高齢化が進む日本では、介護を必要とする高齢者が増えています。
家族だけでの対応が難しい高齢者介護において必要なものは、プロの介護士のサービスやサポートです。
今回は、介護士になる方法や求められる資格をご紹介します。
- 介護士になる方法
- 介護士に必要な資格とは
- 介護士に必要な資格を取得する方法
- 介護士に興味がある
- 介護士になりたい
- 介護士のお給料や報酬が気になる
- 介護士のお仕事内容が気になる
介護士とは?
介護士とは、体が不自由な高齢者の身の回りのお世話や日常生活における動作のサポートなど、介護に関する仕事をする人の総称です。
「介護士」自体は資格の名称ではなく、「介護職員」や「介護スタッフ」と呼ばれることもあります。
介護士と介護福祉士は混同されることがあります。介護士は、資格を取得しなくとも就業が可能です。
一方、介護職の資格を取得すると「介護福祉士」として活動できます。
介護士になるには?
介護士には、前述の通り資格の有無は問われませんが、資格の有無で働き方に違いが出ます。
ここからは、その違いについて解説します。
資格を持たずに介護事業所の職員として働く
介護事業者の求人には、「未経験可」「無資格可」の案件があります。
未経験や無資格でも働ける職場に入社することで、資格がなくても介護士としての活動を始められます。
ただし、入社後に業務や資格に関する研修を受ける必要があるため、事前の確認が大切です。
また、介護系資格を保有しないままでは、食事や入浴など、利用者の身体に触れる「身体介護業務」を1人ではできず、生活や介護の補助などの業務もできません。
幅広く業務に携わりたい人には、資格の取得をおすすめします。
資格を取得して介護事業所の職員として働く
介護に関連する資格を取得し、有資格者として介護事業所の職員になる方法もあります。
資格をあらかじめ取得しておくことで、専門知識や技術を持った介護士として働けます。
資格を持たずに働くときと比べて、携われる業務の範囲や求人の幅が広がるため、条件に合った職場の検索が容易になります。
ただし、資格を持っていても未経験であれば、「未経験可」の求人から選びましょう。
介護士の資格は?
介護士は、資格がなくても働けますが、資格を取得しておくことで多くのメリットがあります。
ここからは、介護士に関する資格をいくつかご紹介します。
それぞれで証明できるスキルや受験要項が異なるため、資格取得の参考にしてください。
介護職員初任者研修
介護のスタート資格と言われる資格で、介護理念や基礎技術など介護の基礎から応用までを学べます。
介護職員初任者研修を取得することで、単独での身体介護が可能になります。また、訪問介護の案件にも応募が可能です。
2024年4月から、無資格者が介護事業所で働くためには「認知症介護基礎研修」の修了が義務化されました。
認知症介護基礎研修とは、認知症のケアに特化した基礎知識やスキルの習得を証明する資格です。
幅広い内容を網羅する介護職員初任者研修には、認知症介護基礎研修の内容も含まれるため、介護職員初任者研修を取得することで、認知症介護基礎研修の修了義務は免除されます。
介護福祉士実務者研修
「介護職員初任者研修」の上位資格として位置づけられる資格です。
取得することで、さらに専門的な知識や技術を習得していることが証明できます。
介護福祉士実務者研修を修了すると、身体介護に加えて訪問介護の計画立案や実施、管理などを担う「サービス提供責任者」になれます。
将来のキャリアアップを視野に入れている人や、介護福祉士になりたい人には、おすすめの資格です。
ケアマネジャー(介護支援専門員)
ケアマネジャーとは、ケアプランを作成して利用者が適切にサービスを受けられるようサポートする職です。
利用者の悩みや受けたいサービスなどをヒアリングして、介護保険サービスに必要なケアプランの作成や介護施設入所者の介護計画を立案し、一人ひとりに適した介護サービスを提供する仕事です。
ケアマネジャーとなるためには、一定の実務経験の後に「介護支援専門員実務研修受講試験資格」を取得する必要があります。
介護業務以外に、介護サービス提供のサポートをしたいのであれば、ケアマネジャーの取得を目指しましょう。
介護福祉士
介護に関連する資格の中で、唯一の国家資格です。取得することで、専門性の高い知識やスキルを有していることが証明できます。
就職や転職活動でも有利になり、他の介護士を束ねるリーダーとしての業務や、利用者とその家族へアドバイスなどを任される可能性もあります。介護士として、より幅広い業務に携わりたい人におすすめです。
ただし、資格取得の対象者は、指定の養成施設を卒業し、実務経験が3年以上ある人です。
介護福祉士になるには?
介護士として幅広く活躍するためには、介護福祉士の資格取得がおすすめです。
しかし、介護福祉士の資格を取るためには、一定の条件を満たす必要があります。
ここからは、介護福祉士になる方法を解説します。
実績を積む
介護福祉士の受験には、介護施設や訪問介護事業所などで3年(従事日数540日)以上働いた実績が必要です。求められる期間の実績を積みながら、「介護福祉士実務者研修」を修了することで、受験資格を得られます。
雇用形態に指定はなく、パートやアルバイトで働いた実務日数も含められます。仕事と勉強の両立は大変ですが、介護士として働きながら介護福祉士にキャリアアップしたい方向けの方法です。
福祉養成施設に通う
指定の福祉養成施設に通って受験するという方法もあります。
福祉養成施設とは、大学や短期大学、専門学校など、厚生労働大臣が指定する学校のことです。
入学資格は「高等学校卒業以上かそれに準ずる者」であるため、高等学校を卒業しているか高等学校卒業資格を持つ人であれば入学できます。
福祉養成施設に通うと、卒業後に介護福祉士国家試験を受験できます。実務経験がなくとも受験できることは利点ですが、学習に費用がかかる点はデメリットです。
福祉系高校に通う
福祉系の高校を卒業することで、国家試験の受験資格が得られます。実技試験は免除され、筆記試験のみで受験ができます。この方法であれば最終学歴が中学卒業の方でも高卒資格とともに資格取得へのチャレンジが可能です。
介護の役に立つその他の資格は?
ここまで、介護士の資格や介護福祉士になる方法をご紹介してきました。しかし、介護職に役立つ資格は他にも複数あります。ここからは、介護に役立つその他の資格と、それぞれの内容をご紹介します。
レクリエーション介護士
多くの介護施設では、利用者向けにレクリエーションを実施します。レクリエーションを実施する施設への入社に役立つ資格として、「レクリエーション介護士」があります。
レクリエーション介護士とは、利用者が楽しめるレクリエーションを企画、及び実施できる介護人材の育成を目的とした資格です。レクリエーションの企画や実行は、高齢者のQOL向上、身体能力・健康の維持に貢献できるため、やりがいを感じやすい仕事です。
2級から1級、マスターの受験によって、ステップアップできます。
移動介護従事者(ガイドヘルパー)
視覚障害や知的障害のある人など、1人での外出が困難な方の移動を介助するための資格で、移動支援従事者やガイドヘルパーとも呼ばれます。
移動支援従業者養成研修には、「視覚障害」「全身性障害」「知的・精神障害」の3種類を対象とするものがあり、都道府県または市町村が指定した通学講座での養成研修を受ける必要があります。
2006年10月より、外出介護サービスが市町村の実施する地域生活支援事業となったことで、受験要項が各市区町村の判断になりました。
喀痰吸引等研修
2012年4月の法改正により作られた、「たん吸引」や「経管栄養」ができる介護人材の養成を目的とした研修です。取得することで、医師や看護師の監督のもと、「喀痰吸引」や「経管栄養」といった医療行為ができるようになります。
研修には第1号・第2号・第3号研修があり、それぞれ対象者や履修科目・履修時間、可能となる実務内容が異なります。基本的に受験条件はないため、どのような業務に携わりたいのかによって取得する種類を決めましょう。
認知症ケア専門士
認知症ケアに関する専門知識と、適切なケアのスキルがあることを証明する資格です。資格取得を通して認知症に対する理解を深め、適切なケアができるようになります。
認知症の利用者との良好な関係作りに役立つため、認知症に対してさらに理解を深めたい人や、認知症の人の介護に深く携わりたい人におすすめです。
受験するためには、認知症ケアに関する施設において過去10年間で3年以上の実務経験が必要です。
参考:認知症ケア専門士
まとめ
今回詳しく解説した通り、介護士は必ずしも資格が必要な職種ではありません。
しかし、資格を取得することで携われる業務や求人の幅が広がります。介護士に関する資格は複数あるため、どのような業務に携わりたいのかを明確にして、最適な資格の取得を目指すことが大切でしょう。
介護士としてのキャリアについてまずはお気軽に当社エージェントまでご相談くださいませ。適切なアドバイスで、ご希望の就業先への就職、働き方の実現をお手伝いします。
キャリアアップやより高いスキル・知識を身につけたい場合には、上位資格や介護福祉士の資格取得がおすすめです。経験を積んだり、指定の養成施設で学習したりして、介護士としてのスキルを磨きましょう。