介護施設にも事務のお仕事があります。求人を確認した経験がある方もいると思いますが、一般的な事務職とどのようなところが違うのか疑問に感じたことはないでしょうか?
介護事務の仕事内容や資格の有無など、応募をする前に気になる点は確認しておきたいですよね。
この記事では介護事務の仕事について解説をします。
介護事務に興味がある方は是非参考にしてみてください。
- 介護事務の仕事内容
- 介護事務のメリット・デメリット
- 介護事務に必要な資格
- 介護事務として働きたい人
- 事務職の転職先を探している人
- 介護事務を目指して資格を取りたい人
介護事務の仕事、資格は必要?
一般的な事務と大きく異なるのは「介護報酬の請求(レセプト)」業務があることです。
ここでは介護事務の特徴的な仕事を中心に、仕事内容を詳しく解説します。
仕事内容
介護報酬請求事務(レセプト作成)
介護報酬請求とは簡単にいうと保険者である市町村に対して、サービスの利用料を請求するものです。
一般的にこの業務は「レセプト」と呼ばれています。
利用者がサービスを提供した際に発生する費用のことを介護報酬といいます。
報酬は原則1割の金額を利用者が、それ以外の支払いは各事業所の所在地にある国保連合会(*1)が行います。
そのため、介護施設では市町村から支払われる想定の金額を計算し請求する必要があるのです。
介護報酬の額は提供しているサービスの種類や内容、利用者の要介護度によって異なります。
利用者の利用実績と提供サービスを照らし合わせて、間違いが無いよう請求する必要があります。
この請求データは、毎月1日~10日までの間に国保連に提出する必要があります。
介護報酬の仕組みを詳しく知りたい方は、下記の記事をご参考にしてみてください!
*1 国保連合会は保険医療機関等から提出される国民健康保険及び後期高齢者医療制度に係る医療費の明細書(レセプト)の内容が適切かを審査した後、内容が適切なレセプトについては市町村・国保組合等に診療報酬等を請求し、保険医療機関等に支払っています。国保連合会は年間約10億件のレセプトを審査し、日本の医療費約41兆円のうち約7割を占める国民健康保険及び後期高齢者医療分の27兆円を取り扱っています(平成28年度)。
公益社団法人 国民健康保険中央会より引用
利用者さんへの請求書作成
利用者さんはサービスを利用する上で原則1割の利用料を自己負担することになります。
そのため、利用者さんへあてた請求書の作成や、介護保険外のサービスを利用した際の請求書や領収書を作成するのも介護事務の仕事となります。
利用者さんの負担割合や利用料にそった請求書の作成をする必要があり、ミスなく作成をするよう努めることが重要です。
職員のシフト管理・経理管理
職員のシフトを管理し給与計算を行うことも介護事務の仕事に含まれます。
職員が研修に参加する際はその費用の準備や、通勤以外の交通費が発生する場合には別途支払の計算を行うこともあります。
また、施設の修繕依頼や備品の発注、季節ごとのイベント、日々のレクリエーションに関する予算といった経理管理も仕事の一つです。
介護職のサポート
介護事務でよく聞く話として、事務仕事だけでなく現場のサポートを行うことがあるというものです。
直接的な介護を行うわけではありませんが、突発的な出来事で介護職員の数が足りない際などに、見守りをお願いされることがあるようです。
また、サービスによっては季節ごとのイベントが実施されるため、夏祭りやクリスマスといった大きなイベントは、施設で働く職員が全員行事に参加すると決まっている事業所もあります。
介護事務はデスクワークだけを行っていれば良い職業ではないと言えるでしょう。
窓口・電話対応
あらゆる施設において、介護事務の勤務場所は施設の受付兼事務所になっていることが多いです。
介護職や看護師などの専門職は、利用者さんに介護サービスを提供しているため、来客対応をすることが難しくなっています。
そのため、介護事務が電話や来客者の対応を兼任する事業所がほとんどです。
無資格でもOK
介護事務として働くには資格は不要です。
無資格でも働くことはできますが、資格を取得することで即戦力になれることをアピールできるでしょう。
介護事務として働くうえで役立つ資格は次の通りです。
- 介護事務管理士
- 介護事務管理士とは、介護報酬請求業務や受付・会計などを行ったり、ケアマネージャーや介護士の業務サポートを行ったりできるスキルがあることを保証してくれる資格です。
- ケアクラーク技能認定試験
- 介護報酬請求業務はもちろんのこと、コミュニケーションや社会福祉、介護技術など、介護事務職として求められる知識と技能を備えていることを証明するものです。
- 介護報酬請求業務技能検定試験
- 介護報酬請求業務を中心に、利用者さまの窓口業務やケアマネジャーのサポートなど幅広い業務に対応することができることを証明するものです。
介護事務管理士、ケアクラーク技能認定試験、介護報酬請求業務技能検定試験は、それぞれ民間資格であるため試験や講習の実施元が異なります。
いずれも、レセプト業務やケアマネ・介護士のサポートを行えることを証明するものになります。
講義の日程や学べる科目、受講料などを見比べて、ご自身の希望にあったものを取得されるといいでしょう。
- パソコンスキル
- 介護報酬請求業務は一般的に介護ソフトを利用して行われています。
事業所によって使用しているソフトが異なるため、基本的なパソコンスキルが身に付いていると仕事が円滑に進むでしょう。
その他、書類の作成をする機会も多いと想定されます。
ワードやエクセルといった基本的な操作をできるようにしておくことをお勧めします。 - 認知症介護基礎研修
- 認知症介護について学ぶことのできる研修です。直接介護を行う介護士はこの研修の受講が義務付けられていることもあり、介護事務の仕事であっても利用者さんと関わる機会があることを想定すると受講をしていて損はないでしょう。
eラーニングで受講ができ、他の介護資格より比較的短時間で受講ができます。 - 介護職員初任者研修
- 介護職員初任者研修は介護士としての基本的な知識や技術を学べる資格です。事務だけでなく、介護の仕事にも関心がある方、介護職としても働くことを検討できる方は取得をすると、他の介護事務職と差別化が図れることでしょう。
各資格の詳細な情報については、下記リンク等をご参照ください
介護事務管理士|技能認定振興協会(JSMA)
ケアクラーク技能認定試験|日本医療教育財団
介護報酬請求業務技能検定試験|日本医療事務協会
初任者研修について詳しく知りたい方は、下記の記事を御覧ください。
介護事務に年齢制限はある?
40代以上での就業は難しい?
介護事務は何歳からでもチャレンジができます。
介護以外の事務職として働いていて、その経験を活かして介護事務に転職するという道もあるでしょう。
就業に年齢が不利に働くことはありません。
しかし、介護事務は就業する事業所によって、利用者さんやそのご家族とも関わる機会が多く、介護現場のサポートをお願いされるなど「経理事務以外の仕事」が多く発生する職種といえます。
デスクワーク以外は絶対にしたくない、介護業務を手伝うことや利用者さんと関わることに抵抗があると思っている方は、年齢問わず採用を見送られる可能性が高いため、応募の際は気を付けましょう。
活躍できる場所
介護事務が活躍できる場所はさまざまあります。
各施設によってサービスが異なるため、介護事務の仕事内容が変わることもあります。
ひと月のなかで介護事務の仕事が忙しくなるタイミングや、介護業務をどの程度お願いされる可能性があるかなど、事前の確認が必要でしょう。
施設サービス
利用者さんが入所しているサービスです。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 有料老人ホーム
- グループホーム
居宅介護サービス
利用者さんが自宅から通い受けるサービス、もしくは、介護士に自宅に来てもらうサービスです。
- デイサービス
- ショートステイ
- 訪問介護事業所
その他
- 居宅介護支援事業所
居宅介護サービスを利用する利用者さんが、どのような介護サービスを受けるかプランを決めます。
介護サービスの特徴を知りたいかたはこちら
介護事務のメリット
体力的な負担が少ない
介護事務は基本的に日勤帯のデスクワークになります。
介護士のサポートを依頼されることはあってもメインで介護業務を行うことは殆ど無いため、体力的な負担が少ないです。
事業所によっては平日のみの勤務になっていることもあるため、不規則な勤務形態になりにくい点も働きやすさの一つでしょう。
利用者さんや家族と関わる機会が多い
一般企業の事務職と異なる点は、施設の窓口として、お客様である利用者さんやそのご家族と関わる機会が多いことです。
直接、挨拶やお話ができるため、人と関わることが好きな方やコミュニケーションが得意な方は、自分の長所を活かせる仕事でしょう。
また、利用者さんから感謝の言葉を伝えられることもあるため、自分の仕事に対するリアクションを直接感じることができるのも魅力の一つです。
専門知識が活かせる
介護報酬の請求には、介護保険制度の理解や専門的な知識が必要です。
研修などで身に付けた知識を存分に活かせる職業といえます。
突発的な対応は少ない
介護施設で就業する職種の中では、突発的な対応が発生する可能性が低いです。
仕事の計画を立てたり、スケジュール通りに進行させたりすることが得意な方は、介護事務の仕事に向いている方といえます。
介護現場で利用者さんの対応をしている介護職や看護師などの専門職は、利用者さんの状況にあわせて日々変動的な仕事を行っています。
そんな同僚を影ながら支える存在として働くことのできる仕事です。
介護事務のデメリット
介護の仕事をお願いされる
施設によっては、介護事務の合間に介護業務を依頼されることもあります。
利用者さんの見守り程度であればいいのですが、お願いされていくうちにいつの間にか介護職と同じ内容の仕事をしていた、なんてことも。
介護に対する知識を深めようとおもって介護の資格を取得していたら、介護職として働くことができると思われてしまったという経験談を伺ったこともあります。
同じ施設で働くからにはお互いのサポートは必要ではありますが、本来の事務業務がおろそかになってしまっては困りますよね。
介護職員の仕事をする可能性がどこまであるのかについては、事前に確認しておきましょう。
月末月初は忙しくなる
介護報酬請求を行うタイミングである、月末から月初にかけて忙しくなります。
月末にさしかかると残業をする可能性もでてくることでしょう。
忙しい時期とそうでない時期があるという働き方が苦手な方にとっては、心身的な負担を感じるかもしれません。
まとめ
介護事務は未経験でも働くことができる仕事です。
一般的な事務職と異なり、介護保険制度や介護報酬について知る必要があるため、専門性も必要な事務職といえます。
介護サービスが円滑に提供できるよう、施設の経理や職員のサポートも行う、まさしく縁の下の力持ちといえる仕事です。
介護事務は、デスクワークが得意な方、事務の経験がある方、直接人と関わる仕事が好きな方に向いています。
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