特別養護老人ホームの仕事内容とは?実体験をもとに働くメリット・デメリットを解説

特別養護老人ホームの仕事内容とは?実体験をもとに働くメリット・デメリットを解説

特別養護老人ホームへの転職を考えている方は、仕事内容や1日のスケジュールなどについて気になるでしょう。

実際に働いたことがない方は、仕事のイメージがつきにくいかもしれません。

この記事では、特別養護老人ホームの仕事内容についてわかりやすく解説します。

また、実体験をもとにメリットやデメリットについてお伝えします。

記事を読むことで仕事内容が理解でき、安心して転職活動に臨めるでしょう。

この記事でわかること

  • 特別養護老人ホームの仕事内容
  • 特別養護老人ホームで働くメリット・デメリット

こんな人におすすめの記事です

  • 特別養護老人ホームへの転職を考えている方
  • 特別養護老人ホームの仕事内容が知りたい方
目次

特別養護老人ホームとは?種類と特徴

特別養護老人ホームは、要介護度3以上の高齢者が入所できる介護保険施設で、「特養」と略して言われることが多いです。

24時間365日を通して、入所者の生活のサポートをします。

特養の種類

特養には、「広域型特養」「地域密着型特養」「地域サポート型特養」の3種類があります。

広域型特養は、定員が30名以上で、入所に関する居住地の制限がなく広域から受け入れが可能な施設です。

地域密着型特養は、定員が29名以下であり、かつ施設の住所と同一市町村に住所がある方が入所可能な施設です。

地域密着型特養は、「サテライト型」と「単独型」に分かれています。

サテライト型は、特養や老健、病院や診療所などの本体施設があり違う場所で運営されている施設です。

それに対して、単独型は、本体施設がなく単独で運営している施設です。

地域サポート型特養は、生活に不安のある高齢者ができる限り在宅生活を継続できるようにサポートする施設で、生活相談員が24時間通して見守り・相談援助のサポートをします。

このように特養は、介護が必要な高齢者が安心して生活できるように、定員や対象者、サービス内容などにより3つの種類に分かれているのです。

居室の種類

特養の居室には、大きく「従来型特養」と「ユニット型特養」の2種類に分かれます。

従来型特養は、「多床室」と「従来型個室」があります。

個室は1人部屋に対して、多床室は2〜4人部屋で構成されていることが多いです。

ユニット型特養は、「ユニット型個室」と「ユニット型個室的多床室」があります。

特徴として、1ユニット10名以下で構成され、家庭的な雰囲気の施設です。

ユニット型個室は、1人1部屋の完全に区切られた部屋であり、ユニット型個室的多床室は、4人部屋を壁や仕切りで分けた個室に近い部屋です。

勤務時間・シフト

特養の勤務形態は早番、日勤、遅番、夜勤などのシフト制になっています。

「2交替制」「3交替制」により勤務時間やシフトが異なるため、それぞれ解説します。

2交替制 3交替制
早番 7:00〜16:00 7:00〜16:00
日勤 9:00〜18:00 9:00〜18:00
遅番 10:00〜19:00 10:00〜19:00
準夜勤 - 14:00〜23:00
夜勤 16:00〜翌日10:00 22:00〜翌日7:00

2交替制の特徴は、夜勤が18時間(休憩含み)と長時間の勤務になります。

長時間の夜勤は、負担がかかりますが、夜勤明けの次の日が休みになることも多く時間を有効活用できるメリットがあるでしょう。

3交替制の特徴は、夜勤の時間が短く、準夜勤があることです。

夜勤が短いため、負担は少なくすみますが、夜勤明けが休み扱いとなるため、休みが短く感じるデメリットがあります。

特別養護老人ホームの仕事内容と1日の流れ

特養の一般的な1日のスケジュールは以下の通りです。

日勤と夜勤についてそれぞれ解説します。

【日勤】

時間 仕事内容
9:00〜 出勤、申し送り
10:00〜 入浴介助
12:00〜 昼食介助
13:00〜 排泄介助
14:00〜 体操、レクリエーション
15:00〜 おやつ介助
16:00〜 排泄介助
17:30〜 夕食介助
18:00 退勤

【夜勤】

時間 仕事内容
16:00 出勤、申し送り
17:30〜 夕食介助
19:00〜 就寝介助、排泄介助
21:00〜 定期巡回
0:00〜 定期巡回、排泄介助
3:00〜 定期巡回、排泄介助
6:00〜 起床介助、排泄介助
7:30〜 朝食介助
9:00〜 排泄介助
9:30〜 申し送り
10:00〜 退勤

特養は、重度の要介護者が多く入所しているため、食事や排泄、入浴など身体介護が中心となり、その他に健康管理や機能訓練など24時間通して入所者の生活をサポートします。

以下でそれぞれの仕事内容について解説します。

食事介助

自力摂取ができない方の介助を行います。

嚥下機能の低下により誤嚥やつまりのリスクが高い方もいます。

食事の姿勢やペースなどに気をつけながら介助しましょう。

排泄介助

トイレの声かけや移動介助、おむつ交換などの排泄介助を行います。

残存機能を活かし、その方に合った排泄方法で介助することが望ましいです。

また、不快な思いをさせないためにもプライバシーにしっかり配慮しましょう。

入浴介助

身体機能に合わせた入浴形態で安全に入浴の介助を行います。

特養では、重度の方にも対応できるように寝台浴やチェアー浴などの特殊浴槽での入浴介助が多いです。

入浴中は滑りやすく、事故につながりやすいため、転倒・転落などに注意しましょう。

機能訓練

特養でのリハビリは、生活リハビリが中心です。

生活リハビリとは、生活動作を訓練することで生活機能の回復・改善を目指すリハビリの一種です。

施設によっては、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職と連携を図り、リハビリを提供するところもあります。

レクリエーション

クイズや風船バレーなど、体や頭を使い楽しみながらできるレクリエーションを提供します。

レクリエーションは、余暇活動以外にもリハビリの目的も含まれています。

健康管理

バイタル、食事摂取量、皮膚トラブルの有無など入所者の状態を確認します。

普段の様子との違いにいち早く気づき、必要に応じて医師や看護師に報告する役割があります。

看取り介護

特養は、「終の棲家」として、看取り介護を行うこともあります。

看取り介護とは、医師や看護師などの医療専門職と連携を図り、できる限り苦痛を取り除き、本人らしい生活が送れるように最期まで支援することです。

お酒が好きな方はお酒を嗜んだり、歌が好きな方は部屋で音楽を聴いたり、本人の望む暮らしができるようサポートします。

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特別養護老人ホームの給料

令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果によると特養の平均給料は、345,590円です。

施設別で比較しても、特養の平均給料が1番高い結果となっています。

施設種別 平均給料
特別養護老人ホーム 345,590円
介護老人保健施設 338,390円
デイサービス 314,590円
訪問介護 278,180円
グループホーム 291,460円
介護療養型医療施設 287,070円
有料老人ホーム 319,760円

引用:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果

特別養護老人ホームの給料について詳しくは以下の記事をご覧ください。

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特別養護老人ホームで働くメリット3つ

特養で働くメリットは主に以下の3つです。

  • 高い収入が得られる
  • 高いスキルが身に付く
  • スキルアップにつながる

以下で詳しく解説します。

高い収入が得られる

前述した通り、特養の平均給料は、他の介護施設と比べても高いです。

さらに給料を上げるためには、介護福祉士や介護支援専門員などの上級資格を取得することがおすすめです。

資格別の平均給料について、以下の表を参考に解説します。

保有資格 平均給料
介護支援専門員 410,230円
社会福祉士 378,110円
介護福祉士 356,310円
介護職員初任者研修 332,580円
保有資格なし 293,060円

引用:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果

「保有資格なし」と「介護支援専門員」の平均給料を比較すると約11万円もの違いがあるのです。

資格取得し、キャリアアップすることで高い給料を得られるでしょう。

特別養護老人ホームの給料について詳しくは以下の記事をご覧ください。

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高いスキルが身に付く

特養ではおむつ交換や移乗などの介護をする機会が多く、身体介護のスキルを習得しやすいです。

他にも認知症の対応スキルや急変時の対応など、さまざまなスキルを身に付けることができるでしょう。

キャリアアップにつながる

現場経験を積むことで、介護福祉士や介護支援専門員などの上級資格の取得にチャレンジできます。

また、特養で働くことで他の施設でも通用するスキルが身に付き、そのスキルは介護リーダーや管理者になった時に活かせるでしょう。

特別養護老人ホームで働くデメリット3つ

特別養護老人ホームで働くデメリット3つ

特養で働くデメリットは主に以下の3つです。

  • 体力的にきつい
  • 生活リズムが不規則になる
  • 入所者とのコミュニケーションが難しい

以下で詳しく解説します。

体力的にきつい

特養は、身体介護の頻度も多く、夜勤もあるため体力的にきつい一面があります。

疲労が溜まると腰を痛めたりするリスクも高くなるため、注意しましょう。

特別養護老人ホームのきついところについては、詳しくは以下の記事をご覧ください。

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生活リズムが不規則になる

特養では勤務がシフト制になっており、生活リズムが不規則になりがちです。

生活リズムの乱れは、体調不良や集中力の低下につながります。

できるだけ同じ時間に起床・就寝したり、夜勤明けは夜しっかり眠れるように寝過ぎないなど、自分に合った方法で生活リズムを崩さない工夫をするとよいでしょう。

入所者とのコミュニケーションが難しい

特養には認知症や失語症により、上手にコミュニケーションが取れない方も多いです。

思うように意思疎通が取れないと、ストレスを感じるかもしれません。

病気や障害の特性を理解し、その方に合った方法でコミュニケーションを図ることが大切です。

仕事内容を理解して特別養護老人ホームで活躍しよう!

特養は要介護3以上の高齢者に、24時間通して日常生活のサポートをします。

仕事内容は、食事や排泄、入浴などの身体介護や機能訓練、健康管理など多岐にわたります。

勤務形態はシフト制のため、生活リズムが不規則になり、体力的にきつく感じることもあるかもしれません。

その反面、高い収入が得られたり、介護士としてスキルアップやキャリアアップが期待できたりするなど、やりがいも多い仕事です。

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監修者

【保有資格】
・社会福祉士

【経歴】
・医療ソーシャルワーカー約5年
・介護専門のキャリアアドバイザー約4年
・株式会社SOYOKAZE(旧 株式会社ユニマットリタイアメントコミュニティ)経営企画室約4年
・株式会社SOYOKAZE Staff Company(旧 株式会社ユニマットスタッフカンパニー)取締役社長約3年

医療ソーシャルワーカー時代に都内有数の急性期病院で約5年、約1,000名の介護相談支援を行い高齢者福祉業務に従事。その後、介護専門のキャリアアドバイザーとして4年間で累計約1,000名の介護職希望者のキャリア面談を行う。
介護業界有数の施設を持つ 株式会社SOYOKAZE にて経営企画に従事したのち、株式会社SOYOKAZE Staff Company の社長に就任。

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