グループホーム(認知症対応型共同生活介護)で管理職を目指す

現在グループホームで就業している方や、グループホームに転職を検討している方の中には、将来的に管理職を目指したいと考えている方もいるでしょう。

グループホームの管理者の仕事内容はどういったものなのか、管理職は忙しそうに見えるが仕事も大変なのか、責任が増えるのであれば年収もアップするのか、等、疑問や不安をお持ちではないでしょうか?

この記事では、グループホームの管理者になるために必要な経験や資格、管理職の仕事内容について説明しています。

ぜひ最後までお読みください。

この記事でわかること

  • グループホーム管理職になるために必要なこと
  • グループホーム管理職の仕事内容
こんな人におすすめの記事です

  • グループホームで働いている方
  • グループホームの管理職を目指している方
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目次

グループホーム管理職の要件

まずはグループホームの管理者になるために必要となる内容について説明します。

主に、資格・経験が重要にはなりますが、現在介護職の経験がない方でも挑戦できる職種です。
管理職を目指すうえでのポイントを確認していきましょう。

資格・研修

グループホームの管理者は、3年以上認知症の介護従事経験があり、厚生労働大臣が定める研修を修了した者である必要があります。

全くの介護未経験の方がすぐに管理職として働くことはできないため、介護未経験でこれから管理職を目指したいと検討している方はまず、介護職として就業するところから始めましょう。

厚生労働大臣が定める研修とは次の2つです。

  • 認知症介護実践者研修
  • 認知症対応型サービス事業管理者研修

認知症対応型サービス事業管理者研修は、認知症介護実践者研修の修了者もしくは同時受講の場合に受講ができるため、グループホームの管理者は必然的に2つの研修を修了していることになります。

認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム) 管理者交代時の研修の修了猶予措置(31ページ)

認知症介護実践者研修

対象者は介護保険施設・事業所等に従事する介護職員等であって、一定の知識、技術及び経験を有する者とされています。

研修は都道府県ごとに実施され、受講要件が異なります。
ほとんどの場合、一定の知識、技術及び経験を有するものとして、介護実務経験が2年以上あることを受講条件の1つに定めているようです。

認知症介護実践者等養成事業の実施について
東京都福祉局東京都認知症介護研修の概要
令和6年度 埼玉県認知症介護実践研修

認知症対応型サービス事業管理者研修

対象者は、認知症対応型サービス事業(認知症対応型共同生活介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護)の管理者、または、管理者になる予定の方です。

認知症介護実践者等養成事業の実施について

前述の通り、認知症介護実践者研修を修了していることが受講要件となります。
尚、認知症介護実践者研修と認知症対応型サービス管理者研修を同時に受講することも可能です。

併せて、3年以上認知症である者の介護に従事した経験を有する者である必要があります。

指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準 第五章第二節

未経験から管理職を目指す場合、最短でも3年の年数が必要になることが分かりますね。

経験

グループホームの管理者になるためには、最低でも介護職として3年の経験が必要であることが分かりました。

では、それ以外にどのような経験があることが期待されるのかいくつか例を上げていきます。

管理職、リーダー経験

管理職は職員と面談を行ったりシフトを作成したりする機会があります。
似たような仕事の経験がある場合、強みとしてアピールできるでしょう。

幅広い介護経験

グループホームでは、自立をしている方から寝たきりの方まで生活をしています。
そのため、一通りの介護技術を身に付けていると即戦力になれるでしょう。

計画作成担当の経験がある

計画作成担当とはグループホームにお住まいの利用者のケアプランを作成する担当職務です。

ユニット数が1つの事業所などでは、管理職が計画作成担当を兼務する場合もあります。

計画作成の経験がある管理者が在籍していることは、利用者にとっても一緒に働く介護職やケアマネージャーにとっても心強いものとなるでしょう。

書類作成ができる

グループホームの管理者は、代表で施設を管轄する市町村へ計画書や報告書を作成・提出します。

書類によってフォーマットや使用するソフトが異なることも大いにあるため、PCスキルがあると安心できるでしょう。

グループホームでの就業が向いている人

認知症ケアに関して身に付けた知識や技術を、活かしていきたいと考えている方は、グループホームの管理者が向いています。

また、利用者の数が少ないため、少人数の利用者に対してゆっくり介護を行いたいという思いが強い方にもおすすめです。

管理者は行政と連携をとったり、職員、利用者とも関わったりするため、コミュニケーション能力に自信のある方は特に活躍できるでしょう。

利用者との関わりの中で、認知症の症状と向き合う場面も多くなります。

時には、心無い言葉をかけられる、伝えたことを利用者が覚えていない状況も発生するでしょう。

ストレスを感じたり、気持ちが沈んでいると思ったら、自分なりの方法で切り替えができる人もグループホームでの勤務は向いていると思います。

グループホーム管理職の年収

平均年収と手取り

令和4年度のグループホーム管理職の平均月給は365,600円、年収では4,387,200円(月収×12ヶ月分)です。

別途賞与が支給される場合は、想定年収450万~480万程度であると考えられます。

手取りの金額は、個人の前年度の年収などにより異なりますが、概ね下記金額になるでしょう。

月給:約29万円
年収:約350万円~384万円

令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(P136)

他施設の管理職との比較

グループホーム管理職の月収は、介護施設全体の管理職平均月収より約1万円高い金額です。

介護老人福祉施設や、介護老人保健施設、特定施設入居者生活介護事業所と比較すると、月収で2万円~6万円の差が生じています。

金額の差だけみると見劣りしてしまうかも知れませんが、グループホームより管理職の月収の平均が高いサービスは、利用者数もグループホームの何十倍と多いため、介護報酬の金額も当然多くなっています。

そのため、グループホームより管理職の給与が高くなるのは当然のことでしょう。

令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(P136)

年収アップを目指すには

グループホームの管理職が給料アップを目指す方法として、おすすめなのは「資格の取得」です。
管理職になるには、3年以上の認知症介護従事経験と、認知症介護実践者研修および認知症対応型サービス事業管理者研修を修了していることが条件でしたね。

さらに、介護の資格の中でも国家資格である介護福祉士を取得したり、ケアプランを作成することのできる介護支援専門員(ケアマネージャー)資格を取得したりすることで、給与アップを狙える可能性があります。

また勤続年数が増えるごとに年収もアップしていくため、長く勤務するということも給与アップには欠かせません。

すぐにでも年収を増やしたいという場合は「転職」も視野にいれましょう。

より条件のいいグループホームを探す、ほかの施設サービスの管理職を目指すというのも一つの方法です。

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グループホーム管理職の仕事

仕事内容

グループホームの管理職の仕事は、施設運営や収支の管理、スタッフの管理など多岐にわたります。
ユニットが1つなど、小さい事業所では介護職や計画作成担当など他職務と兼務する場合もあります。

仕事と内容について簡単に説明していきましょう。

施設の運営

グループホームの運営方針を決めたり、施設設備の管理といった全体の運営を担います。
グループホームを運営するための法令を把握することも仕事のひとつです。

広報、営業活動

施設運営業務の一つです。
グループホームに入居の空きがあると、介護報酬が貰えず運営や職員の給与支払いなどに影響があります。
そのためグループホームの広報を行ったり、居宅のケアマネージャーへ利用者を紹介してもらえるよう営業活動も行います。

人事管理

面接や説明会、見学対応といった採用活動から、職員への研修の企画実施、勉強会の提案など、人事管理に関する職務を行います。
スタッフの介護スキルや経験、状況に応じた人員配置を行うのも管理職の仕事です。

利用者の対応と管理

管理者が行う対応は、入退去時の対応と介護サービスに関する確認や相談です。
グループホームの利用者は認知症の方となるため、利用者の家族や後見人と介護サービスの内容や方針についての話し合いや確認を行う場を設けることも必要です。

行政との連携

施設を管轄する市町村へ、グループホームの計画書や報告書などを提出します。

収支の管理

介護報酬の請求業務、利用料のチェック、経費の管理などを行います。

大変な仕事なのか?

グループホームの管理者は、仕事内容が多岐にわたるため覚えることの多い仕事です。

特別養護老人ホームや、デイサービス、有料老人ホームなど、利用者数や職員が多い事業所では、介護事務が勤務していたり、営業活動は生活相談員が行ってくれたりします。

しかし、グループホームは1~3ユニットで運営されていることが多く、利用者の数も9人~27人と少ないです。

職員の数も同様に少ないため、グループホームの管理者の仕事が多くなるのでしょう。

利用者へのサービス提供を第一に、施設の広報から収支の管理まで、多くの業務を管理者として担当できることにやりがいを感じる方もいるでしょう。

一方で、仕事の多さを負担と感じ「大変だ」と思う方もいることでしょう。

そんなときは、管理職が必ずするべき仕事と、他の職員に任せられる仕事を役割分担するのも一つの方法です。

例えば、新入職員への研修や指導はベテランの介護職にお願いする、広報活動や営業を計画作成担当に依頼するなど、一緒に働く同僚に協力をお願いすることも必要です。

辞めたいと思ったときはどうする?

「忙しすぎて辞めたい」「仕事量に給与が見合わないので辞めたい」などの考えが頭をよぎることもあるかもしれません。

同じ職場で継続して頑張っていきたいという気持ちがあれば、まずは同僚や友人など信頼できる人に相談をしましょう。

他のグループホームで管理職の経験がある方に、困っていることについてアドバイスを貰うのもいいかもしれません。

辞めたいという思いがとても強いのであれば、思い切って転職することもひとつの道です。

転職についての専門職に相談するのもおすすめです。

カイゴLINKでは、担当のキャリアアドバイザーがあなたの転職活動をサポートします。

まとめ

グループホームの管理職は、施設の運営と管理を担う責任者です。

認知症についての知識や経験が求められるため、管理者になるためには実務経験と認知症対応型サービス事業者管理研修の受講が必要です。

管理者の仕事は多く、時には介護現場にでたり、緊急時の対応を行ったりと、慌ただしい日もあるかもしれません。

グループホームで生活をされる利用者へ、求める介護サービスを提供するため、管理職が中心となり運営を進めていく必要があるのでしょう。

グループホームはとてもやりがいを感じる仕事に間違いありません。

介護業界への転職を考えている方、グループホームでの就業を検討している方は、将来的にグループホームの管理職を目指してみてはいかがでしょうか?

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監修者

【保有資格】
・社会福祉主事任用

【職歴】
・知的障害者施設 支援員 : 約3年
・介護・福祉のキャリアアドバイザー : 約3年
・介護求人サイト「カイゴLINK」サポート業務 : 約2年

【経歴】
知的障害者入居施設にて支援員として勤務し、直接介護や支援に携わる。
サービス管理責任者と共に個別支援計画の作成やアセスメントの実施を行う。
福祉業界での従事者である経験を活かし、全国に福祉サービスを展開する株式会社SOYOKAZE(旧 株式会社ユニマットリタイアメントコミュニティ)の子会社である株式会社SOYOKAZE Staff Company(旧 株式会社ユニマットスタッフカンパニー)キャリアアドバイザーとして従事。

キャリアアドバイザー時代は3年間の累計約2,600名を超える介護・福祉に関わる職種へ就業を希望される方を対象に、希望されるキャリアアップのための就業先提案やアドバイスを行う。
自社内での介護・福祉に特化した求人サイト「カイゴLINK」の新サービス提供開始に伴い、ご利用検討をされる法人様へ各種の提案を行っている。

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