40代で介護事務に転職するのは難しい?ポイントを徹底解説

介護事務とは介護施設の運営を金銭面で支える仕事です。したがって、介護に興味があるものの体力面で不安のある人にはぴったりな仕事といえます。

今回は介護事務について、40代からの転職は可能であるかを念頭に置きつつ、業務内容・給料・メリット・デメリットなどを解説します。

この記事でわかること

  • 40代での介護事務への転職に関して
  • 介護事務の業務内容や給料
  • 介護事務職のメリット・デメリット
こんな人におすすめの記事です

  • 40代での介護事務への転職を検討している人
  • 介護事務の仕事内容を知りたい方
  • 介護事務のお仕事を探している方
目次

介護事務とは

介護事務とは、介護報酬請求や労務・経理など介護に関する事務作業を請け負う仕事です。

大規模な介護施設では、専門の事務スタッフが配置されています。

ここでは介護事務職に限定して、職場・1日の流れ・医療事務とのちがいについて解説します。

介護事務に関しては、以下の記事が参考になります。

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職場

介護事務として働く職場は、以下の表のような施設が考えられます。

施設 概要
訪問介護事務所 利用者の自宅に訪問し、介護サービスを提供する施設
デイサービス 比較的自立できている利用者が日中に通う施設
泊りや半日の利用もできる
特別養護老人ホーム 要介護3以上の利用者が過ごす施設
介護老人保健施設 介護が必要な利用者が在宅復帰を目指しリハビリする施設
グループホーム 認知症の利用者が共同生活を送る施設
有料老人ホーム 高齢者が心身ともに健康で安定した生活を送るための施設
サービス付き高齢者向け住宅 高齢者が自宅同様に自由度の高い生活を送れて、安否確認や生活相談が受けられるバリアフリー型の賃貸住宅

1日の流れ【介護事務職】

介護事務職の業務内容はある程度決まっており、それに伴って進められます。

ここでは、1日の流れについて具体例をまとめてみました。

例)介護事務職の1日の流れ

時刻 業務

8:30

出勤・朝礼・情報共有

9:00

メールチェック

10:00

デスクワーク(電話・来客対応を含む)

12:00

昼休憩

13:00

デスクワーク・介護のサポート

17:00

退勤

デスクワークが中心ですが、介護給費明細書作成から労務に関連する書類まで、幅広い書類作成に携われます。また来客対応や介護のサポートなど業務内容は多岐にわたります。

医療事務とのちがい

介護事務職と医療事務職は、混同されやすい職業です。

両者のちがいについて表にまとめたので、ぜひ参考にしてください。

介護事務 医療事務
職場 介護施設 病院・クリニック
作成する書類 介護給付費明細書 診療報酬明細書
関わる人 利用者・介護職員・自治体職員 患者・医師・看護師
必要な知識 介護保険制度の知識 医療保険制度の知識

介護事務の業務内容

ここからは、具体的な介護事務の業務内容について解説します。

介護事務の主な業務は介護給費明細書作成ですが、その他にもさまざまな業務を任せられる場合があります。

介護事務の業務に関しては、以下の記事が参考になります。

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介護給費明細書(レセプト)作成

介護事務の業務内容として最も重要なものが、介護給費明細書(レセプト)作成です。

介護給費明細書(レセプト)とは、医療機関や介護機関が保険者に費用請求するときの明細書のことです。職場や施設によっては介護レセプト、あるいは単にレセプトと呼ぶことがあります。

介護施設の運営費の8割以上は、介護保険から支出される介護給付によるものです。この介護給付を国民健康保険団体連合会に請求する必要があり、そのためにレセプトを作成します。

申請が誤っていたり申請に漏れがあったりした場合、施設の経営に損害を与えてしまったり、反対に行政に対して過大な請求につながったりするため慎重さが求められるでしょう。

経理・労務管理

経理・労務管理なども、介護事務が行う業務です。具体的には、予算の管理・職員のシフト管理・給与計算・福利厚生の管理などが挙げられます。

これらの業務は介護業界だけの特別な作業がないため、介護業界以外で事務職を経験したことがあれば、その経験を活かして働けるでしょう。

受付・電話対応

介護事務は、来客時の受付や電話対応なども担当業務の1つです。想定される来客は利用者やそのご家族のみならず、国民健康保険団体連合会・福祉事務所・医療機関など多岐にわたります。

公的な専門機関も多いため、事務職といえども介護の専門知識をある程度知っておかないと、対応に支障が出るおそれがあります。

また、来客に際しては自分の対応が、施設の印象を左右する点を忘れないようにしましょう。

40代から介護事務へ転職するには

ここでは40代から介護事務へ転職をご検討している人に向けて、役立つスキルや資格などを紹介します。

介護事務への転職は40代からでも遅くないため、不安に感じることなく転職活動に取り組めるでしょう。絶対に必要な資格はないため、転職自体も容易です。

ただし転職活動を有利に進めるためには、スキルや資格を持っておくと望ましいでしょう。

役立つスキル

介護事務で役立つスキルは、一般的な事務職と大差ありません。

基本的なところでは、コミュニケーションスキルです。来客や電話の対応に加え、施設内でもさまざまなやりとりがあるため、コミュニケーション力が重要です。

また、PCのスキルが必要です。各種請求書の作成や問い合わせへの対応は、すべてパソコンで行われます。そのため、WordやExcelの操作スキルは欠かせません。

さらに来客時には施設の顔になるため、最低限のマナーを身につけておきたいところです。

役立つ資格

介護事務職になるために、必要な資格はありません。しかし資格を持っていることで、転職活動で有利となる可能性は高いでしょう。

そこで、ここでは介護事務職になるために役立つ資格を3つ紹介します。

資格名 実施団体
介護事務管理士 JSMA技能認定振興協会
介護事務認定実務者 全国医療福祉教育協会
ケアクラーク 日本医療教育財団

いずれも介護保険制度や介護報酬の請求業務に関する、介護事務ならではの知識が問われます。そのため、介護事務にはうってつけの資格といえるでしょう。

これらは民間の資格であり、かつ難易度も高くないためチャレンジをおすすめします。

資格なしでできる福祉関係の仕事に関しては、以下の記事が参考になります。

福祉の仕事は資格なしでもできる?無資格でできる福祉に関わる仕事一覧

介護事務の給料

介護事務職の給料を、令和4年度厚生労働省のデータを参考にし、以下の表にまとめました。なお、これらのデータは介護事務の専業者としています。

平均月給 平均年収
30万円 340万円〜370万円

この金額は、都道府県や組織によって異なることに注意してください。

一方で介護事務の給与は、介護職員と比べて大きな開きがありません。「介護に携わりたいものの肉体的な負担が心配だ」という人には、おすすめの仕事です。

介護事務のメリット

ここでは介護事務のメリットを5点、詳しくご紹介します。

介護職員と介護事務職で迷っている、もしくは他の事務職と介護事務職で迷っている方は、介護事務のメリットとデメリットをしっかりと知ったうえで、自分に最も合う仕事を選びましょう。

体力面での不安を感じずに済む

40代からの転職となると、体力面での衰えが進んでいく時期でもあります。そのため、利用者を直接ケアしなければならない介護職員について、不安に感じている人は少なくありません。

介護事務職であれば、体力面での不安を感じることなく介護に携わることができます。

また事務作業だけでなく利用者に直接接する機会があるため、「介護を通じて利用者に感謝される」との意見も多く、やりがいにつながる経験が得られます。

スキルや知識が得られる

介護事務として働く2つ目のメリットとして、スキルや知識を得られるということが挙げられます。

介護事務として働くと必然的に介護の現場と近づくため、介護に関するスキルや知識を吸収できます。

介護職への転職を考えている場合やご家族に今後介護が必要となる方がいらっしゃる場合、さまざまなスキルや知識を蓄えておくと役に立つでしょう。

働き方が多様である

介護事務職の働き方は、多様かつ柔軟です。介護事務の求人は正社員のみならず、派遣社員やパートなどの雇用形態も多く見られます。

まとまった時間を取れる人は正社員で応募できますし、さまざまな事情で時間のある日だけ働きたいという人は派遣社員やパートとして働くことが可能です。

そのため、それぞれのライフスタイルに応じた働き方が実現できます。

利用者やその家族から感謝される

介護事務としての主な業務は介護給費明細書作成(レセプト)と述べましたが、利用者やその家族と接する機会が少なくありません。利用者やその家族から感謝されることは、多くの介護事務職員がやりがいに感じるところです。

特に「介護を通じて人を快適にしたい」という思いが強い人には、直接的にも間接的にも介護と関わる介護事務は適した仕事といえます。

将来性がある

将来性がある点は、介護事務の大きなメリットです。

介護業界全体に言えることとして、日本は現在高齢化が進行しているため、年々介護の需要は高まっています。また、この傾向は今後も続くと予想されています。

現状、需要を満たすだけの供給が慢性的に追いついていません。これは介護事務職に関しても同様です。

また介護業界の労働環境を改善すべく、政府が取り組みを進めています。そのため、今後ますます働きやすい環境になると思われます。

介護事務のデメリット

ここでは、介護事務職のデメリットについて3点ほどご紹介します。

メリットとデメリットをしっかりと参照し、満足できる仕事選びをすることが大切です。

介護業務もする

介護事務職という名前ですが、事務だけでなく介護業務に携わることがあります。誤りがあれば施設に多大な迷惑をかけてしまいます。

裏を返すと、責任のある仕事であるといえます。責任感のある人にとっては、こういった面はやりがいに感じるでしょう。

期日がある

介護保険請求の介護給費明細書(レセプト)は、月末までに作成する必要があります。介護事務職員は必ず、期日を遵守しなければなりません。

計画的に業務を進めて月末までに請求を終えられれば問題ありませんが、これには時間管理能力が必要です。時間管理能力に劣っており、請求作業を月末まで先延ばしにしてしまうと期日に間に合わず迷惑をかけてしまう可能性があります。

介護事務に向いている人

介護事務はどのような人が向いているのでしょうか。ここでは、介護事務に向いている人の特徴を5点ほど紹介します。

コミュニケーション能力のある人

介護事務職では、コミュニケーション能力が重要です。

事務作業というと黙々と進めるイメージを持たれる方も多いですが、介護事務では来客や電話への対応・利用者との対応・同僚との意思疎通など、さまざまな相手とのコミュニケーションが求められます。

介護や福祉に興味のある人

介護や福祉に興味のある人は、介護事務に向いています。

介護事務は直接利用者の介護をするわけではありませんが、やはり介護に携わっている以上、介護に興味があればやりがいを感じられるでしょう。

また事務作業以外にも利用者と顔を合わせる機会があり、その際に快く対応できる能力が必要です。

パソコン操作が得意な人

介護事務の業務はデスクワークが中心であるため、パソコンを使用する機会が多い仕事です。

パソコン操作が得意な人であれば、大きな苦労はなく業務に取り組めるでしょう。

なお介護事務の業務で求められるパソコン操作はそれほど高度ではなく、はじめはWordやExcelの操作ができれば十分です。

数字が苦手でない人

数字が苦手でない人は、介護事務に向いているでしょう。

介護事務でメインの業務となる介護給費明細書作成では、お金を扱うという業務の特性上、細かくて膨大な数字を扱います。このため、数字を見ても苦でない人は向いています。

金額計算などで電卓を使う機会があるため、計算業務が苦手でない人も介護事務に向いているといえるでしょう。

さらに介護保険制度は目まぐるしく変化するため、学習を継続する向上心が必要です。

期限を守れる人

先ほども述べたように、介護給費明細書作成には毎月期日が設けられています。ここに照準を合わせ、計画的に進めなければなりません。

普段の生活でもしっかりと期限を守れているなら、介護事務として負担に感じることなく業務ができるでしょう。

介護事務のやりがい

ここからは、介護事務職員として働くうえでのやりがいを3つご紹介します。

やりがいは仕事を選ぶうえで非常に大切であるため、自分が介護事務をしているという前提で、やりがいを感じられるかどうかをイメージしましょう。

利用者から感謝される

介護事務の大きなやりがいとして、利用者から感謝されるという点が挙げられます。

事務作業ということもあり、裏方での業務がメインと思われることも多いのですが、利用者と直接的なコミュニケーションをとる機会が多く存在します。

利用者やその家族から感謝の言葉をいただくと、それが大きなモチベーションにつながり、よりよい仕事をしようとする意欲につながることは少なくありません。

責任が大きい

責任が大きいという点も、介護事務のやりがいの1つです。

介護事務職は、国の制度に従ってその施設を金銭面から動かす非常に責任の大きな仕事を任されています。

ほかにも施設設備の管理・修繕のための予算や介護スタッフのサポートなど、いずれも介護施設にとって不可欠な存在であるため、それがやりがいと感じる人は多いでしょう。

仕事の幅が広い

介護事務のやりがいとして、仕事の幅が広いことが挙げられます。

介護事務の業務は、多岐にわたります。介護給費明細書作成に留まらず、来客や電話への対応・介護業務のサポート・労務管理など、幅広い仕事に携わることが特徴です。

そのため、1つのことだけに集中するのが苦手だったりだった、飽きっぽかったりする人には、魅力的な仕事でしょう。

40代からの転職にあたってのポイント

ここでは、40代から介護事務に転職するために知っておきたい5つのポイントをご紹介します。後悔のない転職活動をするためにも、これらのポイントを念頭に置いておきましょう。

未経験可の求人を探す

40代から未経験で介護事務に転職する人のみならず、以前経験があってブランクを経て復帰したい人にも未経験可の求人を探すことをおすすめします。

ブランクがある場合、介護関連の仕事を辞めて以降に制度が変わっていたり、ノウハウが活かせなかったりするおそれがあります。

そうした場合でも、未経験可の職場であれば、ゆっくりと学んでいくことが可能です。

残業なしの求人を探す

パートやアルバイトで求人を探されている人は、残業なしの求人を探しましょう。

介護事務は、介護給付費明細書の作成期日である月末が繁忙期です。残業なしと明記されていない求人であれば、パートやアルバイトであっても月末に残業を任されるおそれがあります。

こうした事態を避けるために、残業なしの求人にあらかじめ絞って検討することが賢明です。

前職のスキルを活かす

介護事務職として転職する場合、前職での経験やスキルがどのように介護事務の仕事に活かせるかを考えましょう。

事務・接客・営業など、前職に応じて得ているスキルは異なります。これらと介護事務の業務を照らし合わせながら、最善となるアピール方法を考えることが転職を成功させるための近道です。

スキル以外の部分をアピールする

介護は、人と接する機会が多い仕事です。そのため、人との交流が好きである旨を面接時にアピールできれば、採用側にとっても「この人は施設でうまくやっていけそう」「この人は長く働いてもらえそう」というイメージがしやすいでしょう。

スキル・知識にとどまらない自分が持っている長所を、いかに介護事務で求められるそれと擦り合わせられるかが大切です。

資格を取得する

介護事務職になるために必要な資格はありませんが、介護事務職としての適性を判断するうえで、資格を取得しているとアピールポイントとして機能します。

先ほど述べたような民間の資格が充実しているため、介護事務を目指される人は取得しておくと面接がスムーズに進むでしょう。

まとめ

この記事では、介護業界でも介護事務という職種に焦点を当てて解説しました。

介護事務は通常の介護職員と異なり直接的に介護業務に関わることはありませんが、介護施設の運営を金銭面から支える重要な役割があります。

40代から転職が可能な仕事ですので、向いていると感じたらぜひ転職を検討してみてください。

カイゴLINKでは転職専門のエージェントスタッフが在籍しておりますので、一度相談してみるのも1つの方法です。

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監修者

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