家族の介護が必要になったとき初めて、介護サービスや介護施設について詳しく調べたという方も多いのではないでしょうか?
身近なところでは介護保険についてニュースで耳にする方が多いと思います。
2040年問題ともいわれるように、実際のところ「介護業界」の先行きは明るいのでしょうか?
そこで本記事では、介護業界の仕組みについて解説します。
また、介護サービスを使う人と働く人の2つの側面から見た介護業界についても解説しますので、介護業界に関わる際の参考になれば幸いです。
- 介護業界ってどんなところ?今、何が起きているの?
- 介護保険って何?これからどう変わるの?
- 介護業界が直面している大きな問題って何?
- 介護サービスを利用する予定がある人
- 介護業界で働きたいと考えている人
- 介護業界で事業を展開したい人
超高齢化がもたらす変化、日本の社会保障制度の未来
人口減少と少子高齢化という言葉を良く耳にしますが、今後、どのようになることが予想されているかを整理してみましょう。
介護保険の負担増加、私たちに何ができる?
日本の人口減少と少子高齢化が進行することにより、2040年に様々な問題が表面化するとされており、これを2040年問題といいます。
介護業界において、どのような問題があるのか確認していきましょう。
介護施設は介護保険制度を利用して運営されています。
日本では団塊の世代が全て75歳以上となる2025年までに、高齢者人口が増加し続け、2025年以降では増加が緩やかになると予想されています。
反対に64歳以下では人口の減少が進みます。
介護保険の加入は40歳からと決められており、更に年齢によって第1号被保険者と第2号保険者に分類されます。
介護保険加入者は、介護サービスを1割~3割の自己負担で利用でき、残りの7割~9割の支払いについては保険料から支払われることとなります。
令和2年度ベースで85歳~89歳の受給者数が一番多くなっており、第二号保険者である40歳~64歳までの人口が減少し続けることで、介護保険の負担が増加する可能性があることを示しています。
介護保険に対する新しい政策はあるのか?
介護保険に限らず、社会保障全体に対して政策がすすめられています。
介護に関係がある政策として大きな点は2つあります。
- 社会での活力維持向上
- 医療・介護サービスの確保
2040年に向け、誰もが長く元気に活躍できる社会を実現するための取り組みが始まっています。
医療の発展や健康寿命が伸びたことで、高齢者が働いたり活躍できる場が増えています。
政策としても、継続して様々な就労先や社会参加を促し、さらに健康寿命を伸ばすことを目指すことで介護サービスを利用する年齢層の引き上げを目指していると思われます。
医療・介護サービスで働く人の減少が想定されます。
働き手が少なくなってもサービスの質や量は確保しなくてはいけません。
そこで、ICT(情報通信技術)やAI、ロボットの活用可能な業務の幅を広げていく取り組みが課題となることでしょう。
これからの介護、新しい技術とシステムとは?
介護サービスは大きく分けて、居宅サービスと施設サービスに分類されます。
現在、居宅・施設サービス共に新しい形態のサービスが制定される予定はありません。
しかし介護サービスのあり方・考え方は徐々に変動しています。
現在、地域包括ケアシステムが介護のメジャーとなるよう政策が進んでいます。
このシステムにより、地域の医療・介護サービスの担い手が連携を図り、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができます。
重度な介護が必要となった人も施設入居を選ぶのではなく、自宅で最期まで生活をすることができるのです。
地域包括ケアシステムが浸透すれば、老老介護をしている家庭や独居の高齢者が抱える不安や心配も軽減されることでしょう。
しかしながら、課題はまだまだ多いようです。
2025年を目途にシステムの構築を目指していますが都市部と地方ではサービス提供に格差が生じていますし、地域包括ケアシステムの担い手はまだまだ不足しています。
介護業界での就業 先行きは明るい?暗い?
続いて、介護業界での就業者の動向を見ていきます。有効求人倍率は、2022年時点で全職種が1.13倍のところ3.6倍と全職種を大きく上回っています。
介護の仕事を続けたり、介護職へ転職したいと考えている方は、今後の介護業界に不安がある方もいるのではないでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の影響は?
新型コロナウイルス感染症の蔓延の影響により、利用者と家族への対応に追われた介護職も多いことでしょう。
特に居宅サービスでは利用者の利用控えや休業のため減収となったサービスも多く、苦戦を強いられていました。
現在は新型コロナウイルス感染症の対応が進んだことで大きな影響は出てはいませんが、一部企業では親会社と子会社での合併や、ファンドからの買収といった業界再編の動きも見受けられます。
介護職の給与や手当はアップしている?
令和3年度の調査によると、新型コロナウイルス感染症の影響があった施設のうち、給与水準を引き上げた事業者は5割となっていました。
令和4年10月以降は臨時の報酬改定である介護職員等ベースアップ等支援加算が行われています。
この加算により賃金の3%程度となる月額平均9000円相当が引き上げられることとなりました。
また、令和6年2月から介護職員処遇改善支援補助金による賃金引上げが実施されます。
補助金により収入の2%である月額平均6,000円相当の引き上げとなります。
またこの賃金引き上げは継続が前提となっています。
このように介護職の担い手確保のための賃金引上げは随時行われております。
今後も継続した引き上げが行われる可能性は充分にあるでしょう。
介護業界で働くには
介護職や介護業界への転職は難しくはありません。特に介護職の人員不足は未だ解消されていないためです。
重要なのは希望の就業先での業務内容が、自分の希望と合致しているかどうかです。
希望の職場や職種に就くために大切なことを確認していきましょう。
資格取得
介護サービス自体が完全に無くなるということはありません。
また有効求人倍率からも就業自体は難しくありません。
しかしながら有資格か無資格かで応募ができる求人が異なる場合があります。資格によって基本給や手当に差のある求人も多いです。
2024年4月より介護に直接携わる職員で無資格の方は入職から1年以内での認知症介護基礎研修受講が義務付けられるようになりました。
入職前に研修を受けているかどうかが採用に大きくかかわるような内容のものではありませんが、長く介護職員として働いていくことを考えている方であれば、認知症介護基礎研修や介護職員初任者研修の資格取得を目指しましょう。
介護職以外にも介護施設で就業する職種は多くあります。
既にお持ちの資格を活かせる職種がある可能性がありますので、介護職以外の職種にも目を向けてみることも大切です。
転職で給与アップのために
求人の給与面を確認してみましょう。
介護職員の処遇改善として給与に反映される手当は以下の通りです。
- 介護職員処遇改善加算
- 介護職員等特定処遇改善加算
- 介護職員等ベースアップ等支援加算
- 介護職員処遇改善支援補助金(令和6年2月~5月)
求人によっては一部の加算が無い場合や、加算の内訳について詳細記載が無い求人もあります。しっかりと確認する必要があるでしょう。
自分の資格や経験を活かすことのできる求人へ応募することも有効でしょう。
地域包括ケアシステムの拡充が進められるであろう状況を踏まえると、介護業界への民間企業や地域の小規模企業の参入が期待されます。
介護業界に携わりつつ、自身の資格や経験を活かすことのできる求人へ応募することで、転職時の給与アップも期待できることでしょう。
事業者にとって今後の介護業界の展開は?
現状の介護サービスの提供のままでは、介護職の処遇改善が更になされない限り、より一層人材の確保が難しくなる可能性も大いにあるでしょう。
しかしながら、2040年問題に向けて地域包括ケアシステムは更に拡充される見込みです。
現在課題とされている、都市部と地方との差を埋めるようなサービスや、直接的な介護サービスではなく高齢者の健康維持促進のサービスや、生活支援サポートなど、事業展開の先は多くあると思われます。
そのようなサービスでは元介護職や、介護資格を持っているかたの知識や経験が活きるのではないでしょうか?
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介護業界の担い手として働こう
地域包括ケアシステムで提供される介護サービスは、利用者が自分らしい暮らしを続けることができるシステムです。これによって市場規模も変わっていく可能性があります。
今から介護業界に携わることで、介護職としてのスキルを身に着けることができるでしょう。
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