介護業界への転職を検討している方の中には、「ケアワーカー」という言葉で求人を探し、ヒットせずに悩んだ方もいるのではないでしょうか。
実は「ケアワーカー」という職種は存在しません。
この記事では「ケアワーカー」とは何か、似ている職種との違いや仕事内容などについて解説していきます。
ケアワーカーにおすすめの資格についても紹介していますので、自身に必要な資格は何かを確認していきましょう。
- ケアワーカーの概要
- ケアワーカーとして働く際におすすめの資格
- ケアワーカーに必要な資格を知りたい方
- ケアワーカーとして働きたい方
ケアワーカーとは?
ケアワーカーとは、介護の仕事に携わっている人のことです。
ただし、ケアワーカーに明確な線引きはなく、介護福祉士のみをケアワーカーとしている場合もあります。
ここでは、「ケアワーカー=介護の仕事に携わる人」とし、間違えやすい職業との違いを説明していきます。
ケアワーカーの年収と職場
ケアワーカーとして働く際、どのような職場で働くことが一般的なのでしょうか。
ここからは、ケアワーカーの給与事情と職場環境及び働き方をご紹介します。
ケアワーカーの給与事情
厚生労働省が発表した「令和5年度介護労働実態調査」によると、介護労働者の平均月給は 241,296 円でした。
性別別でみると、男性は 261,885 円、女性は 233,105 円であり、男性が女性よりも約 30,000 円ほど高い傾向です。
また、年齢層別では「45~49 歳」の 248,187 円がピークで、それ以降は年齢を重ねるごとに給与は減る傾向です。
求人案内と転職市場の状況
ケアワーカーの求人媒体は、無資格可のものと資格必須のものがあります。
資格があれば応募できる求人の選択肢が増えるものの、資格がない場合に応募できる求人は限定的です。
とはいえ、高齢化が進む日本では介護職が重宝されていて、需要は増加傾向です。今後もさらに増加が予想され、ケアワーカーの需要増加も期待されます。
そのため、資格を取得していれば転職は比較的容易にできます。
もちろん、需要の高さから無資格でも働ける求人は少なくありません。無資格でも転職を諦める必要はありません。
職場環境と働き方
ケアワーカーの働く場所は、主に介護施設です。介護施設と一言でいっても、居住型かデイサービスかによって夜勤の有無や働く時間帯が変わります。
例えば、居住型は24時間介護サービスが必要になるため、夜勤が発生する可能性もあります。一方、デイサービスで働く時間は利用者が施設を利用する日中が主です。
また、訪問介護の場合は利用者の自宅を訪問して介護サービスを提供します。買い出しが困難な場合は、必要なものを買いに行く業務も発生します。
細かな業務内容や勤務時間は職場によってさまざまです。どのような業務に携わりたいのか、どの時間帯で働きたいのかを明確にして、希望に合う求人を見つけましょう。
ケアワーカーの実務経験
ここからは、ケアワーカーに実務経験が必要な理由や経験を活かす方法についてご紹介します。
実務経験が必要な理由
ケアワーカーとしてキャリアアップを目指す際、役立つ資格として介護福祉士があります。
介護福祉士は介護職唯一の国家資格であり、取得することで携われる業務が増えることや、給与が上がるなど多くのメリットがあります。
ケアワーカーとして実務経験が必要な理由は、介護福祉士の受験要項の一つとして3年以上の実務経験が求められるためです。
実務経験以外にも受験資格を満たす方法として、養成施設や福祉系高校を卒業する方法もあります。しかし、すでに社会人として働いている場合は、ケアワーカーとして実務経験を積むルートが一般的です。
未経験者のための研修制度
未経験者が介護職に就きたい場合は研修制度の活用がおすすめです。
介護に関する基礎知識を得られる方法として、介護職員初任者研修が挙げられます。介護職員初任者研修は、介護職員としての心構えや介護の基礎知識の習得を証明する資格です。
取得にあたって必要な資格や経験はなく、誰でも受けられます。未経験でケアワーカーとして働きたい場合は、介護職員初任者研修の受講がおすすめです。
また、介護福祉士実務者研修は介護福祉士を受験資格する際の資格のひとつでもあります。
ケアワーカーとしての経験を活かす
ケアワーカーとしての経験は、転職時の武器となることや、自身のスキルアップとしても活用できたりします。
例えば、親や家族の介護が必要になった際も、ケアワーカーとしての経験は活用可能です。
信頼できる家族に介護してもらえる安心感や、介護を依頼しなくてよいため費用負担を軽減できることなど、自分が専門知識をもって家族の介護にあたれることには多くのメリットがあります。
介護福祉士との違い
ケアワーカーと介護福祉士の1番の違いは、資格の有無になります。
介護福祉士とは、社会福祉士及び介護福祉士法に定められた、介護業界唯一の国家資格で、介護に関する専門的な知識と技術を習得していることを証明する資格になります。
ケアワーカーは、無資格者でも、介護に携わる仕事をしている人全員のことを指しますが、介護福祉士は、介護福祉士の資格を有している人のみを指します。
介護福祉士もケアワーカーに含まれ、基本的な仕事の内容は変わりがありません。
ただし、介護福祉士の場合は、役職についたり、リーダー的役割を任されたりすることがあるでしょう。
介護福祉士に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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ヘルパーとの違い
ケアワーカーとヘルパーの違いも、資格の有無になります。
ヘルパーとは、介護保険法に基づいて、訪問介護を提供する人のことです。
ヘルパーもケアワーカーに含まれますが、ヘルパーとして働くためには、初任者研修(旧ヘルパー2級)以上の資格が必要です。
前項で、ケアワーカーと介護福祉士の違いは、資格の有無であると説明しました。
しかし、介護福祉士は現場の責任者として指示を出す役割を担いますが、ヘルパーは、介護福祉士から指示を受ける立場にあります。
同じ有資格者であっても、介護福祉士とヘルパーには明確な違いがあるため、知っておきましょう。
ヘルパーに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
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看護助手との違い
看護助手とは、病院やクリニックといった医療施設で働く介護士のことをいいます。
看護助手のメイン業務は、医師や看護師のサポートになるため、看護助手が主体的になって動くことは少ないです。
一方、施設に勤務している介護士の場合、医療施設とは異なり、医師や看護師が常駐しているわけではないため、介護士が主体になって動くのが基本になります。
また、看護助手は、施設介護士と比較すると、身体介護を行う機会が少ないのも特徴です。
看護助手は、資格がなくてもなれるケアワーカーのひとつです。
看護助手については、以下の記事で詳しく解説しています。
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ソーシャルワーカーとの違い
ソーシャルワーカーとは、他職種と連携を取りながら、利用者の悩みに対する相談業務を担う職種のことです。
利用者に対して実際に介護を行うケアワーカーとは、「介護を行う人」と「相談になる人」といった違いがあります。
ソーシャルワーカーになるためには、国が定める以下の資格のいずれかを保有している必要があります。
- 精神保健福祉士
- 社会福祉士
- 社会福祉主事任用資格
ただし、ソーシャルワーカーになるための資格要件の詳細は、各自治体によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
ケアワーカーの仕事内容
ケアワーカーの仕事内容は、身体介護や生活援助、精神面のサポートなど、多岐にわたります。
身体介護とは、食事介助や排せつ介助、整容、服薬介助、体位交換などです。
残存機能を残すための見守りや声掛けも、身体介護に含まれます。
生活援助とは、掃除や洗濯、配膳など、日常生活をスムーズに送るうえで必要なサポートのことになります。
また、利用者のQOLの維持・向上のために、相談や助言を行うなど、利用者の精神面のサポートが必要になる場合もあるでしょう。
ただし、ケアワーカーの仕事内容は、施設勤務か病院勤務かによっても異なりますし、どの施設に勤務しているかによっても異なります。
ケアワーカーの詳しい仕事内容については、以下の記事で紹介しています。
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ケアワーカーの年収
ケアワーカーの種類別の月収と、月収から算出した年収は、以下の通りです。
職種 | 月収 | 年収 |
---|---|---|
無資格 | 271,260円 | 約325万5,120円 |
初任者研修 | 300,510円 | 約360万6,120円 |
実務者研修 | 307,330円 | 約368万7,960円 |
介護福祉士 | 328,720円 | 約394万4,640円 |
介護支援専門員 | 362,290円 | 約434万7,480円 |
介護関連の資格を有しているケアワーカーには、資格手当が支給されるのが一般的です。
そのため、無資格者よりも有資格者のほうが給料が高いことが上記の表からも確認できます。
介護関連の資格は、働きながらでも取得できるものが多いため、給料アップのためにも資格取得を目指すとよいでしょう。
ケアワーカーにおすすめの資格3つ
ケアワーカーとして働く際に、おすすめの資格は以下の3つになります。
- 初任者研修
- 介護福祉士
- ケアマネージャー
自身のキャリアプランを考えながら、見ていきましょう。
初任者研修
初任者研修とは、以前のヘルパー2級に相当する資格で、介護関連の資格のなかでも、もっとも取得しやすい民間資格です。
介護に関する基本的な知識と技術を学ぶことができるため、介護未経験者や無資格者におすすめです。
初任者研修は、全9科目・130時間の講義を受講後、修了試験に合格することで取得できます。
修了試験は、あくまで内容の確認が目的のため、難易度は高くありません。
初任者研修を取得すると、身体介護ができるようになり、ヘルパーとして勤務が可能になります。
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介護福祉士
介護福祉士は、スキルアップやキャリアアップはもちろん、転職の際にも有利になる資格のため、介護業界で働いていくのであれば必ず取得しておきたい資格です。
介護福祉士の国家試験を受けるためには、受験資格を得なければなりません。
受験資格を得るためには4つのルートがありますが、「実務経験ルート」または「養成施設ルート」であれば、介護士として働きながら得ることが可能です。
ただし、実務経験ルートに必要な「実務経験」の対象施設や日数には、決まりがあります。
ケアワーカーとして働いていれば、必ずしも実務経験の対象となるわけではないため、必ず事前に確認しましょう。
介護福祉士に関しては、以下の記事で詳細を解説しています。
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ケアマネージャー
ケアマネージャーとは、要支援・要介護者が、適切な介護サービスを受けるのに必要な「ケアプラン(介護サービス計画書)」を作成する人のことです。
介護支援専門員とも呼ばれています。
ケアマネジャーは、都道府県管轄の公的資格で、介護福祉士として5年以上の経験を積むことで、受験資格を得ることができます。
ケアマネジャーになるための「介護支援専門員実務研修受講試験」は、介護福祉系の資格の中でも、非常に難易度の高い資格です。
しかし、その分、キャリアアップや給料アップを目指せますし、転職の際にも有利になります。
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ケアワーカーとして働くための資格取得
資格なしでもできる?
ケアワーカーとは、介護の仕事に携わる人の総称で、資格の有無は関係ありません。
しかし、資格を有していれば、仕事の幅も広がりますし、給料アップにもつながります。
さらに、転職する際にも有利になるため、より待遇のよいところで働けるでしょう。
ケアワーカーとして働きたい場合には、3万件以上の求人があるカイゴLINKで求人を探すのがおすすめです。
自身に合った施設を見つけ、ケアワーカーとしてのキャリアアップを目指しましょう。
必要な資格やスキルの取得方法
必ずしも必要ではないものの、介護職の初歩的な資格である介護職員初任者研修は取得しましょう。
介護職員初任者研修は、介護の基礎を学べる資格です。受講要件はなく、介護の経験がなくても受講できます。
取得することで、無資格不可の求人にも応募できたり、資格手当がある職場では給与が上がったりなどのメリットがあります。
経験を積んだら、実務者研修や介護福祉士などの上位資格の取得もおすすめです。上位資格を取得することで、知識が深められるだけでなくキャリアアップができます。
メディカルケアワーカーとは
「医療福祉情報実務能力協会」が認定する民間資格です。
看護助手業務では初の民間資格であり、取得することで看護助手職に必要なスキルがあることを証明できます。「ケアワーカー」と名づけられていますが、看護に関する業務に携わります。
資格は1級と2級に分けられており、1級は2級所有者のみ受験可能です。そのため、メディカルケアワーカーの資格を取得したい場合、2級の取得から行います。
メディカルケアワーカーを取得することで、介護施設だけではなく医療機関での勤務も可能です。キャリアアップを目指す場合や、医療機関での勤務を希望する場合は取得を目指しましょう。
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