主任ケアマネジャーはケアマネジャーの上位資格ですが、具体的にどういった部分が異なるのでしょうか。また、給与にはどの程度の差があるのでしょうか。
この記事では、主任ケアマネジャーについての疑問を解消すべく、さまざまな側面から掘り下げます。とくに給料をアップできる方法も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
- 主任ケアマネージャーの年収について
- 主任ケアマネージャーの年収アップの方法
- 主任ケアマネージャーに求められるスキル（能力）
- 主任ケアマネージャー職のメリット
- 主任ケアマネージャーについて興味があり知りたい人
- 主任ケアマネージャーを目指している人
- 介護職に従事しており主任ケアマネージャーへのキャリアップを検討中の人
主任ケアマネとは
主任ケアマネジャーは通常のケアマネジャーと異なりますが、その具体的なちがいについて知らないという人も多いでしょう。
ここでは主任ケアマネの仕事内容・職場・役割・将来性などを解説し、ケアマネとのちがいについて理解を深めます。
未経験の方は以下の記事からチェックしてみてください。
主任ケアマネの仕事
主任ケアマネは「主任」と冠するとおり、通常のケアマネよりも業務が多岐にわたります。
もちろん主任ケアマネも通常のケアマネジメント業務を行えますが、それに加えてほかのケアマネジャーに対するサポート業務や管理業務も担います。
「今後どのようなケアをすべきか」というケアプランは、ある程度の経験がないと作成が難しく、新人ケアマネジャー単独で任せるわけにはいきません。そこで、主任ケアマネには新人のケアプラン作成を手伝う役割が期待されています。
主任ケアマネの職場
主任ケアマネは、さまざまな場所で活躍できます。特に「居宅介護支援事業所」と「地域包括支援センター」では主任ケアマネの配置が義務付けられているほか、「介護老人福祉施設」でも主任ケアマネは活躍しています。
これらの施設は基本的にケアマネが配置される場所であり、主任ケアマネに期待されているのは、ケアマネの管理やサポートです。
配置が義務付けられている2種類の施設では、地域との連携業務は主任ケアマネが行います。
主任ケアマネの将来性
主任ケアマネは、今後さらに拡大が続くであろう介護業界の職であること、かつ管理者という希少な立場であることから考えると、将来性のある仕事と言えます。
また、2018年に改正された介護保険法により、ケアマネ試験の受験資格が厳格化されました。これによってケアマネの供給に対する需要が高くなっていることから、今後も給与は順調に上がると予想できます。
ケアマネジャーとのちがい
ケアマネジャーはケアマネジメントを専門に扱います。つまり、利用者様のケアマネジメントだけを行う仕事です。
それに対して、主任ケアマネジャーの業務はより広範囲に及びます。たとえば施設のケアマネジメントを管理したり、ほかのケアマネジャーをサポートしたり、地域を代表して行政と話し合ったり、責任の伴う仕事だと言えるでしょう。したがって、そのぶんケアマネジャーよりも高い給与をもらえます。
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主任ケアマネになるには
ここでは主任ケアマネになるための流れを解説します。
主任ケアマネになるためには当然、ケアマネである必要があります。ケアマネになってはじめて主任ケアマネを目指すことができると考えましょう。
いずれにしても試験や研修を受ける必要はあるため、詳しくご紹介します。
ケアマネジャーになる
主任ケアマネになるためには、前提としてケアマネである必要があります。ケアマネは資格を要する仕事であるため、まずは資格の取得を目指しましょう。
ケアマネになるための「介護支援専門員実務研修受講試験」を受験するには、一定の実務経験が要求されます。介護福祉士や作業療法士など、保健・医療・福祉の国家資格を要する職の実務経験が5年以上、従事した日数が900日以上あれば、受験が可能です。
なお、すでにケアマネの資格を持っている場合は、次の項目から進めていただいてかまいません。
主任介護支援専門員研修を受講する
すでにケアマネの資格を持っていたり、ケアマネとして働いていたりする人は、「主任介護支援専門員研修」を受講しましょう。
この研修を修了することで主任ケアマネになれます。研修の受講料は都道府県によって異なりますが、概ね数万円で受けられます。この研修にも受講要件があるため、事前の確認が大切です。
以下は厚生労働省の「主任介護支援専門員研修ガイドライン」で定められた受講要件です。いずれかの要件を満たしていることに加え、実情に応じて都道府県が別に定める要件を満たす必要があります。
- 専任の介護⽀援専⾨員（ケアマネージャー）として5年（60ヶ⽉）以上従事している（前述の国家資格保有者としての実務経験5年に加え、さらにケアマネとして5年以上従事することで、主任ケアマネの研修が受講可能）
- ケアマネジメントリーダー養成研修修了者か⽇本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネジャーで専任の介護⽀援専⾨員として3年（36ヶ⽉）以上従事している
- 主任介護支援専門員に準ずる者として地域包括支援センターに配置されている
- 介護⽀援専⾨員の業務に関して⼗分な知識と経験を有していると都道府県がと認めている
したがって、主任ケアマネになりたい場合、「厚生労働省が定めた受講要件」と「働く都道府県が定めた受講要件」の双方を満たす必要があるため、漏れのないようにしましょう。
更新も忘れずに行う
最後に忘れないでおきたいのが、更新についてです。
主任ケアマネは5年ごとの更新が必要であるため、期限内に必ず「主任介護支援専門員更新研修」を受講してください。この研修も数万円程度で受講できます。
この研修に関しても受講要件がありますが、主任ケアマネとしての経験を積んでいるのなら概ねクリアできます。各都道府県で研修の日程・内容・受講料などは異なるため、注意しましょう。
主任ケアマネの給与
ここでは主任ケアマネの給与について詳しく解説します。
ただし、厚生労働省が扱うデータは主にケアマネに関するデータであり、主任ケアマネ単独でのデータは存在しません。そのため、この記事ではケアマネのデータを用いて、主任ケアマネの給与を推測するという方法で行います。
平均年収
「令和5年賃金構造基本統計調査（厚生労働省）」を参照すると、正社員のケアマネジャーの平均月給は29万7,000円です。これにボーナスを含めると、平均年収は400万円前後とみなされるでしょう。
ただし、この数字はケアマネジャーの平均であるため、より責任の伴う主任ケアマネに関しては、これより高くなるでしょう。
したがって、主任ケアマネの平均年収は500万円前後であると推測できます。
手取り
手取りの目安は額面のおよそ7～8割であるため、ケアマネジャーの平均月収29万7,000円から考えると、ケアマネジャーの平均手取りは23万円ほどになると考えられるでしょう。
ただし、主任ケアマネは通常のケアマネに比べて業務内容が幅広く、かつ職責も重いため、月収はより高くつきます。したがって、主任ケアマネの手取りは25万円前後と考えることができますが、主任ケアマネのみを扱ったデータは存在しないため、正確な値ではないことに注意してください。
ボーナス
こちらも主任ケアマネだけのデータは存在しませんが、「令和5年賃金構造基本統計調査（厚生労働省）」を参照すると、ケアマネジャー全体での平均年間賞与はおよそ65万円です。主任ケアマネであればさらに高額な賞与を貰えるでしょう。
ただし、ボーナスは所属する施設・組織、あるいは年度によっても大きく変動するため、一概に言えないということも事実です。
手当
見逃してはいけないのが手当です。主任ケアマネになると、毎月の給与に加えて資格手当が受け取れます。金額は職場によって異なりますが、資格を有しているだけで加算されることがメリットです。
また、職場によっては資格手当以外にも手当がつくこともあります。求人の段階であらかじめ確認しておくとよいでしょう。
主任ケアマネの給与に差はある？
ここでは、さまざまな観点から主任ケアマネの給与を比較します。
ケアマネとの差・働く都道府県での差・働く施設での差・年齢による差・男女による差など、さまざまな角度から比較が可能ですので、詳しくご紹介します。
ケアマネとの差
主任ケアマネとケアマネでは、年収にどの程度差があるのでしょうか。
先述した通り、年収では100万円程度の差があると推測できます。
またカイゴLINKで求人情報を検索したところ、主任ケアマネージャーは月給25～30万円程度が多数であるのに対し、ケアマネージャーは21～27万円の間に収まるケースがほとんどでした。このことから、優秀な主任ケアマネであれば、それだけ給与も伸びるということが言えます。
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都道府県別
給与は都道府県によっても異なります。
一般的に給与は需要と供給のバランスで決定されますが、介護業界に関しては、どの地域においても高い需要が期待できるでしょう。そのため、人口過密地域での求人であれば給与相場が高くなる可能性があります。
職場別
職場の違いによっても給与は変わるのでしょうか。これに関して結論から申し上げると、大差はありません。
求人情報を参照すると、居宅介護支援事業所で月給25万円～30万円・地域包括ケアセンターで21万円～35万円・特別養護老人ホームで25～30万円などの数値が見られました。
職場によって主任ケアマネがカバーする仕事も異なるため、双方を検討しながら自分に合った働き方を選択しましょう。
年齢別・男女別
年齢別・男女別の給与については令和5年賃金構造基本統計調査（厚労省）に詳細が記されています。ただし、ケアマネージャー全体の数字である点にはご注意ください。
このデータを表にまとめたのが以下です。ぜひ参考にしてください。
| 年齢 | 平均年収 |
|---|---|
| 20歳～24歳 | 255万円 |
| 25歳～29歳 | 318万円 |
| 30歳～34歳 | 353万円 |
| 35歳～39歳 | 412万円 |
| 40歳～44歳 | 443万円 |
| 45歳～49歳 | 434万円 |
| 50歳～54歳 | 446万円 |
| 55歳～59歳 | 411万円 |
| 60歳～64歳 | 408万円 |
| 65歳～69歳 | 380万円 |
| 70歳～ | 320万円 |
企業規模別
自身の所属する企業・組織によっても収入は異なります。
企業規模に応じたケアマネジャーの給与比較が、令和5年賃金構造基本統計調査（厚労省）に記されています。なお、こちらもケアマネージャー全体のデータです。
このデータを表にまとめたのが以下です。ぜひ参考にしてください。
| 施設規模 | 平均月給 | 平均年間賞与 | 平均年収 |
|---|---|---|---|
| 10人～99人 | 27万3,300円 | 52万8,000円 | 380万8,000円 |
| 100人～999人 | 28万8,200円 | 63万6,000円 | 409万4,000円 |
| 1,000人～ | 29万9,600円 | 53万4,000円 | 412万9,000円 |
また、従業員1,000人以上の大企業では労働時間が少なかったり、福利厚生が充実していたりもします。
仕事選びで自分が重視するものを理解し、役立ててください。
他の職種との差
最後に、ケアマネジャー全体のデータと他の介護職について、給与を比較してみましょう。
令和5年賃金構造基本統計調査（厚労省）に基づいて表をまとめました。ぜひ参考にしてください。
| 職種 | 男性の平均年収 | 女性の平均年収 |
|---|---|---|
| 看護師 | 526万円 | 506万円 |
| ケアマネジャー | 463万円 | 408万円 |
| 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 視能訓練士 |
452万円 | 410万円 |
| 栄養士 | 451万円 | 385万円 |
| 准看護師 | 438万円 | 403万円 |
ここから、ケアマネジャーの平均年収は比較的高いことが分かります。
ケアマネジャーより高い職種は看護師や理学療法士などの医療系専門職種であることも留意しましょう。
主任ケアマネとして年収をアップさせる方法
ここでは主任ケアマネになった人に向けて、さらなる年収アップのための方法を4つご紹介します。
主任ケアマネの給与は幅が大きく、年収アップを狙いやすい職種とも言えます。
さまざまな方法により年収をアップできるため、ぜひ参考にしてください。
管理職を目指す
主任ケアマネとして管理職になると、確実に年収アップできます。
一般的に、管理職になると「管理職手当」という手当が付与され、これによって大幅に給与が上昇します。
また、居宅介護支援事業所で管理職になる場合、主任ケアマネジャーの資格を持っている人である必要があり、主任ケアマネは管理職になるために有利と言えるでしょう。
ただ、どの業界にも言えることとして、管理職になると残業代が支払われないため、残業が多いと年収は下がってしまう可能性もあります。
年次を重ねる
ケアマネジャーの年収は、経験年数に応じて高くなることが多いです。
たとえば定期的な昇給がある職場においては、転職をするより留まっておくほうが、年収はアップするでしょう。このあたりは所属する組織によって異なります。
ただ、一つ言えることは、年次を重ねるということは単なる経験の証明ではありません。それに加えて、ケアマネジャーとしてのスキルや知識を持ち合わせていることの証明でもあります。
主任ケアマネジャーとして長く働いているなら、よりスキルや知識をアピールできるため、昇給には有利に働くでしょう。
転職する
所属する組織によっては、長く留まるよりはむしろ、よりよい待遇の職場へ転職することも一つの方法です。とくに給与の低い職場で働く主任ケアマネジャーは、転職先によっては大幅な年収アップを期待できます。
令和4年度介護従事者処遇状況等調査（厚労省）によると、「介護老人福祉施設」や「介護老人保健施設」などの施設では、高い給与が支給されています。また、主任ケアマネージャーがいない居宅介護支援事業所や、新設された居宅介護支援事業所での勤務も給与が高い可能性があるでしょう。
このように、介護施設の形態によっても給与は大きく変わるため、あらかじめ慎重に検討することが重要です。
利用者を増やす
担当する利用者を増やすことでも、年収アップが狙えます。
これは、主任ケアマネジャーとして独立して働いている人には、もっとも効果的な方法でしょう。独立している場合、利用者の増加はそのまま収入増につながります。
組織で主任ケアマネジャーとして働いている場合も、利用者が増えると組織内での評価は高まり、昇給が見込めるでしょう。
ただし、利用者が一定数を超えると、居宅介護支援費が減額されるため注意してください。
主任ケアマネで必要なスキル
ここでは、主任ケアマネとして働くうえで必要なスキルを3つ紹介します。
当然、介護に関する知識は持っていないといけませんから、それ以外のより実務的な面からアプローチします。
ぜひご自身の仕事選びに際して、参考にしてみてください。
コミュニケーション能力
最も求められるスキルは、コミュニケーション能力です。
どの職種においてもコミュニケーション能力は必要ですが、とくに主任ケアマネは、コミュニケーションを求められる場面が多い仕事です。
たとえば、他のケアマネジャーに知識や経験を伝達したり、事業者や利用者様と必要な環境を構築したりする必要があり、この際に円滑なコミュニケーションが求められます。
さまざまな立場の人を管理する役割だからこそ、コミュニケーション能力はより重要と言えるでしょう。
マネジメント能力
主任ケアマネジャーとして働くには、マネジメント能力も必要です。
これはそもそも、主任ケアマネの仕事として、他のケアマネジャーを管理するというものが含まれるためです。それに加えて、もし管理職になった場合は、施設や組織の管理も任せられるでしょう。
また、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターで働く場合、地域の介護課題に行政と連携して取り組む役割もあります。これらの調整にはマネジメント能力が必須であると言えるでしょう。
スケジュール管理能力
主任ケアマネに必要なスキルとして、3つ目にスケジュール管理能力が挙げられます。
これは主任ケアマネの業務範囲が広いために必要なスキルであり、さまざまに入り乱れるスケジュールを最適化して管理することが必要です。
主任ケアマネは施設において利用者様のケア・ケアマネジャーのサポートなどを行うだけでなく、施設外でも利用者様のご自宅を訪問したり、地域課題に行政と取り組んだり、さまざまな役割を期待されています。
そのため、スケジュールの管理ができないと、仕事が回らなくなる可能性も考えられるでしょう。
主任ケアマネをとるメリット
ここでは主任ケアマネジャーの資格を取得するメリットを4つご紹介します。
業務内容が多く職責も重い主任ケアマネですが、それを補って余りあるメリットが確かに存在します。
以下のメリットを参考に、ぜひ今後のキャリアにお役立てください。
転職しやすい
主任ケアマネはケアマネの上位資格に位置づけられています。したがって、ケアマネよりも希少性の高い職種であるため、転職活動においても有利に働きます。転職しやすいというメリットは、もし所属した組織が自分に合わない場合や、もっと給与を上げたい場合に役立つでしょう。
また、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターには主任ケアマネの配置義務があるものの、主任ケアマネは慢性的に不足しています。そのため、配置義務についても経過措置がなされているほどで、どの施設にとっても欲しい人材です。
需要が高い
先ほども述べたとおり、今や主任ケアマネはどの介護施設にとっても欲しい人材であるため、需要が高いというメリットがあります。
引く手あまたということは、それだけ雇用されるこちらの発言権も強くなるわけですから、たとえば給与や待遇に関する交渉においても有利でしょう。
また、将来的にも介護需要は右肩上がりに拡大するため、ますます需要に供給が追い付かないという状況が予想されます。
そのような時勢において上位資格である主任ケアマネを持っていることは、大きなアドバンテージです。
管理職になりやすい
主任ケアマネのメリットとして、管理職になりやすいということも挙げられます。
これは管理職への登用要件として、主任ケアマネジャーの有資格者であることが求められる施設も少なくないためです。
管理職になるとそのぶん業務量は多くなりますが、それに見合うだけの昇給が見込めるならメリットになり得ます。
先ほど述べた将来性と同様に、長期的なキャリアを考える場合、主任ケアマネジャーの資格は非常に有用です。
他事業所との交流
主任ケアマネジャーになると、他事業所と合同で事例検討会を開催したり、介護の問題を掘り起こしたりする機会が増えます。ひいてはこの取り組みが行政との連携につながる、という流れです。
ここでは志を同じくするケアマネ同士でつながりやコミュニティが生まれ、それに伴い知識や経験も増えるでしょう。また、施設の枠を超えて交友関係も広がるため、人と関わることが好きな人には大きなメリットです。
まとめ
この記事では、主任ケアマネジャーについて詳しく解説しました。
仕事の概要・必要な資格や研修・給与・年収アップの方法・求められるスキル・主任ケアマネになるメリットなど、主任ケアマネに関する情報を網羅的に扱いました。主任ケアマネは大変な仕事である反面、給与が多かったりやりがいを感じられたりと、メリットも多い仕事です。
カイゴLINKでは転職の専門家キャリアアドバイザーが在籍しておりますので、一度相談してみるのも一つの方法です。
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