日本は高齢化社会を迎え、これからも高齢者の総数は増加し続ける見込みです。
そのため介護職のニーズは減ることはなく、求人が多くみられます。
さらに介護職は無資格・未経験歓迎という募集条件もあり、どのような年代の方でも応募しやすい求人といえるでしょう。
しかし、たくさん募集しているならどこでも採用するだろうという気持ちで応募しては、面接で落とされる可能性もあります。
ここでは、履歴書の志望動機の書き方と、面接で気をつけるポイントをご紹介いたします。
- 介護未経験で応募をするときの履歴書の書き方
- 面接で注意すること
- 未経験から介護職へ応募する方
- 志望動機の書き方を知りたい方
介護職未経験者の志望動機はどう書く?
未経験から介護職に転職する理由の中には、生活環境や金銭のためという理由もあるでしょう。
しかし「介護をしたい」「介護に興味がある」といった前向きな考えや意気込みを見ている面接官が多いのも事実です。
私が介護職の面接に同行してきた経験でも、自分の気持ちを自分の言葉で伝えられる人、介護職として頑張っていきたいという熱意が見られる人は、無資格・未経験であっても非常に印象がよく、すぐ採用に繋がっていました。
ではそのような面接の受け答えができるように、大切なポイントを確認していきましょう。
未経験から介護職を目指す理由は明確に
まず、どうして介護職を目指したいと思ったのか考えましょう。
なんとなく目指した、人に紹介されたから、求人の募集をみかけたからといった理由では、自発的に応募したという印象は薄く好印象にはなりません。
難しく考える必要はなく「自分が介護職に興味を持ったきっかけ」をまずは書き出してみましょう。
「家族に介護をするようになり、もっと勉強したいと思った」「ご高齢の方と話すことが好きで介護職に興味を持った」「友人が介護職をしていて話を聞くうちに興味をもった」など、些細なことで構いません。
まずは興味を持ったエピソードを具体的に伝え、その中で自身が介護職に対して思っていたイメージが変わったり、興味が強くなったりしたといった気持ちと介護職を頑張りたいという思いを率直に伝えましょう。
どんな介護職になりたいか
採用されたら、どのような介護職として働きたいかも考えておきましょう。
考え方は大きくわけて2つあります。
1つ目は応募した施設でどのような介護職になりたいか、2つ目は将来的にどのような介護職になりたいかです。
まずは、応募した施設でどのような介護職になりたいのかを考えましょう。
どのような仕事を頑張りたいのか、自分の長所を活かしていくのかなどを伝えましょう。
そのためにも介護の基本的な仕事について調べることも必要になるでしょう。
介護士の仕事について知りたい方はあわせてチェック
2つ目に将来どのような介護職になるのかについてです。
これはご自身が介護職としてのキャリアアップをどの程度考えているかを伝えるためです。
無資格・未経験で挑戦するのであれば、資格を取る意志があるのかどうか、最終的にどの資格まで取得を考えているのかなどは面接でよく質問される内容です。
応募の時点で想像ができない、分からないことかもしれませんが「資格を取る予定はない」という伝え方はマイナスイメージがあるためNGです。
「資格をとる気持ちがある」ことを積極的に伝えていきましょう。
更に、働きながら初任者研修を取得していきたい、5年以内に介護福祉士を目指したい、生活相談員にも関心があるなど、具体的な目標を伝えられるとより好印象になるでしょう。
介護の資格について知りたい方はあわせてチェック
施設に応募した理由は何か
次に応募した施設を選んだ理由を考えましょう。
介護職として働きたいという気持ちや熱意が伝わったとしても、応募施設を選んだ理由を伝えられなければ、どの施設でも働ければいいのだなと思われてしまうことでしょう。
採用担当者は、たくさんの介護施設や介護職の募集求人がある中で、自分たちの施設で働きたいと思っている方を見極めています。
施設の特徴や提供しているサービスを調べ、そのうえで応募理由を答えられるように考えておきましょう。
介護サービスについては、種別の名前とサービスの概要を知っておくことで、より応募理由を考えやすくなるでしょう。
面接の準備時間に余裕のある方は、併せて確認しておきましょう。
サービスごとに介護の仕事を解説
志望動機を書くポイント
それでは実際に志望動機を書くためのポイントや、採用担当者がどのような箇所を面接で見ているのかについて、いくつか解説していきましょう。
丁寧に、しっかり埋めること
私自身キャリアアドバイザーをしていた際に介護職志望の履歴書を見てきましたが、書類選考で不採用になる場合ももちろんあります。
いい印象を持たれない履歴書として共通しているのは、志望動機が空欄、履歴書に準備されている欄の半分以下しか書かれていない、丁寧に書かれていない(誤字・脱字、下書きが残っている)などがあります。
面接で伝えればいい、文字を書くのが苦手だという方もいらっしゃいますが、上手に書くことを求めているわけではなく、面接にあたってしっかりと時間を取って履歴書を作成してきたのかという「誠実さ」を見ているのだと思います。
履歴書は自分の紹介をするための書類であり、志望動機は一番注目する項目です。
文字数が少なすぎたり長すぎたりすることで読みづらい文章は避け、丁寧な作成を心がけましょう。
志望動機は具体的に書く
「相手に自分の良さを知ってもらう」ために用意するのが履歴書です。
「相手に伝える」ことを意識して作成しましょう。
自分がどのようなきっかけで介護に興味を持ったのか、応募施設に惹かれた理由、介護職として頑張りたいことなどの記載をおすすめします。
しかし、よくあるような言葉を使っては印象に残りにくく、面接官が自分に興味を持ってくれる可能性も少なくなってしまいます。
そのためには次の内容に気を付けましょう。
どこでも通用しそうな内容は書かない
- 福利厚生がしっかりしている
- 資格取得支援制度がある
- 研修制度が整っている
- レクリエーションに力をいれている
- 利用者とお話をしてコミュニケーションを深めながら支援ができる
- 法人理念に共感した
これらは応募施設でも、他の施設でも行っていることの多い内容です。
また、理念に共感するという志望動機もあると思いますが、具体的に記載したり自分の言葉で説明できない場合納得感が薄れてしまいます。
法人理念を志望動機の一つとして使用する場合は気を付けましょう。
自分本位の内容はかかない
- 給与が一番高かった
- 家から近いので通勤が楽だとおもった
- 介護度が低くて初めて働くには良いと思った
- 夜勤がなく日曜日が休みと聞いて介護職でもプライベートの時間もとれると思った
求人応募をするにあたって、待遇面はみなさん必ず確認される点でしょう。
むしろ待遇面を見て応募を決める方がいることも当然です。
ですが、採用担当者からすると待遇面の良さばかりを志望動機として出されると「介護職として利用者としっかり関わってくれるのだろうか」という心配や「希望の待遇が提供できなかったときに退職してしまうのではないか」という懸念がでてしまいます。
待遇面については面接時に質問をされたら答える程度に留めておきましょう。
介護未経験の雇用形態・年代別志望動機例文
では具体的に志望動機の例文を記載していきます。ご自身の経験や職歴と照らし合わせて、参考にして頂ければとおもいます。
正社員の志望動機
20代
前職では事務職として勤務をしていましたが、介護業界にチャレンジしたいと思い応募をしました。学生時代に音楽サークルに所属しており、高齢者施設への訪問でレクリエーションを行っていました。当時は介護職という道を考えていませんでしたが、事務職として働くうちに直接お客様と関わる仕事をしたいと思いが強くなり、介護施設で利用者様の生活を支える仕事をしたいと思いました。貴社はボランティアとして訪問していた施設と同グループで運営しているということも知り、貴社でいちから学んでいきたいと考え応募致しました。
30代
現在営業職として勤務をしていますが、両親の介護を考えるようになり介護サービスについて調べているうちに介護の仕事に興味を持つようになりました。営業の仕事でもご高齢の方とお話をする機会があり、独居高齢者や老老介護が社会的にも取り上げられるようになっているなかで、私が暮らしてきた地域に何か貢献できる介護はないかと考えました。その際貴社の訪問介護サービスを知り就業したいと考えるようになり、初任者研修を取得しました。未経験からの訪問介護は大変なこともあるかとは思いますが、持ち前の向上心を持って取り組み、実務者研修などの資格取得もしていく予定です。
40代
前職では柔道整復師として店舗勤務をしていました。店舗で店長を勤めていたのですが、お客様の多くがご高齢の方ということもあり介護や福祉について勉強も行っておりました。お客様の中には高齢者サービスをしている方も多いと知り、介護施設でのサービスが気になり介護職をして挑戦したいと思い応募をしました。前職の経験を活かし、将来的には管理職を目指したいと思っており、そのためにも介護について積極的に学びたいと考えています。
貴社に入社したら、貴社が力を入れている自立介護支援ができるよう、柔道整復師としての知識も活かしながら、介護技術を身に付けていきたいです。
50代
父親の介護を行っており、現在施設にお世話になっていることもあり介護職の仕事に興味を持つようになりました。家族だからできることと、介護士という専門的な仕事だから行えることがあるという思いが常にあり、私が介護士やサービスに支援を頂いたように、今度は私がお返しをしたいと思っています。特に貴社はデイサービス、ショートステイ、有料老人ホームが併設されているため、利用者様やご家族が安心して利用できるサービスであるところも魅力的に感じています。専門的な知識や技術を学びつつ、利用者様とそのご家族に寄り添う介護をしたいと思います。
アルバイト・パートの志望動機
20代
人と関わる仕事が好きで、接客業に3年携わっています。お客様の中にご高齢の人が多く、話をするのが楽しいなと強く感じるようになり、その際、介護職として働いている友人から介護職の道を勧められたことが、介護に興味を持ったきっかけです。興味を持つと自分の身の回りには介護施設や介護サービスが多くあるのだということに気が付き、実際に介護士としてサービスを提供する側になりたいと思い応募をしました。まずは資格を取得したいと考えており、当面は非常勤として勤務をさせて頂きたく存じます。様々な種別の経験を積みたいと考えているため、複合種別の施設運営をされている貴社を志望致しました。
30代
家族介護のため前職を退職し、現在も家族と交代で介護を行っています。就業時間に限りがあったり不規則であるため、シフト勤務であり介護についても専門的な技術を学べるのではないかと考え応募をしました。介護サービスについてこれまで殆ど知らなかったのですが、家族が介護を受ける際に利用するサービスのひとつとして貴社のサービスを紹介されたことがあり、私が利用すると考えた際に魅力的であったため応募を致しました。自分が良いと思える介護サービスをお客様に提供できるような介護士になりたいと思っています。
40代
子供の育児のため短時間のパートとして飲食店で就業していましたが、フルタイムで勤務ができるようになり応募を致しました。飲食店ではホール業務をしており、お客様と話をしたりご提案をしたりすることが好きで、介護のサービスでも同じような仕事ができるのではないかと考えました。身体介護について未経験であるため努力が必要だと思いますが、利用者様のお話を聞いたり、一緒に何かにとりくむというような関わりは得意なため活かせると思っています。貴法人ではリハビリや運動のプログラムにも力をいれているとのことで、利用者様を支援しながら一緒に頑張りたいと思える介護士を目指したいと考えています。
50代
これまで20年程度、医療事務として就業してきました。介護士として働きたいという気持ちも持ち続けており、時間をみて介護関係の資格取得やボランティア参加を行っていました。勉強だけでは分からないところがあるという思いが強く、家族と相談し介護職へチャレンジすることを決意しました。貴法人は地域密着や医療連携に力を入れていると拝見し、自身が病院で就業していた時の経験も活かせるのではないかと考えています。新しいことへのチャレンジは苦労もあるかと思いますが、皆さんに指導を頂きながら一日でも早く一人前の介護士になれるよう努めます。
面接官が注目しているポイント
面接官が見ているポイントは履歴書だけではありません。
面接での受け答えや表情の印象なども大切です。
介護の仕事は利用者様とのコミュニケーションや、職員間での連携が特に重要な仕事です。
面接では下記内容にも気を付けると、よりいい印象になるでしょう。
はきはきと受け答えができる
職員や利用者に挨拶をする
目を見て話す
清潔感のある容姿を心がける
面接は施設にはいるところから施設を出るまで行われています。
面接官だけでなく、利用者様や他の職員からの視線もあるため、気を抜かず、明るく挨拶を心がけるだけでも「一緒に働くときのイメージ」を持ってもらいやすいものです。
まとめ
未経験で介護職に応募をするということは、介護に関する知識や技術を売り込むことは難しいです。
そのため介護職を目指した理由や、自分の長所、これまで経験してきた職業での実績を積極的にアピールしていきましょう。
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