定年の延長や、老後2000万円問題などの将来への不安から、長く働ける仕事を探し、介護職へたどり着いた方も少なくないのではないでしょうか。
とはいえ、世間一般の介護業界に対するネガティブなイメージは根強く、本当に介護業界への転職を決めてもよいものなのか、悩んでいる方もいるでしょう。
そこでこの記事では、介護業界の現状や人手不足の理由と解決策などについて解説していきます。
介護業界の将来性についてまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- 介護業界の現状
- 介護業界の人手不足の理由と解決策
- 介護業界の今後の需要
こんな人におすすめの記事です
- 介護業界の現状や今後の需要について知りたい方
- 異業種から介護職への転職を検討している方
介護業界の現状
「令和2年度介護労働実態調査結果の概要について」によると、介護事業所全体の人材の不足感は、2018年が67.2%、2019年が65.3%、2020年が60.8%でした。
ここから、介護事業所全体の人材不足は、2年連続で改善傾向にあることがわかります。
一方で、介護業界の労働者の労働条件・仕事の負担に関する悩みは「人手が足りない」が最も多く、全体の52.0%を占めており、慢性的な人手不足が続いているのが現状です。
「令和3年版高齢社会白書(全体版)」によると、2020年10月時点での高齢化率は、28.8%で、日本の総人口は減少傾向にあるにもかかわらず、高齢化率は上がっています。
つまり、要介護(要支援)者の需要が増えているのに対し、介護者の人数が足らないことが人手不足の要因のひとつであると考えられます。
また、「令和2年度介護労働実態調査結果の概要について」によると、2020年の離職率は、2職種計(訪問介護員、介護職員)で14.9%と、2005年以降最も低い数値でした。
ただし、要介護者が増えているのにもかかわらず、採用率と離職率の大差がない、もしくは離職率が採用率を上回っているため、人材不足感は解消されません。
厚生労働省によると、2022年の介護関係職種の有効求人倍率は、3.64%で、全職業計の1.03%を大きく上回る結果でした。
介護職の有効求人倍率が全職業計を下回る、もしくは、同等になることはなく、慢性的な人手不足であることがわかります。
介護業界が人手不足の4つの理由
介護業界の人手が慢性的に不足している理由としては、以下の4つが考えられます。
- 給料が低い
- 労働環境がきつい
- 社会的評価が低い
- 介護職に対するネガティブなイメージの先行
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
給料が低い
国税庁が公表した「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は443万円でした。
一方、厚生労働省が公表した「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護士の平均給料は、約379万9,320円でした。
介護業界の中でも、上位資格に位置づけられる介護福祉士であっても、平均年収は約394万4,640円で、全体平均より低いことがわかります。
ただし、介護士の給料は、勤続年数や地域によっても差があるため、以下の記事をご参照ください。
また、介護士の給料が低い理由に関しては、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
労働環境がきつい
介護職は、他職種との連携や介護観の違いによる人間関係の悩み、身体的・精神的負担が大きいなどが理由で、労働環境がきついといわれています。
さらに、労働環境がきついにもかかわらず、給料が低いために、スタッフのモチベーションが上がらないことが、早期離職につながっていると考えられています。
社会的評価が低い
介護の仕事では、利用者一人ひとりに合わせた介護サービスを提供するための豊富な知識と、高い介護技術が求められます。
しかし、無資格・未経験でもできる仕事であることから、介護士の専門性が認められておらず、社会的評価が低いのが現状です。
そのため、給料が上がりにくく、人手不足の原因となっています。
介護職に対するネガティブなイメージの先行
一般的に介護の仕事には、「きつい、汚い、危険」の「3K」のイメージがつきまといます。
特に、排せつ介助に対する抵抗が強い方は多くおり、介護職に対するイメージは拭えません。
実際に介護職は、身体的・精神的負担が大きい仕事です。
しかし、それだけでなく、利用者やその家族に感謝の言葉を伝えてもらえたり、他職種と連携がとれた際などに大きなやりがいを感じたりできる仕事です。
また、人生の大先輩である高齢者との関わりの中から、多くのことを学べるのも魅力の一つといえるでしょう。
介護職の人手不足に対する解決策
介護業界では、以下のような取り組みを行い、慢性的な人手不足という課題の改善に努めています。
- ITシステムの導入
- 資格支援制度の導入
- ユニットケアの導入
- 政府による処遇改善
転職先を選ぶ際の参考にもなりますので、ご確認ください。
ITシステムの導入
介護職の仕事は、身体介護や生活介助だけではありません。
利用者に関する記録やレクリエーションの企画など、多岐にわたります。
慢性的な人手不足に加えて、業務の量も多く介護士の負担が非常に大きいことは、容易に想像できるでしょう。
そこで、日々の記録をタブレット対応にする、勤怠管理ツールを使うなど、ITシステムを導入することで、作業工程の大幅な削減、時間の短縮につながります。
資格支援制度の導入
介護士の仕事は無資格でもできますが、資格を取得すれば介護士としてできる業務が増えるため、スキル・キャリアアップにつながります。
また、資格手当がつくなど、給料が上がることもあるでしょう。
スキルやキャリア・給料アップは、介護スタッフのモチベーションとなり、介護の仕事を長く続けてくれるかもしれません。
そうした大きな見返りを求め、資格支援制度を導入している施設も多くなってきています。
ユニットケアの導入
ユニットケアとは、施設の利用者10名程度を1ユニットとし、ユニットのメンバーを、決まったスタッフが介護するというものです。
少ない人数の利用者を介護するユニットケアは、利用者一人ひとりに合わせた介護を提供でき、仕事にやりがいを感じやすいことが特徴です。
また、従来の集団ケアに伴う、スタッフ同士の人間関係の悩みの解消にもつながります。
政府による処遇改善
政府は、介護業界の人員不足と人材育成を課題として、賃貸改善や処遇改善に取り組んでいます。
たとえば、介護職員の賃金や処遇の改善を目的とした「介護職員処遇改善加算」や、介護職員の人材確保を目的とした「介護職員等特定処遇改善加算」です。
介護士の今後の最新給料予想に関しては、以下の記事をあわせてご確認ください。
そのほかにも、外国人介護人材の採用や、介護ロボットの導入なども進めており、介護職員の負担は今後軽減されることが期待されるでしょう。
介護業界に将来性はある?
結論から述べると、要介護者の人数は今後も増加傾向にあるため、介護業界の将来性は非常に高いといえるでしょう。
日本では急速な少子高齢化が進んでいることで、団塊の世代が75歳となる「2025年問題」と、人口の約1/3が高齢者になる「2035年問題」を引き起こすといわれています。
それに伴い、経済産業省が公表したデータによると、約10年後の2035年には、要介護(要支援)認定者数が約900万人、介護士の人材不足は68万人になると推定されています。
したがって、介護士に興味のある方は未経験・無資格でも歓迎されやすく、40代からでも転職可能な場合が多いです。
また、実際の介護現場では、60歳を超えて働いている方もいます。2025年4月からは定年が65歳までに義務付けられたため、介護職の需要は今後も高まるでしょう。
さらに、国は、国民の健康寿命を延ばすために、70歳までの就労支援に取り組んでおり、今後定年が70歳までに引き延ばされる可能性もあります。
介護業界には、宿直や送迎ドライバーなど、現場以外の仕事も多くあるため、そういった面からも介護職の将来性は高いといえるでしょう。
介護業界は今後ますます需要が高まる!
団塊世代の高齢化に伴う要支援・要介護者数の増加によって、介護職員の人材不足がますます深刻になることが予想されています。
したがって、介護業界の需要は今後も高まっていくでしょう。
さらに、定年の延長や、健康寿命延伸への取り組みなどの観点からも、60代70代も働ける介護業界は非常におすすめです。
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将来を見据えて、介護業界での仕事を始めましょう。