介護士としての今後のキャリアアップとともに、年収はアップしていくのか、という点が気になる方は少なくないでしょう。
介護士としての年収アップについて知るには、まず現在の自身の年収が他者と比較してどうなのかを知っておく必要があります。
そこでこの記事では、カテゴリ別の介護士の平均年収や、介護職の平均年収について紹介します。
介護士としての年収アップの方法についても解説していますので、最後まで読んで、年収アップにつなげてください。
この記事でわかること
- カテゴリ別介護士の平均年収
- 今後の介護士の年収の予想
- 年収をアップさせる方法
こんな人におすすめの記事です
- 介護士の平均年収について詳しく知りたい方
- 年収をアップさせる方法を知りたい方
介護士の平均年収
厚生労働省が公表した「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護士の平均月収は、317,540円でした。
ここから、月収×12か月で年収を算出すると、介護士の平均年収は、381万480円となります。
ただし、介護士の給料は、施設形態や勤務年数などによっても異なります。
そこでここからは、介護士の平均月収と年収を、以下の5つにカテゴライズして紹介していきます。
- 施設形態による年収の違い
- 年齢・男女による年収の違い
- 勤務年数による年収の違い
- 地域による年収の違い
- パート・アルバイトの平均年収
現在の年収と比較しながら、みていきましょう。
施設形態による年収の違い
施設形態による介護士の年収の違いは、以下の通りです。
施設形態 年収(平均月収から算出) 介護老人福祉施設(特養) 約417万480円 介護老人保健施設 約406万8,480円 訪問介護事業所(ホームヘルパー) 約378万2,040円 通所介護事業所(デイサービス) 約330万7,440円
上記の給料には、夜勤手当も含まれているため、基本的に夜勤のない訪問介護やデイサービスは、夜勤のある特養や老健と比較すると給料が安くなっています。
年齢・男女による年収の違い
年齢・男女による年収の違いは、以下の通りです。
年齢 男性の年収
(平均月収から算出)女性の年収
(平均月収から算出)29歳以下 約348万600円 約339万7,800円 30~39歳 約404万8,320円 約370万8,840円 40~49歳 約431万160円 約382万3,560円 50~59歳 約406万8,480円 約380万4,360円 60歳以上 約335万8,560円 約349万3,080円
ただし、介護業界では、それまで現場で培ってきた経験や人柄などが、年齢や性別よりも重視される傾向にあります。
そのため、若くても役職に就くこともあります。
役職に就けば役職手当がつき、給料も上がるため、年齢や性別による給料は、あくまで参考程度にしましょう。
勤務年数による年収の違い
勤務年数による年収の違いは、以下の通りです。
勤務年数 年収(平均月収から算出) 1年目 約336万6,600円 5年目 約367万1,640円 10年目 約387万5,880円 15年目 約411万1,080円 20年以上 約449万9,680円
ただし、勤務年数による給料の違いも、年齢・男女の年収同様、役職の有無などによって異なるため、参考程度に確認するとよいでしょう。
地域による年収の違い
主要地域別の介護士の年収は以下になります。
都道府県 年収 東京都 323万円 北海道 285万円 宮城県 297万円 愛知県 320万円 大阪府 321万円 広島県 295万円 福岡県 281万円 青森県 260万 引用:求人ボックス給料ナビ
介護士の年収がもっとも高いのは東京都で、もっとも年収が低い青森県と比較すると、約63万円の差があることが分かります。
パート・アルバイトの平均年収
令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果で公表されたパート・アルバイトの平均月収は、121,000円でした。時給に換算すると、約1,386円です。
また、平均月収から算出した年収は、136万1,880円となります。
ただし、パート・アルバイトの年収は、働いている時間によって異なるため、時給を参考にするとよいでしょう。
介護士の給料の手取りはいくら?
手取りの金額は、支給額の7.5〜8.5割ほどとされています。
したがって、介護士の手取りは、月収が約237,457〜269,118円、年収が約284万9,490〜322万9,422円となります。
介護職の平均年収
厚生労働省が公表している主な介護職の平均年収は、以下の通りです。
職種 月収から算出した年収 看護師 約448万5,000円 生活相談・支援相談員 約410万7,960円 ケアマネージャー 約434万1,240円
介護士の場合、業務内容は限られてきますが、無資格でも働くことができます。※
一方で、上記の介護職は、有資格者でなければ、その職種を名乗ることができません。
そのため、介護士よりも平均年収が高くなっていると考えられます。
※2024年4月より介護に直接携わる介護士で無資格の方は、入職から1年以内の認知症介護基礎研修受講が義務付けられています。
※身体介護に携わるか否かは関係なく、全サービスで働く介護士が対象です。
介護士の給料が安すぎるといわれる4つの理由
介護士の給料が安すぎるといわれる主な理由は、以下になります。
- 介護報酬に上限があるため
- 専門性が低いと思われているため
- パートは昇給がほぼないため
- 内部留保額が高めなため
介護士の給料は、基本的に介護報酬から支払われますが、介護報酬には国によって上限が定められているため、給料アップを行うことができません。
また、介護士の仕事は、未経験・無資格者でも働けるため、専門性が低いと思われていることも、給料が低い理由のひとつです。
ほかにも、パートの昇給がほぼないことや、施設の経営安定のための貯金(内部留保額)を溜め込む傾向にあることも、介護士の給料が上がらない理由です。
介護士の給料が安い理由については、以下を併せてご確認ください。
介護士の給料は今後どうなる?
高齢化社会による介護士の需要の高まりや、介護士の慢性的な人材不足を解決するために、政府は以下のような給料アップの取り組みを始めました。
- 介護職員処遇改善加算
- 介護職員等特定処遇改善加算
- ベースアップ等支援加算
令和6年6月にこれらの加算が一本化され「福祉・介護職員等処遇改善加算」となり、加算率がひきあがります。
特に新加算の算定要件に月額賃金改善要件というものがあり、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップを目標としています。
したがって、介護士の給料は、今後上がっていくことが予想されるでしょう。
しかし、近年の物価高騰により、介護士の給料アップが先送りとなっている施設もあります。
令和5年4月に公表された「物価・光熱水費等の高騰による介護施設・事業所への影響調査について」によると、50%以上の施設が、物価・光熱水費等の高騰による影響を受けています。
また、物価・光熱水費等の高騰によるコスト増への対応として、介護施設の27.3%が、昇給や賞与支給の減額または見送りをしていました。
岸田総理は、介護士の賃金アップについても言及していますし、今後の動きに注視しましょう。
介護士の今後の給料については、以下で詳しく解説しています。
介護士の年収を上げるための5つの方法
介護士として年収を上げる方法には、以下の5つがあります。
- 上位資格を取得する
- 役職や管理職を目指す
- 夜勤の回数を増やす
- 勤続年数を増やす
- 条件のよい施設へ転職する
できる方法から始め、年収アップを目指しましょう。
上位資格を取得する
介護士として年収アップするためには、資格の取得が必須です。
介護士の場合、有資格者に対して資格手当がつくのが一般的です。
また、上位資格を取得するほど、できる業務の幅が広がるため、給料がアップにつながる可能性があります。
無資格であれば、初任者研修の取得から始め、介護福祉士を目指すとよいでしょう。
介護福祉士の給料については、以下で詳しく解説しています。
ほかにも、ケアマネージャーの資格取得もおすすめです。
ケアマネは、ケアプランの作成が主な仕事で、介護福祉士としての実務経験が5年以上なおかつ従事日数が900日以上なければ、受験できません。
令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護とケアマネの年収の差は約53万円あります。
役職や管理職を目指す
介護業界では、年齢や性別よりも、これまで培った経験やスキル、資格の有無や種類が重視されます。
したがって、介護福祉士などの上位資格を取得し、経験やスキルを積めば、役職に就ける可能性もあります。
役職に就けば、その分責任も大きくなりますが、年収500万円も不可能ではありません。
介護業界で年収500万円を目指す方法は、以下を参照ください。
ほかにも、施設の管理職となり、年収アップを目指す方法もあります。
具体的には、訪問介護事業所の責任者であるサービス提供責任者などです。
サ責に関しては、以下で詳しく解説しています。
夜勤の回数を増やす
労働基準法により、午後22時~午前5時までの間に勤務した人には、通常の25%以上の賃金の支払いが定められています。
したがって、特養や老健など、24時間体制で利用者を見守る必要がある入居型の介護施設で夜勤をした介護士には、「夜勤手当」が支給されます。
体力に自信のある方や、夜間勤務が可能な方は、夜勤の回数を増やすことは可能か、上司に相談してみるとよいでしょう。
また、デイサービスなど、夜勤のない介護施設に勤務している方は夜勤バイトや、夜勤のある施設への転職を検討してみてもよいかもしれません。
勤続年数を増やす
介護業界では、基本的に、勤続年数が増えるごとに給料がアップしていきます。
特に不満がない場合には、現在の職場で勤続年数を増やすとよいでしょう。
条件のよい施設へ転職する
現在の職場での年収アップが見込めない場合には、条件のよい施設へ転職するのもよいでしょう。
転職の際には、介護福祉士の資格を取得しておくことをおすすめします。
介護福祉士は、介護業界唯一の国家資格で、介護に関する専門的な知識と技術を有している証となるため、転職の際にも非常に優遇されます。
転職先を探す際には、以下の3点に留意するとよいでしょう。
- 事業所の規模の確認
- 処遇改善加算取得の有無の確認
- 給与や賞与の比較
転職時の留意点の具体的な内容に関しては、以下の記事を参照ください。
上位資格の取得やキャリアアップで介護士として年収アップを目指そう
介護士として年収アップを目指すのであれば、上位資格の取得は必須です。
介護業界唯一の国家資格である介護福祉士を取得し、より条件のよい施設へ転職、キャリアアップをして、年収アップを目指しましょう。
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