介護職への転職の前に資格を取得しておきたいと思いつつも、費用が理由でなかなか資格取得に踏み出せないという方もいるでしょう。
そんな方におすすめなのが、ハローワークを利用した資格の取得です。
この記事では、介護の資格取得に利用できるハローワークの制度などについて紹介していきます。
ハローワークを利用することで、資格取得にかかる費用の全額または一部が支給されますので、利用できるものがあるかどうか確認しながら読み進めてください。
この記事でわかること
- ハロートレーニングで取得できる介護の資格
- 介護の資格取得に利用できるハローワークの制度
- ハローワークで資格を取得するメリット・デメリット
こんな人におすすめの記事です
- ハローワークを利用して介護の資格を取得したい方
- できるだけ費用を抑えて介護の資格を取得したい方
ハローワークで介護の資格は取得できる?
介護の資格は、ハローワークでの取得が可能です。
ハローワークの「職業訓練」または「教育訓練」を利用することで、資格取得にかかる費用が無料、または費用の一部が戻ってきます。
介護未経験者が資格の取得を検討しているのであれば、介護職員初任者研修がおすすめです。
初任者研修とは、2013年に廃止されたホームヘルパー2級の代わりとなる資格で、ハローワークを利用した資格取得が可能です。
初任者研修を取得すると1人で身体介護が行えるようになるため、ホームヘルパー(訪問介護士)として働くことができるようになります。
また、介護施設での業務の幅も広がります。
初任者研修に関する詳しい内容については、以下の記事を併せてご覧ください。
職業訓練の概要
職業訓練とは、ハローワークを利用している求職者を対象とした公的制度で、ハロートレーニングとも呼ばれています。
職業訓練を利用することで、再就職に役立つスキルや知識を無料で習得可能です。
職業訓練は、対象者の雇用保険の有無によって、以下のどちらを利用できるかが異なります。
- 求職者支援訓練
- 公共職業訓練
それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
求職者支援訓練
求職者支援訓練とは、雇用保険が受給できない方や収入が一定額以下の方などを対象とした制度で、再就職や転職、スキルアップなどを目的とした講習の受講が可能となります。
主な支援内容は、以下の4つです。
- 月10万円の職業訓練受講給付金
- 無料職業訓練
- 通所手当や寄宿手当
- 就職サポート
月10万円の職業訓練受講給付金に関しては、以下の条件を満たしていなければ受け取ることはできません。
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- 訓練実施日全てに出席する(やむを得ない理由により欠席し、証明できる場合(育児・介護を行う者や求職者支援訓練の基礎コースを受講する者については証明ができない場合を含める)であっても、8割以上出席する。)
- 世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいない
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けていない
- 過去6年以内に、職業訓練受講給付金の支給を受けていない
しかし、給付金対象外であっても、求職者支援訓練を利用して無料で資格を取得することが可能です。
また、2023年4月1日から、求職者支援訓練の各種条件が緩和され、より幅広い方が制度を利用できるようになりました。
たとえば、以前は再就職や転職を目指す方が対象でしたが、現在は働きながらスキルアップを目指す方も対象となりました。
求職者支援訓練の受講期間は、2~6ヶ月と比較的短期なものに限定されています。
公共職業訓練
公共職業訓練とは、雇用保険を受給している方を対象とした制度で、スキルアップを通した早期の再就職を目指すことを目的としています。
主な支援内容は以下の通りです。
- 失業手当の受給期間延長
- 無料職業訓練
- 基本手当や技能習得手当
- 就職サポート
失業手当に関しては、各種条件に応じた額を受け取ることができます。さらに、職業訓練や就職サポートを無料で受けることが可能です。
公共職業訓練の受講期間は、3ヶ月~2年で、資格によっては長期のものでも受講ができます。
ただし、公共職業訓練は、働きながらの受講はできません。
教育訓練給付制度の概要
教育訓練給付制度とは、厚生労働省が指定した教育訓練を修了した方に対し、受講費用の一部が支給される制度のことです。
キャリアアップやスキルアップを支援し、再就職促進や雇用の安定を図ることを目的としています。
教育訓練給付制度には、以下の3つの給付金があります。
- 一般教育訓練給付金
- 専門実践教育訓練給付金
- 特定一般教育訓練給付金
種類によって給付額が異なるため、事前に内容を確認しておきましょう。
一般教育訓練給付金
一般教育訓練給付金とは、厚生労働省が指定した講座の受講修了時に、10万円を上限に費用の20%が支給される制度です。
労働者の主体的なスキルアップを目的としており、初任者研修などの「資格の取得を目標とする講座」が対象となります。
専門実践教育訓練給付金
専門実践教育訓練給付金とは、厚生労働省が指定した専門実践教育訓練の受講修了時に、給付金が支給される制度です。
支給額は、年間56万円を上限に受講にかかった費用の70%で、最長4年まで給付金を受け取ることができます。
さらに、資格取得と訓練を修了してから1年以内に、雇用保険の被保険者として就職できた場合、追加で16万円を上限に受講にかかった費用の20%が支給されます。
介護福祉士などの「業務独占資格などの取得を目標とする講座」が対象です。
特定一般教育訓練給付金
特定一般教育訓練給付金とは、厚生労働省が指定した講座を受講時に、20万円を上限に費用の40%が支給されるというものです。
特定一般教育訓練給付金は、早期キャリアの形成や再就職を目的としており、初任者研修などの「業務独占資格などの取得を目標とする講座」が対象です。
ハローワークで取れる介護の資格一覧
ハローワークで取得できる介護の資格は、以下の通りです。
ハローワークの制度 | 対象となる資格 | |
---|---|---|
職業訓練 | 求職者支援訓練 |
初任者研修 実務者研修 介護福祉士 など |
公共職業訓練 |
初任者研修 実務者研修 など |
|
教育訓練給付金制度 | 一般教育訓練給付金 |
初任者研修 実務者研修 介護福祉士 ケアマネ 医療事務 など |
専門実践教育訓練給付金 |
実務者研修 介護福祉士 など |
|
特定一般教育訓練給付金 |
初任者研修 介護福祉士 ケアマネ など |
制度によって対象となる資格が異なるため、取得したい資格がどの制度の対象になるのか確認しておきましょう。
ハローワークで資格を取得するメリット
介護の資格を取得する方法はいくつかありますが、ハローワークで資格を取得することで得られるメリットについて確認していきましょう。
安く資格が取得できる
介護の資格は、ハローワーク以外でも取得可能ですが、基本的には費用がかかります。
しかし、ハローワークの制度を利用すれば、資格取得にかかった費用が無料、または費用の一部が支給されますし、中には補助金が支給されるものもあります。
ただし、無料で資格を取得できる場合でも、テキスト代などに関しては自費となるため、注意しましょう。
また、介護福祉士の資格を取得する場合には、テキスト代のほかにも、受験手数料や資格登録料がかかります。
ホームヘルパーとして働くために必要な資格の取得にかかる費用に関しては、以下の記事で紹介しています。
就職先を斡旋してもらえる
ハローワークの目的は、就職の促進です。
そのため、ハローワークで資格取得後は、就職先を斡旋してもらえます。
これは、ハローワークで資格を取得する最大のメリットといってもよいでしょう。
ハローワークで資格を取得するデメリット
ハローワークでの資格取得にはデメリットもあります。
デメリットについても理解したうえで、ハローワークで資格を取得するかどうか検討しましょう。
資格取得までに時間を要する
ハローワークを利用しての資格取得は、民間スクールでの資格取得と比較すると時間を要します。
たとえば、初任者研修の資格を取得する場合、民間スクールであれば最短1ヶ月で取得ができますが、ハローワークを利用すると3ヶ月以上かかります。
受講の申し込みや選考にかかる時間も含めるとさらに時間を要するため、短期間で資格を取得したい方にはおすすめできません。
選考倍率が高い
ハローワークの制度は定員数が決まっているため、面接と筆記の試験に通過した方しか利用できません。
そのほかにも、一定以上の収入があってはならないなどのさまざまな条件を満たす必要があります。
倍率は資格によって異なりますが、初任者研修の場合は3~5倍程度といわれています。
スケジュール調整が難しい
民間スクールの場合、土日や夜間に受講できるコースや振り替え受講を行っているところも多く、働きながらでも受講しやすいことが特徴です。
一方、ハローワークの場合は平日の日中にしか受講できないスケジュールとなっている場合が多く、基本的には振り替え受講も行っていません。
ハローワークで介護の資格を取得する流れ
ハローワークで介護の資格を取得する際には、以下のステップを踏みましょう。
- 求職申込書を提出する
- 受講コース選択後、受講申込書を提出する
- 面接や筆記などの受験による選考を受ける
- 試験合格者は支援計画書の作成をしてもらう
- 選択した講座を受け、資格を取得する
具体的な申請方法や資格取得までの流れについては、各自治体のハローワークで確認してください。
介護の資格を取得して介護士として働こう!
介護士は無資格でもできる仕事(※)ですが、資格を取得することで業務の幅が広がり、スキルアップやキャリアアップにつながります。
また、資格の保有は、介護に関する専門的な知識や技術を習得していることの証明となるため、転職の際にもより待遇のよい職場への就職が目指せます。
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希望の職種と地域から、自身に合った求人を見つけましょう。
※2024年4月より介護に直接携わる介護士で無資格の方は、入職から1年以内の認知症介護基礎研修受講が義務付けられています。
※身体介護に携わるか否かは関係なく、全サービスで働く介護士が対象です。