介護士の仕事は、身体的負担が大きく、年齢を重ねることで、限界を感じる方もいると思います。
とはいえ、日勤のみで夜勤手当がなくなれば、給料が下がってしまうという不安を感じる方も多いでしょう。
そこでおすすめしたいのが、準夜勤です。
この記事では、準夜勤と夜勤の3つの違いや、準夜勤の手当などについて解説していきます。
準夜勤で働くメリット・デメリット、準夜勤後の生活リズムの整え方についても言及していますので、働き方を見直すきっかけにしてください。
この記事でわかること
- 準夜勤とはなにか
- 準夜勤と夜勤の違い
- 準夜勤のメリット・デメリット
こんな人におすすめの記事です
- 準夜勤と夜勤の違いを知りたい方
- 準夜勤のある施設で働きたい方
介護施設の準夜勤とは?夜勤との違い
準夜勤とは、夕方くらいから深夜、または翌日早朝までの勤務形態のことです。
時間帯に「何時から何時まで」といった明確な決まりはありません。
施設によって異なり、22:00から翌朝7:00までのところもあれば、15:00から0:00までのところもあります。
準夜勤は、「夜勤と同じ深夜帯の勤務でも、短時間のほうが負担が少ないのではないか」という考えから、介護職員の生活リズムを整えるために導入されました。
勤務時間の違い
準夜勤と夜勤のもっとも大きな違いは、勤務時間です。
準夜勤は、休憩時間を除いた勤務時間が約8時間であるのに対し、夜勤は約16時間勤務になるよう、シフトが作られています。
このことから準夜勤は、別名「8時間夜勤」とも呼ばれています。
勤務体制の違い
準夜勤を導入している施設と、夜勤のみを導入している施設では、勤務体制にも違いがあります。
準夜勤を導入している施設では、「3交代制」といって、24時間を「日勤」「準夜」「深夜」の3等分にし、それぞれが約8時間勤務になるようにしています。
一方、夜勤のみを導入している施設は、「2交代制」です。
2交代制とは、24時間を「日勤」と「夜勤」の2等分にしているため、日勤が約8時間、夜勤が約16時間で2日分の勤務時間になります。
次の日の扱いの違い
準夜勤と夜勤には、次の日の扱いにも違いがあります。
準夜勤の場合、勤務時間は約8時間のため、日勤と同じ扱いになります。
したがって、準夜勤明けの日は、公休ではなく出勤となることが多いです。
一方、夜勤の場合は、約16時間と、2日分の勤務時間に相当します。
そのため、夜勤明けは出勤扱いになり、明け翌日が公休となることが多いです。
介護施設での準夜勤の仕事内容
介護施設での準夜勤の仕事内容を、タイムスケジュールにして、確認してみましょう。
ここでの準夜勤は、16:00~1:00までの9時間(休憩時間60分込み)とします。
時間 | 準夜勤の仕事内容 |
---|---|
16:00 | 出勤、日勤者からの申し送り |
17:00~19:00 |
夕食の配膳、食事介助、夕食薬の配薬 口腔ケア |
19:00~20:00 |
就寝準備(臥床) 利用者の自由時間 |
20:00~ | おむつ交換、トイレ誘導 |
21:00 |
眠前薬の配薬 消灯 |
22:00~0:00 |
記録、見回り 60分休憩 |
0:00~1:00 | 夜勤者への申し送り |
準夜勤の主な仕事内容は、夕食時の食事介助や配薬、就寝準備、排せつ介助やナースコール対応で、基本的には、準夜勤と夜勤の業務に違いはありません。
勤務時間が翌朝までになる場合には、整容や離床などの起床準備、朝食時の食事介助や配薬などが、主な仕事内容となります。
また、体調が悪い方がいる場合のバイタルサイン測定や、利用者が急変した際の緊急時対応が必要になることもあるでしょう。
準夜勤の手当
夜勤のある勤務体制の場合、基本給に加えて「夜勤手当」が支給されるのが一般的です。
これは、準夜勤も例外ではありません。
2021年の常勤の1回あたりの夜勤手当の平均は以下の通りでした。
勤務形態 平均手当 2交替夜勤 5,976円 3交代夜勤の準夜 3,630円 3交代夜勤の深夜 4,325円 引用:「2021年介護施設夜勤実態調査結果概要」
ただし、手当が支給されるのは、労働基準法の「深夜割増賃金」に基づき、22:00~翌朝5:00までの間に働いた場合のみが多いです。
準夜勤の勤務時間は施設によって異なるため、深夜割増賃金に該当する時間帯に勤務している時間が少なければ、手当も少なくなります。
反対に、深夜割増賃金に該当する時間帯に多く勤務していれば、手当も多くなるでしょう。
準夜勤の時間に明確な決まりはないため、事前の確認をしっかり行わなければなりません。
準夜勤のメリット
準夜勤のメリットには、以下の3つがあります。
- 生活リズムが崩れにくい
- 身体的負担が少ない
- 夜勤手当がつく
準夜勤の勤務時間は、夕方から深夜までが一般的です。
日勤と比較すると後ろ倒しにはなりますが、勤務時間は夜勤の1/2で、退勤後にしっかり休息をとることができます。
そのため、夜勤のみの勤務体制と比較すると、生活リズムが崩れにくいといったメリットがあります。
また、夜勤の場合は勤務時間が長いため、就寝準備のための臥床介助と就寝前の排せつ介助、起床準備のための排せつ介助と離床介助の両方を行わなければなりません。
しかし、勤務時間が短い準夜勤の場合は、就寝準備または起床準備のどちらか一方のみを行うだけでよいため、夜勤と比較すると身体的負担も少なくなります。
さらに、準夜勤の多くが、「深夜割増賃金」に該当するため、夜勤手当が支給されます。
夜勤と比較すると手当は少なくなりますが、日勤よりも高い給料が期待できるため、夜勤を辞めることによって給料が下がる心配のある方には、おすすめです。
準夜勤のデメリット
準夜勤のデメリットには、以下の2つがあります。
- 勤務時間の間隔が短くなる場合がある
- 公共交通機関が利用できない場合がある
夜勤は、約16時間の勤務となるため、2日分働いたことになります。
一方、準夜勤は、約8時間勤務のため、翌日早朝までの勤務であっても、1日分働いたことにしかなりません。
そのため、たとえば、翌朝1:00まで勤務し、その日の17:00に再度出勤しなければならないこともあり、その場合、勤務時間の間隔が短くなってしまいます。
夜勤の場合は、夜勤明け翌日が公休となるため、1日身体を休めることができますが、準夜勤の場合は、満足に休息できない方も多いです。
人によっては、夜勤よりも準夜勤のほうがきつく感じるかもしれません。
ほかにも、退勤時にバスや電車といった公共交通機関を利用できない場合もあるため、車通勤をしていない方は注意が必要です。
公共交通機関を利用して通勤している場合には、タクシーを利用しなくてはなりません。
施設によっては、タクシーチケットを支給してくれるところもあるため、タクシーを利用する可能性がある方は、事前に確認しておきましょう。
準夜勤後の生活リズムの整え方
準夜勤後は、生活リズムが崩れないように過ごしましょう。
帰宅後は、なるべく早めに就寝し、いつもと同じ時間に起床するのが理想です。
残業があり、帰宅が遅くなってしまった場合には、その分起床時間を遅らせてもよいですが、午前中のうちには起床するようにしましょう。
準夜勤後は、夜勤明けと同様に神経が高ぶり、ついネットショッピングをしたり、映画鑑賞をしたりしてしまいがちです。
しかし、準夜勤は明け当日や翌日が勤務になることも多いため、十分な休息をとらなければ、疲労が蓄積され続けてしまいます。
明けの日は、生活リズムを整える生活を送るように心がけましょう。
介護施設で働く際は準夜勤という選択肢も
3交代制で準夜勤を導入している施設には、以下のような特徴があります。
- ベッド数が多い
- 介護職員の人数が多い
- 施設の規模が大きい
具体的には、以下の施設に導入されている傾向にあります。
- 特養
- 老健
- ショートステイ
- 介護医療院
しかし、3交代制を導入している施設は多くないのが現状です。
「2021年介護施設夜勤実態調査結果概要」によると、3交代制を導入している介護施設は、12.4%のみでした。
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