な負担は人間関係や医療的ケアなどからくるものです。
介護職を始めてから、仕事がうまくいかなかったり人間関係に疲れたりすると、メンタルがやられて早期退職を余儀なくされる方もいます。
身体的・精神的にきつい状況が続くと、スタッフのモチベーションが上がらず、離職につながるため人手不足の原因となります。
ネガティブなイメージの先行
ネガティブなイメージが先行していることも、介護業界が人手不足に陥っている原因の1つと言えます。
介護の仕事に対しては「きつい・きたない・危険」の「3K」のイメージがどうしても拭えません。
排泄介助や認知症の周辺症状へのケアに対して抵抗のある方も多いでしょう。
「くさい・給料が低い」を加えた「5K」と言われることもあります。
そのため、若い人はつかない方がいいと言われてしまい、就職先の候補にあがらないこともあります。
実際に、高校の進路指導の先生に介護の仕事をしたいと相談したところ「介護の仕事はやめておきなさい」と別の進路を提案されるケースもあるほどです。
介護の仕事は人の仕事を支える魅力ある仕事ですが、ネガティブなイメージを払拭できず、人手不足の原因となっています。
社会的評価が伴わない
社会的評価が伴わないことも介護業界が人手不足に陥る原因の1つに挙げられます。
実際の介護の仕事は、人の命を扱い、専門的な知識と技術が求められる仕事です。
介護職を始めた人が着実にスキルアップできるように「初任者研修」「実務者研修」「介護福祉士」と資格制度も充実しています。
一方で、未経験や無資格者でも始められる仕事です。
学校で福祉や介護を学び、資格を取得してから働き始めた方もいれば、「育児がひと段落したから」「会社でリストラにあったから」などの理由で、無資格・未経験でも始められる介護職を選んだ方もいます。
看護師や医者などのように皆が専門的な知識と技術を持っているとは言えない状況もあり、介護職の専門性が認められず、社会的な評価が低いと考えられます。
介護業界の人手不足への対応策
介護業界の人手不足への対応策として、各事業所はさまざまな努力をしています。
代表的なものは、「ITシステムの導入」「資格取得支援」などです。
ITシステムを導入し、日々の記録や勤怠管理などの負担を軽減できれば、利用者に直接関わる時間を増やせます。
そして、資格取得支援で有資格者が増えれば、スタッフは資格手当がもらえ、事業所はケアの質を上げられます。
また、ユニットケアを導入すると、少人数で利用者一人ひとりに合わせたケアを提供できるようになり、スタッフは仕事にやりがいを持てるでしょう。
政府も「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」などの制度を通して処遇改善に取り組んでいます。
介護業界は今後も需要がある?
慢性的な人手不足の介護業界ですが、今後も需要があると考えられます。
理由は「要介護者が今後も増え続けるため」です。
少子高齢化が進むなか、介護業界を悩ませているのは、団塊世代が75歳になる「2025年問題」や、人口の約1/3が高齢者になる「2035年問題」です。
約10年後の介護業界は約900万人の要介護認定者に対して、68万人の介護職が不足すると言われています。
人材を確保しなければならない状況で、政府は処遇改善以外に介護ロボットの導入を推奨しています。
現状では、費用や導入の手間などの問題から導入が進んでいるとは言えません。
しかし「見守り」や「排泄支援」など、費用対効果が大きいと言われているロボットから少しずつ浸透してきています。
そのため、10年後には介護ロボットを活用できる時代になっている可能性もあります。
ITや介護ロボットと共存し、さらに処遇改善が進むことで、今よりも働きやすい業界になることが考えられます。
転職時に注意すべきブラックな介護施設の特徴
無資格・未経験でも始められる介護の仕事ですが、どの事業所でもよいというわけではありません。
以下のような事業所はブラックな事業所の可能性もあるので、転職活動の際は注意しましょう。
- 常時スタッフを募集している
- スタッフに笑顔がない
- 掃除が行き届いていない
常にスタッフを募集している事業所は、何か問題があり、慢性的な人手不足に陥っている可能性が高いです。
また、スタッフに笑顔がなかったり、掃除が行き届いていなかったりする場合は、業務にゆとりがなくスタッフが疲弊している場合があります。
このような事業者はブラックな事業所の可能性が高いので、転職活動の際にしっかり情報収集をしましょう。
介護業界の将来性は高い
慢性的な人手不足に陥っている介護業界ですが、ITシステムの導入や資格取得支援、ユニットケアの導入など事業所単位の対策は取られています。
また、政府も介護職員の処遇改善を後押ししているので、今後も需要の高い状態が続くと考えられます。
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