さまざまなものがオンライン化する今日、国家資格に関する手続きもオンライン化がスタートしました。
そこで今回は、国家資格のオンライン・デジタル化の概要や利用方法を、対象の資格とともに網羅的に解説します。
- 国家資格のオンライン化に関する詳細
- 国家資格のオンライン化の手続きについて
- 介護関連の国家資格をお持ちの方
- 国家資格のオンライン化に興味がある方
- 国家資格のオンライン化手続きを行いたい方
国家資格等のオンライン・デジタル化の概要
これまで多くの国家資格等に関する手続きは、紙媒体を前提に運用されてきました。
2024年8月6日から各省庁が所管する国家資格等の手続きにおいて、マイナポータルにてオンラインで申請等ができます。
マイナンバー法が改正されたことを受け、84の国家資格等がオンライン・デジタル化の対象に加えられました。
お持ちのマイナンバーカードを用いてマイナポータルから氏名や住所の変更手続きを行うことや、保有資格の証明書である「デジタル資格者証」の発行がオンラインで可能です。
8月6日に介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理士の4種類のオンライン化がスタートし、11月以降は27資格に拡大、来年度までに合計84の国家資格等のオンライン・デジタル化が完了予定です。
オンライン・デジタル化でできること
オンライン・デジタル化で、マイナポータルを使って以下のことができるようになりました。
- 各種申請
- 資格の維持
- 資格の活用
それぞれについて詳しく解説します。
各種申請
各種申請書類のオンライン提出が可能です。
これまで各種申請書類は指定の場所に持って行くか、郵送をする必要がありました。
オンライン・デジタル化で、好きな場所から手軽に申請書類の提出ができます。
また、マイナンバーを活用することで住民票等の写しの提出を省略可能です。
そのため、従来のようにコンビニや各市区町村窓口に住民票等の写しを取りに行く手間が省けます。
他にも、オンライン支払いや申請状況の確認、マイナポータルからのお知らせの確認が可能です。
資格の維持
資格の維持もマイナポータル上から可能です。
婚姻や引っ越し等で氏名・住所等が変更された場合、情報がマイナンバーカードと紐付けてあるため、マイナポータルから簡単に手続きができます。
また、死亡時に必要となる手続きの簡略化も可能です。
資格保有者が亡くなった場合、指定の期日までに免許登録の消除をしますが、オンライン手続きを使えば従来の複雑な手続きは不要です。
注意点として、資格ごとに情報の取扱が異なるため、お持ちの資格ごとに手続きを行います。
資格の活用
オンライン・デジタル化が進むことで、自身の保有する資格情報をマイナポータル上で参照できます。
資格を証明する際に、マイナポータル上の資格情報を見せることで資格保有の証明が可能です。
また、真正性の確保や偽証防止機能等を設けることで、資格情報を電子媒体の形式による出力及び表示が可能となるほか、マイナポータルAPIを活用することで外部システムへ資格情報の連携も可能です。
利用方法
オンライン・デジタル化でさまざまなことの利便性が向上しても、利用方法が分からないと適切な活用はできません。
そこでここからは、オンライン・デジタル化された資格の利用方法をご紹介します。
対象者
対象は電子証明書が有効なマイナンバーカードをお持ちの方で、オンライン化が開始された国家資格を有する方です。
国家資格等のオンライン・デジタル化は始まったばかりであり、対応する資格は限られています。
そのため、電子証明書が有効なマイナンバーカードをお持ちであっても、保有する資格がオンライン化の対象に含まれていないとマイナポータル上での管理や利用はできません。
初期設定
マイナポータルにてマイナンバーカードと国家資格の情報を連携するためには、初期設定を行います。
マイナンバーカードと国家資格の連携は、以下の手順で可能です。
- マイナポータルへログインする。
- 「さがす」から「#国家資格」または「証明書」を押下する。
- 「国家資格の登録・各種申請」から「資格を追加する」を押す。
- 登録する国家資格を選択する。
- その後の手続きは画面の案内に従って操作する。
複雑な手続きはないため、比較的スムーズに手続きを進められるでしょう。
デジタル資格者証の概要
国家資格等のオンライン・デジタル化で、デジタル資格者証の発行が可能です。
物理的な資格者証がなくても資格を保有することの証明ができるようになりました。
本資格者証は国家資格システムが保有する名簿情報をもとにPDF形式で発行されます。
PDF形式のため、例えば就職活動の応募先企業へメールで送付することも可能です。
証明書内にある二次元コードを読み込むことで、資格の有効性を確認することも可能です。
デジタル資格者証の活用例
ここまで、国家資格等のオンライン・デジタル化の概要や、デジタル資格者証の概要を紹介しました。
ここからは、デジタル資格者証を活用する方法について、資格保有者側・検証者側に分けて解説します。
資格保有者
資格保有者は、デジタル資格証の提示や提出時に活用します。
対面でデジタル資格者証を提示する際には印刷して提出を行うか、証明書内にあるQRコードを相手に読み取って確認を依頼します。
印刷した資格者証は対面で提出する以外にも、郵送で提出も可能です。
また、デジタル資格者証はPDF形式の電子データで保存が可能なため、メールに資格者証を添付して送付することもできます。
提出を受けた側(検証者)
デジタル資格証の提出を受けた検証者は、証明書内のQRコードを読み取ることで資格の所有者情報や有効性を確認できます。
提出された資格について確認する場合は、以下の手順で行います。
- 提出されたデジタル資格者証のQRコードを読み取る。
- デジタル資格者証の検証サイトにて「検証実施」を押下する。
- 画面上に表示された検証結果をもとに、提示されているデジタル資格者証の記載事項との一致を確認する。
- 当該資格の有効性及び真正性も確認する。
対象の資格
今後も国家資格等のオンライン・デジタル化は進むことが予想されるものの、2024年11月時点で対応が決まっている資格は84個です。
そこでここからは、現時点で決まっている介護・福祉関係の資格を利用可能時期ごとにご紹介します。
2024年8月6日に開始した資格
前述の通り、国家資格等のオンライン・デジタル化は2024年8月6日から開始しました。
スタート時点で対象の資格は以下の4つです。
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 公認心理師
介護や福祉に関連した4つの資格が対象であり、マイナンバーカードと連携するとオンライン上でさまざまな手続きやデジタル資格者証の発行ができます。
上記資格をお持ちの方で電子証明書が有効なマイナンバーカードをお持ちの方は、マイナポータルから初期設定を行いましょう。
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2024年11月以降に開始予定の資格
2024年11月には27の資格を対象にオンライン・デジタル化が開始予定です。
開始予定の資格の一例は、以下の通りです。
- 看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 視能訓練士
- 言語聴覚士
- 歯科衛生士
- 管理栄養士
介護や福祉に関連するこれらの資格も、11月の開始予定です。
2025年1月以降に開始予定の資格
2025年1月以降には、保険医と保険薬剤師のオンライン化も開始予定です。どちらかの資格をお持ちで、電子証明が有効なマイナンバーカードをお持ちの場合は、開始時期が明確になり次第手続きの準備を進めましょう。
なお、介護福祉関連の資格はこのタイミングでの追加予定はなく、2025年3月以降に追加されます。
2025年3月以降に開始予定の資格
2025年3月以降は、9つの資格が追加予定です。介護・福祉に関する資格では、以下の3つが対象です。対象の資格とマイナンバーカードをお持ちの方は開始後に手続きを進めましょう。
- 准看護師
- 栄養士
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)
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2025年度以降に開始予定の資格
2025年度以降には、行政書士や司法試験など42資格が開始予定です。
このタイミングでは介護関連の資格の追加はありません。
今後の予定
新たにマイナンバーカードをスマホに搭載するための法律が国会で成立しました。
これに伴い、今後は各種証明書をスマートフォンにデジタル証明書としての搭載が予定されています。
現時点でオンライン・デジタル化した資格はPDFで表示されますが、今後は国際標準に基づくマシンリーダブルな証明書であるmdoc方式を搭載予定です。
また、スマートフォンのウォレットアプリでも利用できる予定です。
現在はオンライン・デジタル化が開始されたばかりで、資格所有者も企業側も不明な点が多いでしょう。
今後はオンライン・デジタル化が主流となり、対応資格も追加されることが予想されるため、制度や利用方法について正しい知識を付けましょう。
まとめ
介護や福祉の仕事における求人では、特定の資格保有を求められるケースもあります。
応募の際に提出する資格証明書は、これまで紙媒体が主流でした。
今回、マイナンバー法の改正などを受け、資格証明書のオンライン・デジタル化が開始されました。
対象の資格は一部に限定されているものの、今後徐々に対象の資格が増える予定です。
現時点でも介護や福祉に関する資格で対象に含まれているものは多数あります。
該当の資格をお持ちで電子証明書が有効なマイナンバーカードを保有する場合は、マイナポータルから手続きをして便利に活用しましょう。