在宅医療の需要の高まり「訪問看護師」が注目されています。訪問看護ステーションの事業所も増加しており、令和6年度で全国で17,329件となっています。
2010年から訪問看護ステーションの事業社数は毎年増加しており、昨年からは1,500件程度増加しています。
訪問看護ステーションは看護師の就業先として広まりつつあるといえるでしょう。
この記事では、訪問看護師への転職を考えている方、年収アップを目指している方へ向けて、訪問看護師の給与についてご案内していきます。
- 訪問看護師の仕事内容
- 訪問看護師の給与額
- 訪問看護の仕事を知りたい方
- 訪問看護への転職を考えている方
訪問看護で年収600万を目指すには
訪問看護とは
訪問看護とは、看護師が利用者の自宅に訪問し、その方の病気や障がいに応じた看護を行うことです。利用者の健康状態の悪化防止や、回復に向けてサービスを行います。
訪問看護というと高齢者のイメージが強い方が多いかもしれませんが、利用対象は高齢者に限りません。また、病状や障がいの程度を問わず、訪問看護を必要としている方全ての人が利用できます。
主治医の指示を受け、病院と同じような医療処置も行います。自宅で最期を迎えたいという希望に沿った看護を行う場合もあります。
訪問看護サービスは、医療保険または介護保険が適用される公的保険の給付対象です。
医療保険の場合は、通常週3日までの利用が可能で、1回の訪問時間は30分から1時間半程度です。病気や状態によっては、毎日や同じ日であっても複数回利用することも可能です。
介護保険の場合は、ケアプランに則った訪問時間となります。1回の訪問時間は、20分、30分、1時間、1時間半の4つに区分されています。
地域や環境によって違いはありますが、現場の一部からは60分での利用が比較的多いという意見もあります。
訪問看護師の給与は高い?インセンティブや各種手当が底上げ?
訪問看護の給与が高い理由は、通常の勤務で支払われる給与のほか、ずばり「オンコール手当」「出勤手当」「緊急出動」「エンゼルケア」「マイカー手当」などの手当が支給されることが多いためです。
また、訪問件数に応じて給与が上乗せされる「インセンティブ制」を設けている事業所もあるためです。
主にこの2つによって、訪問看護の給与が高額になっているといえるでしょう。特にインセンティブ制については、自身の頑張りが給与に直接反映されるため、やりがいにも繋がりやすいでしょう。
看護師の平均給与額は、常勤の場合月額384,546円、非常勤の場合時給1,583円です。訪問看護ステーションに限ると、月額367,775円です。
訪問看護師の給与は、夜勤勤務のある病棟看護師と比較すると、夜勤手当が無い分給与は下がってしまいます。
参考:全国訪問看護事業協会
調査研究報告 - 2021年看護職員実態調査(16P)|公益社団法人日本看護協会
そもそも夜勤手当がないのはなぜ?
夜勤手当がないのは、病棟勤務の夜勤とは異なるからです。病棟勤務では夜間帯にも病院内やナースステーションに滞在している必要があります。また、数時間ごとの巡回やナースコールの対応などの業務が常に発生することになります。そのため勤務時間(拘束時間)分の給与と夜勤手当が支給されています。
一方で訪問看護では、必ずしも夜間帯に対応をしなければならない利用者が居るとは限りません。
訪問看護を利用する方、夜間帯の対応については「緊急時のみ」としている場合がほとんどです。そのため病院の看護師と違って、訪問看護の看護師は定時訪問(巡回)をしたり、夜間帯に毎日決まった看護対応をしたりする必要はないことが多いです。
訪問看護では夜勤業務がない代わりに、緊急時にすぐ対応できるよう「オンコール対応」をしています。
これはナースコールのようなもので、自宅待機をしているオンコール対応の看護師に利用者や家族から連絡が入ります。
オンコールを受けた看護師は症状を確認し、看護対応が即時必要であると判断した場合に出勤するという働き方をしています。
すぐに電話の対応をするという責任や緊張感はあるかもしれませんが、それ以外は家事や趣味、勉強など、自由な時間を過ごしていて構いません。
そのため病院の夜勤業務のように夜勤手当は発生しないのです。
訪問看護でも夜間の対応を積極的に受け入れている事業所もあるため、そのような事業所の場合は夜勤手当を設定していることもあるようです。
このように、夜勤業務のある看護師に比べると給与額は低くなってしまいますが、自宅待機の勤務体系であることを鑑みると、訪問看護の仕事内容と給与に魅力を感じる方も多いのではないでしょうか?
介護施設や日中のクリニックで勤務する看護師と比較すると、オンコール手当やインセンティブが期待されるため、高給与も目指せる職種と言えるかもしれませんね。
それでは、雇用形態別の給与について細かく解説していきましょう。
【常勤】訪問看護師の給与相場
常勤の平均給与
調査研究報告 - 2021年看護職員実態調査(16P)|公益社団法人日本看護協会によると、訪問看護ステーションで勤務する看護師の平均給与は、月額367,775円です。
30代や40代など、年代ごとの平均給与の統計は公表されていませんが、勤続年数が多いほど給与は高くなる傾向になります。
しかし、病棟勤務やクリニック経験のみなどの看護師が転職する場合、訪問看護の知識や経験はゼロからスタートになるでしょう。
これまでと同様の給与額で勤務可能かどうかは、応募時や面接時に確認することが必要です。
また、厚生労働省の訪問看護に関する資料によると、正看護師は月額440,368円、准看護師は月額352,006円が給与費として換算されるとの発表もされています。
訪問看護は事業所数も年々増加しており、利用者も病院ではなく在宅で治療を受けられるようになりたいと、需要が高まっています。
新型コロナウイルス感染症の補助金や、介護報酬・医療報酬の改定、利用者側からの需要も相まって収益が上がっている事業といえるでしょう。
賞与や手当で年収アップ
月収の他に年収アップを期待できるのは、賞与と手当になります。
訪問看護ステーションの運営は、営利法人、医療法人(病院)、社会福祉法人などが運営している場合が考えられます。
就業する先の法人がどのような運営をしているかによって、賞与や手当は変動する可能性が高いためチェックが必要です。
賞与
営利法人の場合、賞与は事業所の売上に大きく影響されます。利用者が集まらず、収益がないと賞与がカットされる可能性もあるでしょう。
医療法人や社会福祉法人は診療報酬や介護報酬から職員の給与額が支払われるため、大きく金額が変動するリスクは低いといえるでしょう。
法人によっては、賞与額が3ヶ月分や4か月分と決められており、賞与金額が高いこともあります。
オンコール手当
オンコール手当は、1,000円~4,000円程度で設定している事業所が全体の半分を占めています。
カイゴLINK独自の調べでも、オンコール手当は1回あたり1,000円~3,000円程度、もしくは月5回オンコール勤務を行うことを前提として月額5,000円の支給といった給与設定になっています。
オンコールを受けた上で出勤した場合、更に出勤手当が支給されることが多いようです。ただし、この出勤手当は不確定なものですので、月給アップのあてにするのは難しいかもしれません。
参考:全国訪問看護事業協会
訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業(55P) | 平成27年 全国訪問看護事業協会
インセンティブ制
営利企業が運営する訪問看護ステーションでは「インセンティブ」という制度を導入する事業所が増えてきています。
「歩合制」や「出来高制」といった名称が使われていることも多く、仕事の成果によって給与が変動します。
常勤で働く場合は、完全歩合制は違法となるため「固定給+インセンティブ」という形で給与が支払われます。
訪問看護では次のようなインセンティブが考えられます。
・1件あたり〇円のインセンティブがあり、訪問件数×インセンティブの金額が給与に反映される
・月の訪問件数が〇件以上の場合、1件超過ごとに〇〇円の手当が追加で支払われる
インセンティブの支払われる月は事業所ごとに異なります。
翌月の給与に反映される場合もあれば、半年間をまとめて支払うとしている場合もあります。
インセンティブ制がある場合、給与のアップにダイレクトに影響があります。
しかし、ご自身の生活スタイルにあった働き方・支払方法になっているかなど、インセンティブ制の詳細を見極めることがポイントになるでしょう。
管理者になって年収アップ
事業所の管理者や管理者候補として就業すれば、管理職の手当が支給されたり、そもそもの基本給与が高額に設定される可能性が高いです。
看護師・非管理職 | 356,163 |
---|---|
看護師・中間管理職 | 434,895 |
看護師・管理職 | 481,809 |
准看護師・非管理職 | 300,477 |
准看護師・中間管理職 | 450,100 |
看護師として主任職など管理職の経験がある方で、年収アップを考えられている場合は、積極的に挑戦してみてはいかがでしょうか。
【パート】訪問看護師の給与相場
平均時給はいくら?
2021年看護職員実態調査(16P)| 公益社団法人日本看護協会によると、看護師の平均時給は1,583円です。
カイゴLINK独自の調べによると、訪問看護の非常勤時給は1,500円~3,300円と金額の開きがありますが、看護師の平均時給よりも高い場合は多いようです。
一人で訪問し対応ができるようになった場合、1件当たり30分訪問は2,000円というように件数単位での支払に変更となることもあるようです。
パートの場合は残業や突発的な勤務はなく、ご自身の都合に合わせて勤務をすることが可能です。
訪問件数を稼いで給与アップ
非常勤の場合は、訪問件数と就業時間がそのまま給与に反映されます。一人での訪問が可能となった場合、件数単位で給与が支払われることもあります。非常勤のまま給与アップを目指したい場合は、訪問する件数を増やしていくことが1番の近道になるでしょう。
また訪問看護の中でも「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」サービスの場合、24時間いつでもサービスを提供できるしくみとなっているため、夜勤業務も発生します。
その場合は夜勤手当が支給されたり夜間の時給額が割増となるため、さらに月収アップが望めます。
常勤になって月収アップ
非常勤で訪問件数を増やしても給与が足りない……そんなときは、常勤として働くことが給与アップの近道です。
常勤の場合、業務に対する責任や残業など、非常勤での勤務ではなかったものが増えるかもしれませんが、賞与や各種手当、インセンティブによる追加収入など、給与の増額に繋がるものは多いです。
育児や介護などで限られた就業時間でのみ勤務をされている方がいるのであれば、将来的には正社員を目指して勤務をすることも、視野に入れてみてはいかがでしょうか?
非常勤として就業した事業所で勤続し、そのまま常勤へ雇用形態を変更し働き続けることも可能でしょう。
まとめ
訪問看護の看護師の給与は、病院の夜勤がある看護師に比べると平均給与は安いかもしれません。しかし、病院とは異なり訪問件数によるインセンティブ制を導入している求人もあるため、就業先と働き方によっては年収600万円を目指すことも可能です。
また、地域包括ケアシステムが構築されつつあること、地域密着型サービスの需要も増えていることから、訪問看護の需要も増加し続け、新しい事業所も増加していくことが想定されます。
それに伴い、訪問看護で支払われる医療保険や介護保険の仕組みも変更される可能性も充分あり、就業者に対する手当が増加することも考えられるのではないでしょうか。
今のうちから訪問看護で勤務を始め経験を積むことで、将来的に他の看護職よりも高い給与で働くことは可能と考えられます。
また、ご自身が訪問看護事業所を設立し、事業主として年収アップを目指すという道もあるでしょう。
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