これから介護士として働こうと考えたときに、給料アップや転職で有利になるため、介護福祉士の資格取得を検討している方は少なくありません。
この記事では、社会人が働きながら介護福祉士になる方法について説明していきます。
介護福祉士養成施設に通う場合に、学費を抑える制度についても紹介していますので、万全を期して、介護福祉士国家試験に臨みましょう。
この記事でわかること
- 介護福祉士の資格は働きながら取得できるのか
- 社会人が介護福祉士の資格を取得する方法
- 養成施設の学費が安くなる方法
こんな人におすすめの記事です
- 働きながら介護福祉士の資格を取得したい方
- 介護福祉士にはなりたいが費用面が不安な方
社会人が介護福祉士になるには2つの方法がある
介護福祉士になるためになるためのルートには、以下の4つの方法があります。
- 養成施設ルート
- 実務経験ルート
- 福祉系高校ルート
- EPAルート
このうち、社会人が介護福祉士になる際におすすめのルートは、「養成施設ルート」もしくは「実務経験ルート」になります。
特徴として、最短で介護福祉士資格を取得したい方は「養成施設ルート」、キャリアを積みながら介護福祉士を目指したい方は「実務経験ルート」がおすすめです。
福祉系高校ルートやEPAルートが気になる方は、以下の記事を参照ください。
最短で取得するなら「養成施設ルート」
養成施設ルートは、文部科学大臣および厚生労働大臣が指定した介護福祉士養成施設を卒業し、受験資格を得るルートです。
養成施設ルートは、介護福祉士養成施設としてカリキュラムを実施している福祉系の専門学校に、2年以上通い卒業することで、国家試験の際の実務試験が免除となります。
介護福祉士養成施設は、一般の高校・大学を卒業した方でも入学は可能で、最終学歴が高校であれば、福祉系の学歴は必要ありません。
介護士としての実務経験がない未経験の方でも、養成施設ルートであれば介護福祉士の資格が取得できます。
さらに、社会福祉士養成施設・福祉系の大学・保育士養成施設のいずれかを卒業している方に関しては、介護福祉士養成施設に1年以上通えば良いとされています。
社会人として働きながら介護福祉士を目指す場合、実技試験が免除になれば、筆記試験のみに専念できるため、おすすめです。
以下で養成施設について詳しく解説します。
2年制の専門学校
2年制の専門学校は、社会人から介護福祉士になる際の最短ルートです。25歳前後の第二新卒といわれる世代に、特におすすめです。
2年間集中して昼間の学校に通う必要があるため、一時的に収入は減るでしょう。
しかし、長い目で見れば、2年間の最短ルートで資格を取得し転職すれば、転職の際に有利になるため、求人の幅が広がり給料アップも目指せる可能性があります。
3年制の夜間学校
3年制の夜間学校は、収入を減らさずに介護福祉士になりたい方におすすめです。
夜間学校は、平日の夜間や土日に通えるため、会社員として日勤で働き収入をキープしながら、介護福祉士になるための勉強ができます。
2年制の専門学校と比較すると、学校に通う期間は延びますが、働きながら介護福祉士資格の取得が目指せます。
通信の養成施設はない
働きながら介護福祉士を目指す場合、通信講座があれば便利なのですが、現在、通信型の介護福祉士養成施設はありません。
介護福祉士は、介護を要する方々に対する排せつ介助や食事介助、入浴介助などが主な仕事です。
これらの身体介護の技術は、知識だけでは習得できません。
たとえば、ベッドから車椅子への移乗介助であれば、実際に学生同士で移乗介助をし合い、どのような身体の使い方をするのかを学びます。
知識だけで間違った身体の使い方で介助してしまえば、要介護者の負担になるだけではなく、腰痛や怪我など、自身の身体も痛めてしまいます。
せっかく介護福祉士の資格を取得しても、その影響で働けなくなってしまう場合もあるでしょう。
以上のことから、介護福祉士になるには実技演習も必要となるため、通信制の学校はないのです。
キャリアを積みながら取得するなら「実務経験ルート」
実務経験ルートは、「実務経験3年以上」なおかつ「実務者研修の受講・修了」で、受験資格を得るルートです。
以前は、「実務経験3年以上」なおかつ「介護職員基礎研修・喀痰吸引等研修の受講・修了」でも受験資格を得ることができました。
しかし、2012年に介護職員基礎研修が廃止となり、現在は、実務者研修の受講・修了のルートのみとなっています。
実務経験ルートも、養成施設ルートと同様に実技試験が免除となるため、筆記試験のみに集中できる点がメリットです。
実務経験とは
実務経験とは、特定の施設で「従業期間3年以上なおかつ従事日数540日以上」勤務することを指します。
実務経験として認められる施設と職種を抜粋したものが、以下になります。
分野 | 施設 | 職種 |
---|---|---|
児童分野 | 知的障がい児施設 | 保育士 |
障がい者分野 |
児童デイサービス 就労移行支援 重度訪問介護 |
介護員 寮母 訪問介護員 |
高齢者分野 |
特別養護老人ホーム ケアハウス 指定訪問介護 指定訪問看護 |
介護従事者 介護員 訪問介護員 看護補助者 |
その他の分野 |
更生施設 原子爆弾被爆者養護ホーム 病院 |
介護職員 看護補助者 看護助手 |
介護等の便宜を供与する事業 |
地方公共団体が定める条例・実施要綱等に基づく事業 例・実施要綱等に基づく事業 障害者総合支援法の基準該当障害福祉サービス |
介護職員 訪問介護員 |
参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター 介護福祉士国家試験
詳しく知りたい方は、公益財団法人 社会福祉振興・試験センター 介護福祉士国家試験をご覧ください。
実務経験の日数計算の方法は、多くの方が間違いやすい点ですので、注意しましょう。
従業期間とは、「特定施設の職員として在籍している期間」です。したがって、産休や育休、病休や有休を含んだ期間となります。
一方、従事日数の場合は、「実際に介護業務に従事した日数」を指します。そのため、産休や育休、病休などは日数に含まれません。
そのほか、公休や有給、特別休暇なども従事日数には含まれないため、注意が必要です。
ただし、勤務時間に指定はないため、常勤ではなく、非常勤でも問題ありません。
実務者研修とは
実務者研修とは、ホームヘルパー(訪問介護員)養成研修1~3級と介護職員基礎研修を1本化した資格で、「基本的な介護提供能力を習得する」ことを目的としています。
実務者研修では、「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」の3つの座学と、「医療的ケア」の実技を学びます。
科目にすると20科目、時間にすると450時間にも及ぶ研修です。
ただし、ヘルパー2級・1級などの有資格者は、研修の一部が免除となるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
実務者研修に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
養成施設の学費は抑えられる
介護福祉士養成施設に入学して介護福祉士の資格を取得したくても、学費が原因で、諦めようとしてしまう方もいるかもしれません。
しかし、介護福祉士養成施設の学費は、以下の方法で抑えられる可能性があります。
- 専門実践教育訓練給付金制度
- 日本学生支援機構
- 各自治体の割引制度
- 介護施設の奨学金制度
自身に当てはまる制度がないか、確認しながらみていきましょう。
専門実践教育訓練給付金制度
専門実践教育訓練給付金制度とは、決まった資格のみが対象となる制度で、その中には、介護福祉士も含まれています。
雇用保険の被保険者である在職者と、雇用保険の被保険者であった離職者が利用でき、教育訓練経費の50%(年間最大40万円)が支給されます。
日本学生支援機構
日本学生支援機構とは貸与奨学金のことで、無利子(一種)と、有利子(二種)があります。一種と二種どちらになるかは、学力や世帯収入などによって決定します。
毎月2万~12万円までの金額を、自身で選択して借りることが可能です。
申し込みは、入学後に学校を通して行うため、学校側に確認してみましょう。
各自治体の割引制度
各都道府県や各自治体によって、独自の割引制度が用意されている場合もあります。
たとえば、千葉県では、「毎月5万円以内」「入学準備金」「就職準備金」などが支給される制度があり、返還要件が満たせれば全額返還免除となります。
入学前に、一度各自治体に問い合わせてみると良いでしょう。
介護施設の奨学金制度
介護施設や病院などによっては、独自の奨学金制度を設けている場合もあります。
受給条件や支給金額、奨学金の返還方法などは、場所によってさまざまです。
たとえば、学費の一部を支給する代わりに、介護福祉士として合格後は、施設側が決めた年数、当該施設で働くことを約束する「お礼奉公」などがあります。
お礼奉公の場合、学費の負担が減るほかに、介護福祉士国家試験合格後の勤務先が決定しているため、就活をせずに済むといったメリットがあります。
一方、施設側が決めた年数は、キャリアアップのために転職したいと思ってもできません。
また、学生支援のために介護報酬を使用しているため、職員の給料は非常に安い場合もあります。
お礼奉公を検討する場合には、給料面も必ず確認しておくようにしましょう。
介護福祉士は働きながら取れる
介護福祉士は、介護士としてのキャリアを積んでいくうえで必ず取得しておきたい資格です。給料アップのために介護福祉士の取得を検討している方も少なくないでしょう。
介護福祉士の資格は、働きながらでも取得可能です。
また、介護士としての実務経験がない未経験の方でも取得できる資格のため、手に職をつけたい方にもおすすめの資格です。
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介護福祉士の資格を取得して、介護士としてのキャリアアップや給料アップにつなげましょう。