介護の仕事は人のために貢献できるやりがいのある仕事ですが、人手不足による業務負担の増加や給料の問題、介護職の将来性などについて不安になり、このまま続けるべきか悩むこともあるでしょう。
そこでこの記事では、介護業界の今後の動向や将来性について解説します。
この記事でわかること
- 介護業界の今後の課題について
- 介護業界の今後の動向や取り組みについて
こんな人におすすめの記事です
- 介護業界の今後の動向について知りたい方
- 介護の仕事を続けるか迷っている方
- これから介護の仕事を検討している方
介護業界の現状と課題
介護業界の現状と課題について以下の5つの項目に分けて解説します。
- 介護職員数
- 介護職の平均給料
- 介護職の平均年齢
- 要介護高齢者数
- 離職率
介護職員数
全国の介護職員数は、令和元年の時点で211万人おり、右肩上がりで増加しています。
しかし、令和4年度介護労働実態調査によると66.3%の事業所において介護職員の人材不足を感じています。
これは高齢化が進み、介護を必要とする人の数も増え続けているからです。
今後もこの傾向は続く見込みであり、10年後や20年後はさらに介護職員の人材不足が懸念されるでしょう。
介護職の平均給料
令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護職員全体の平均給料は、316,610円です。
年収に換算すると約380万円であり、全産業の平均年収443万円と比べると約60万円も低い結果です。
厚生労働省の調査によると約4割の介護職員が「仕事内容のわりに賃金が低い」と感じていると回答しており、介護職の処遇改善が課題となっています。
介護職の平均年齢
厚生労働省の資料によると介護職員の平均年齢は、高い傾向にあります。
年齢構成の割合は、男性で30歳、40歳代が主流であり、男性全体の約56%を占めています。
女性は、40歳以上の割合が女性全体の約75%を占めている状況です。
29歳以下の介護職員は、男性で13%、女性は6%しかいません。
男女比は、男性が33%に対して女性は66%と女性が多く、平均年齢も高めとなっています。
要介護高齢者数
要介護高齢者の数は、年々増加しています。
これは、高齢者数の増加だけでなく、医療の発展により寿命と健康寿命との開きが出たことや要介護認定の申請につながるケースが増えていることなどが要因として挙げられます。
令和2年度介護保険事業状況報告によると65歳以上の要介護認定者数は、令和2年度で682万人となっており、平成23年度の531万人から151万人も増加しているのです。
今後も要介護高齢者数は、高齢者数の増加に伴いさらに増えていくことが予想されます。
離職率
令和4年度介護労働実態調査による介護職員の離職率は14.4%であり、令和4年雇用動向調査結果による全産業の平均離職率は、15.0%です。
調査は違いますが、両者を比較すると介護職の離職率のほうが低い結果となっています。
介護職員の主な退職理由は以下のようになっています。
- 職場の人間関係…27.5%
- 法人や施設・ 事業所の理念や運営の在り方に不満があったため…22.8%
- 他に良い仕事・職場があったため…18.6%
離職率はさまざまな処遇改善や職場の労働環境改善の取り組みなどにより、年々減少傾向となっています。
介護業界の今後の動向と5つの取り組み
令和4年10月の社会保障審議会において以下の5つの取り組みについて検討されています。
- 処遇改善に向けた取り組み
- 人材確保の取り組み
- 外国人の受け入れ体制の整備
- 離職防止・生産性向上の取り組み
- 介護職の魅力向上の取り組み
それぞれについて解説します。
処遇改善に向けた取り組み
介護職員の処遇改善は、これまでもさまざまな取り組みがなされており、今後も継続する見込みです。
岸田総理も令和5年1月26日の国会の質疑応答でも処遇改善に取り組む必要性について明言しています。
実際、平成21年度から令和元年度までに介護報酬の見直しや処遇改善加算の創設などの取り組みにより月額平均7.5万円賃金が上がっています。
まだ決定はしていませんが、令和4年度の介護保険法改正においてさらなる処遇改善の取り組みをされる可能性は高いと言えるでしょう。
人材確保の取り組み
国としても人材確保の取り組みとして、働きやすい職場環境の整備や資格取得から就職までの一貫した支援、貸付金による資格取得、就職支援の実施などが挙げられます。
職場環境の整備では、朝夕のみや夜間のみ、季節限定の就労や副業・兼業の推奨、週休三日制の導入などさまざまな働き方が検討されています。
時代の変化に合わせて介護職員がより働きやすいように今後も環境整備や支援がされていくでしょう。
外国人材の受入れ体制の整備
外国人材の受け入れ件数は、年々増加傾向にあります。
EPA(経済連携協定) によるとに令和元年までに約5,000人の介護福祉士候補者の受け入れをしてきました。
令和2年1月の時点では、約3,500人の外国の介護職員が働いています。
しかし、その一方で外国人材の受け入れにはいくつかの課題もあり、思うように受け入れ者数が伸びていません。
課題として、資格取得に必要な資金や日本語の問題、文化や環境の違いの問題などがあります。
国としても外国人材が働きやすい環境作りを目指し、資格取得資金の貸付や日本語学習支援、相談支援などを行い、課題解決に取り組んでいます。
離職防止・生産性向上の取り組み
近年の介護職員の離職率は全産業と比較しても極端に多いわけではありませんが、人手不足のところも多く、業務負担を感じている方も多いでしょう。
また、子育てしながら働いている方も多く、安心して働くためには保育施設の充実も重要な課題です。
それらの課題に対して、介護ロボットやICT(情報通信技術)の活用促進、介護施設・事業所内の保育施設の設置・運営の支援などにより安心して働ける職場環境を目指す取り組みがなされています。
介護職の魅力向上の取り組み
厚生労働省の調査によると介護の仕事に対して「体力的・精神的にきつそう」「給料水準が低そう」というようなネガティブなイメージが多いのが現状です。
国としてもこれらのイメージ改善を図るためにさまざまな取り組みを行っています。
例えば、「民間事業者によるイベント」「テレビ、新聞、SNSを活用した情報発信」「学生や保護者、進路指導担当者等への介護の仕事の理解促進」などの広報活動を行っています。
これらの活動でイメージが変わり、介護の仕事に興味や関心を持ってくれる人たちが増えることが期待できるでしょう。
介護職として働く3つのメリット
介護職として働くメリットを3つご紹介します。
- 処遇改善が期待できる
- 仕事にやりがいを感じられる
- 介護職の需要が高い
以下で、詳しく解説します。
処遇改善が期待できる
他の産業に比べて介護職の給料は低い状況ですが、国の方針としても「介護職の賃金を他の産業の平均賃金と同等まで引き上げる」ことを目指しています。
介護職員の平均給料は毎年上がっていて、今後も働き続けることで、給料アップが期待できるでしょう。
仕事にやりがいを感じられる
介護職は、相手から感謝されたり、自己成長を感じたりする場面が多くやりがいの多い仕事です。
例えば、直接的な介護をしたり、介護で悩んでいる家族からの介護相談を受けたりした時に感謝の言葉をいただくことが多々あります。
また、介護福祉士やケアマネジャーなどの上級資格を取得し、キャリアアップできると自己成長を感じられやりがいにつながります。
やりがいが多ければ、高いモチベーションで仕事ができるでしょう。
介護職の需要が高い
団塊の世代が75歳を迎える2025年では、介護職員が約32万人、高齢者人口のピークを迎える2040年には、約69万人の介護職員の不足が予想されます。
このことからも介護職員の需要がなくなる心配はないでしょう。
需要が高い職種のため、介護施設や事業所もより良い人材を求めています。
介護職として働き続け経験年数や専門性を高めることでより良い条件の職場へ転職も可能になるでしょう。
介護職として働くことに迷ったときの対処法
介護の仕事は大変なことも多く、業務負担や人間関係、将来性などで仕事を続けるべきか不安になることもあるでしょう。
そのようなときの対処法を3つご紹介します。
- 上司や同僚に相談する
- スキルアップのために資格を取得する
- 転職する
仕事の悩みがあるときは、まずは信頼できる上司や同僚に相談してみてください。
相談することで自分の気持ちも楽になり、解決のアドバイスをもらえるかもしれません。
あえて苦手としている分野の資格を取ることもおすすめの対処法です。
悩みに対して、苦手意識を持っていることが多く資格取得をすることで自信がつきます。
自信がつくことで悩みが解決されるでしょう。
どうしても悩みが解決されない場合は、転職を考えると良いでしょう。
自分に合った職場を見つけることで、悩みも解消されやりがいを持って働けます。
介護職として働くことに迷ったときの対応についての詳しい説明は、以下の記事を参照ください。
将来性のある介護職として条件の良い職場へ転職しよう
介護職は、これからも需要が高い職種です。
今後は2025問題や2040問題など高齢者人口の急激な増加により介護職不足が懸念されています。
人手不足を改善しようと国も処遇改善や生産性向上の取り組みを積極的に行っています。
今後は介護職の賃上げや働きやすい職場環境の構築が期待できるでしょう。
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