介護職員初任者研修とは、ヘルパー2級の代わりの位置づけとして2013年に開始された、厚生労働省認定の公的資格です。
初任者研修の修了試験合格後には資格証が発行されますが、資格証があることは知っていても、詳細について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、初任者研修の資格証の概要や発行までの期間などについて解説していきます。
資格証を使用するタイミングや更新の有無などについても説明していますので、資格証取得後のためにも最後まで読んで覚えておきましょう。
この記事でわかること
- 初任者研修の資格証の概要
- 初任者研修の資格証を使用するタイミング
- 初任者研修の資格証の発行について
こんな人におすすめの記事です
- 初任者研修の資格証について知りたい方
- 初任者研修受講中または受講を検討している方
介護職員初任者研修の資格証(修了証明書)とは?
介護職員初任者研修の資格証とは、初任者研修修了などの条件を満たすことで取得できる修了証明書のことで、各都道府県が指定したスクール(研修機関)が発行します。
介護福祉士実務者研修の場合も、研修修了時には資格証(修了証明書)が発行されます。
資格証の種類や資格証が届くまでの期間など、基本的には初任者研修と大きな違いはありません。
資格証はA4サイズと携帯用の2種類ある
資格証は、A4程度のサイズのものと名刺程度のサイズのものが送られてきます。
A4程度のサイズのものは自宅に保存する用で、賞状のような見た目をしています。
名刺程度のサイズのものは、携帯用です。
どちらか1枚しか届かない場合には、発送先のスクールに問い合わせてみてください。
日本全国で適用される
初任者研修は、各都道府県が厚生労働省が定めた基準に沿ってスクールを認定し、研修が実施されています。
資格証の発行は各スクールが行いますが、厚生労働省が認可したスクールであることに変わりはないため、取得できれば日本全国で適用されます。
初任者研修の資格証の発行条件3つ
厚生労働省老健局振興課長は、初任者研修の資格証の発行条件について以下のように公表しています。
修了証は、「9.こころとからだのしくみと生活支援技術」の中で、介護技術の習得が講師により評価され、かつ修了評価の結果が所定の水準を超えるものであることが確認された受講者に対して発行するものとする。
つまり、資格証を発行してもらうためには、以下の3つの条件を満たさなければならないということです。
- 130時間のカリキュラム修了
- 講師による介護技術習得の評価
- 修了試験合格
それぞれについて詳しく確認していきましょう。
130時間のカリキュラム修了
初任者研修のカリキュラムは全130時間で、すべてのカリキュラムを受講すると修了試験を受けることができます。
初任者研修の資格証発行は、修了試験に合格することが条件ですが、全カリキュラムを受講していなければ修了試験を受けることはできません。
したがって、130時間のカリキュラム修了も資格証発行の条件といえるでしょう。
講師による介護技術習得の評価
初任者研修のカリキュラムにある「9.こころとからだのしくみと生活支援技術」では、講師が介護技術の習得に関しての評価を行います。
講師による評価は、実習レポートや実技チェックなどで行われている場合が多いです。
具体的な評価基準に関しては、厚生労働省のガイドラインに沿って各都道府県が定めているため、多少の違いがあります。
修了試験合格
初任者研修では全カリキュラム修了後、修了試験を受けなければなりません。
資格証は、この修了試験に合格することで発行してもらうことができます。
修了試験の合格ラインは100点中70点で、出題形式は「選択式のみ」または「選択式+記述式」のどちらかです。
記述式と聞くと難しく感じるかもしれませんが、選択式+記述式の場合も、選択式の割合が多いスクールがほとんどのため、難易度は高くないといってよいでしょう。
資格証はいつ届く?
資格証の発行までの期間は、初任者研修の修了試験合格後、2週間~1ヶ月程度の場合がほとんどです。
資格証の受け取り方法に関してはスクールによって異なり、引き取りや郵送などさまざまなため、事前に確認しておきましょう。
資格証はどこで使う?
初任者研修の資格証は、主に以下のような場面で使用します。
- 介護福祉士実務者研修の免除申請をするとき
- 就職するとき
- 人事考課のとき
また、ホームヘルパーとして働く方は資格証の取り扱いに注意が必要ですので、併せて解説していきます。
介護福祉士実務者研修の免除申請をするとき
介護福祉士実務者研修とは、初任者研修の上位資格にあたる資格で、介護福祉士国家資格の受験要件の1つです。
実務者研修のカリキュラムは全450時間ですが、初任者研修を修了している場合には、450時間のうち130時間が免除の対象となります。
免除を受けるためには、初任者研修を修了していることを客観的に証明する必要があるため、資格証の提出が求められます。
実務者研修に関しては、以下の記事をご覧ください。
就職するとき
介護職員として就職するときに、初任者研修の資格保有者であることの証明として就職先への提出が求められます。
タイミングによっては入職時までに資格証が発行されないこともありますが、そういった場合には、後日資格証を提出すれば問題ない場合がほとんどです。
ただし、事前に就職先へ説明することを忘れないようにしましょう。
また、スクールによっては「修了見込証明書」を発行してくれることもあります。
資格証発効前に就職先への提出が必要な場合には問い合わせてみるとよいでしょう。
人事考課のとき
介護業界では、人事考課のタイミングで定期昇給を取り入れている事業所や施設も多いです。
初任者研修の資格保有の有無は人事考課の評価対象になりますが、人事考課は実施期間が決まっています。
そのため、人事考課のタイミングまでに資格証が届かなければ、次の機会まで評価してもらえないのではないかと考える方もいると思いますが、不安を感じる必要はありません。
資格証が届いた時点で資格取得による昇給を行っている介護施設や事業所も多くあるため、間に合わない場合には勤め先へ相談してみるとよいでしょう。
ホームヘルパーは注意!
ホームヘルパー(訪問介護士)として働く場合には、初任者研修の資格証を携帯していなければなりません。
この場合の資格証は、初任者研修の修了見込証明書では代用ができないため、注意しましょう。
資格証を携帯せずにホームヘルパーの仕事を行ってしまうと、就職先の訪問介護事業所が運営できなくなる場合もあります。
ホームヘルパーとして働く場合には、携帯用の資格証を持ち歩くのが一般的です。
初任者研修の資格証に関するよくある質問
ここからは、初任者研修の資格証に関するよくある質問に回答していきます。
更新はある?
初任者研修の資格証の更新は必要ありません。
有効期限はないため、一度取得すれば一生使うことができます。
資格証は再発行してもらえる?
基本的には、資格証の再発行は可能です。
紛失などの理由で再発行を希望する場合には、初任者研修を修了した(資格証の発行元である)スクールに再発行の手続きを依頼しましょう。
ただし、スクールは各都道府県の規定に沿って対応しているため、中には再発行ができない場合もあります。
再発行不可の場合には代替対応として「交付証明書」などを発行してもらえる可能性もあるため、スクールに問い合わせてみてください。
また、初任者研修は厚生労働省認定の公的資格のため、資格取得者の管理は各都道府県が行っています。
したがって、万が一スクールが閉鎖していた場合には、スクールが所在していた各都道府県に問い合わせてみてください。
再発行には時間を要しますし、発行手数料などの費用もかかるため、再発行を依頼する時点で早めに動き始めましょう。
名義変更時の対応は必要?
基本的に初任者研修の資格証は、一度取得すればそのまま使い続けることが可能ですが、結婚などが理由で名義が変更になった場合には対応が必要になります。
名義が変更になった場合は、資格証を発行してもらったスクールに再発行依頼を行います。
名義変更による再発行の場合には、変更内容の証明のために戸籍謄本が必要です。
詳しくは、各スクールへ問い合わせてください。
資格証がなくても初任者研修修了を名乗っていい?
本来は、修了試験に合格すれば有資格者であると名乗ることができます。
しかし、資格証がなければ、初任者研修修了試験に合格したことの客観的証明ができません。
したがって、資格証が届くまでは初任者研修修了とは名乗れないと考えてよいでしょう。
一生使える資格証を手に入れよう
介護職員初任者研修の資格証は、一度取得すれば一生使えるものです。
また、日本全国で適用されるため、転職の際にも非常に有利です。
初任者研修の資格証は、就職時や人事考課時など、定期的に提出を求められるため、大切に保管しておきましょう。
万が一失くしてしまった場合でも、再発行が可能ですので、早めに発行元のスクールへ問い合わせてみてください。
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初任者研修の資格証発行後、介護士として働き始めましょう。