60歳を過ぎてからでも介護の仕事をしたいと考えたときに「年齢で断られないだろうか」「実際に何歳まで働けるのか」と悩むこともあるでしょう。
結論から言うと、60歳を過ぎてからでも、介護職として充分働けます。
本記事では、60歳以上の方に介護職がおすすめの理由や、働く際のポイントについて解説します。
この記事でわかること
- 60歳を過ぎてから介護職として働くことはできるのか
- 60歳以上の方が介護職として働くときのポイント
こんな人におすすめの記事です
- 介護職として働きたい60歳以上の方
- 介護職の年齢に関する現状が知りたい方
60歳を過ぎたら介護職では働けない?
60歳を過ぎたら介護職では働けないと考えている方もいるかもしれません。
夜勤が体に悪いと考えることもあるでしょう。
しかし、介護職は慢性的な人手不足の状態にあるため、年齢にこだわらずに求人募集をかけている事業所が多いです。
また、正規職員の定年を60〜65歳と定めている事業所が一般的ですが、定年後も再雇用しているケースも多くあります。
定年退職した後に転職して介護職になったり、利用者よりも年齢が高い介護職もいたりするので「60歳を過ぎたから」と諦める必要はありません。
60歳以上の介護職は実際にどれくらいいる?
介護労働安定センターが行っている「令和4年度 介護労働実態調査」を参考に、60歳以上の介護職が実際にどれくらいいるのかを数字で見てみましょう。
60歳以上の介護職の割合
この調査は、介護職の年齢層を5歳ごとに区切って調査しています。
介護職の年齢層で、最も多いのは45歳以上50歳未満で全体の15.1%でした。
これを60歳以上の割合でみると、全体の16.5%にのぼります。
単純計算で、6人に1人は60歳以上の介護職という計算です。
男女別でみると、60歳以上の男性の割合は全体の8.9%、女性は19.8%です。
女性の場合は、4人に1人が60歳以上の介護職になります。
70歳以上の介護職もいる
介護職は年齢制限のない仕事です。
体力や健康面の問題がなければ、70歳を超えて働いている人もいます。
本調査では、全体の2.7%が70歳以上の介護職という結果でした。
男女別で見ると、男性は1.6%、女性は3.2%です。
さすがに若い介護職と同じようなシフトに入っての勤務は難しいことが多いですが、掃除や利用者さんとの話し相手、介助量の多くない方の対応など、70歳を超えても活躍できる場はたくさんあります。
約7割の事業所が65歳以上の方を雇用
全体の約7割にあたる69.1%の事業所が、65歳以上の労働者が「いる」と答えています。
この数字には看護師やリハビリスタッフなど、介護職以外の職種も含まれていますが、介護事業所が年齢に関係なく働けることを示しているでしょう。
職種ごとにみると、訪問介護員が26.3%と最も多く、看護師が14.2%、介護支援専門員が12.3%と続いています。
約7割の事業者が65歳以上の方を雇用しているので、介護職は定年後に長く働きたい方の
選択肢の1つと言えます。
60歳以上の方に介護職がおすすめな5つの理由
介護の仕事は無資格未経験でも始められるので、60歳を過ぎてからでも働けます。(※)
60歳以上の方に介護職がおすすめな理由を以下の5つにまとめています。
- これまでの人生経験が役に立つ
- 子育て世代のフォローができる
- 介護に関する知識や技術が身につく
- スキル・キャリアアップが目指せる
- 就職先の選択肢が多い
1つずつ解説します。
※2024年4月より介護に直接携わる介護士で無資格の方は、入職から1年以内の認知症介護基礎研修受講が義務付けられています。
※身体介護に携わるか否かは関係なく、全サービスで働く介護士が対象です。
これまでの人生経験が役に立つ
介護の仕事は、利用者や一緒に働くスタッフと信頼関係を築くことが大切です。
60歳以上の方は若い世代よりも利用者との年齢が近く、共通の話題も多いので、信頼関係を築きやすいです。
また、これまでに身につけた社会的なマナーは介護職が未経験でも活用できます。
同僚や他職種など一緒に働くスタッフとの連携もうまく取れるでしょう。
子育て世代のフォローができる
介護現場では、育児と仕事を両立させながら時短で働く女性も多くいます。
祝日や、運動会や学芸会のような学校行事があるときは働けない場合もあるでしょう。
また、家庭の事情で働けない曜日や時間がある介護職もいます。
60歳以上になると時間に余裕がうまれるので、働けないスタッフをフォローすることで感謝されることも多いです。
若いスタッフが働けない時間に働けるのがシニア世代のメリットです。
介護に関する知識や技術が身につく
介護に関する知識や技術が身につくことも、60歳以上の方に介護職をおすすめする理由の1つです。
実際に働いて業務を覚えることで、介護に関する知識や技術が身につきます。
近年では、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」も多い時代なので、自分の家族や親族の介護をする際にも役立ちます。
他にも、家族の介護施設を探すときや、知人が家族の介護に悩んでいるときなどに、自分の経験をもとに判断やアドバイスができるようになるでしょう。
スキル・キャリアアップも目指せる
介護職は人相手の仕事なので、関わる際に注意しなければならない点が利用者によって異なります。
そのため、たとえシニア世代であっても、入職時は新人として扱ってもらえるので、仕事をしながらスキルアップを目指せます。
また、介護関連の資格には、取得するのに年齢制限がないので、キャリアアップも目指せるでしょう。
介護福祉士の取得方法については、以下の記事を参照ください。
無資格で介護の仕事をするなら、初任者研修から取得するのがおすすめです。
就職先の選択肢が多い
就職先の選択肢が多いことも、介護職がおすすめの理由です。
それは、介護施設は多くあり、今後も増えることが予想されるからです。
日本の高齢化率は、2021年9月15日現在で29.1%を超え「超高齢社会」といえます。
高齢化はさらに進むと考えられているので、今後も介護職の需要は増えるでしょう。
60歳以上の方が介護職として働くときの4つのポイント
60歳以上の方が介護職として働くときには注意点もあります。
以下で4つのポイントを解説します。
新しい職場に慣れる努力をする
新しい職場で働き始めるときは、新しい職場に慣れる努力をしましょう。
これまでの経歴がどんなに素晴らしくても、職場が違えばルールが異なります。
また、介護離職を防止するために、介護ロボットやICTの活用を進めている事業所が増えているので、機器の操作も覚えなくてはなりません。
苦手意識を持たず、業務を覚えるために、努力する姿勢が大切です。
年齢による上下関係にとらわれない
新しい職場で働くときは、年齢による上下関係にとらわれないことも大切です。
60歳から介護職を始める場合、年下から業務を教わる可能性が高いでしょう。
特に介護職の場合、役職者が30代のこともあります。
相手が年下だからといって横柄な態度をとっていると、その職場に馴染むことはできません。
お互いをリスペクトし、年下から教わることに抵抗を持たないよう注意しましょう。
利用者や職員と積極的にコミュニケーションをとる
介護職は他職種と連携しながら仕事をするので、スタッフ間でコミュニケーションをとれるようにしておくことが大切です。
何かわからないことがあるときでも、コミュニケーションがとれていればすぐに相談できます。
また、利用者に対しても、信頼関係を築くことでスムーズに援助できるようになります。
円滑に業務を進めるためにも、利用者や職員と積極的にコミュニケーションをとりましょう。
無理をしない
60歳以上の方が介護職として働くときは、決して無理をしないようにしましょう。
介護職は身体的負担が大きい仕事です。
新しい職場で認めてもらいたいという気持ちから無理をしてしまうこともあるでしょう。
ですが、若いころと比べて疲労回復に時間がかかります。
怪我をしては働けなくなってしまうこともあるので、身体介護をする際は、ボディメカニクスを活用しながら、無理をしないことが大切です。
60歳以上の方におすすめの介護職
介護職は、働く場所やサービス種別によって業務内容が大きく異なります。
訪問介護なら自宅で個別の介護を行い、特別養護老人ホームや介護老人保健施設のような施設なら、より多くの利用者の介助を行います。
60歳以上の方には、デイサービスやデイケアなどの日中の仕事がおすすめです。
夜勤がなければ身体的な負担が少なくてすむでしょう。
その他にも、送迎ドライバーや介護助手といった職種もあり、逆に夜勤専従を選択する人もいます。
介護に関連する職種についての詳しい説明は、以下の記事を参照してください。
60歳以上でも介護職でセカンドキャリアを目指そう
介護職に年齢制限はありません。
多くの事業所で60歳以上の介護職を雇用しており、70歳以上の介護職も活躍しています。
定年後のセカンドキャリアとして介護職は充分選択肢になるでしょう。
自分で介護職の求人を探すのが心配な方はプロに任せるのも1つの方法です。
カイゴLINKなら、4万件以上の求人の中から、専門家であるエージェントがあなたに合った求人を提案してくれます。
年齢で諦めるのはやめ、長く働ける介護職にチャレンジしましょう。