訪問入浴は、在宅で暮らす要介護高齢者の入浴をサポートするサービスです。
個別で対応するため、利用者とじっくり関わることができます。
しかし、その反面「仕事がきつい」というイメージを持っている人もいるかもしれません。
この記事では、訪問入浴がしんどいと言われる理由、向いている人の特徴について解説します。
メリットやデメリットについてもお伝えしますので、訪問入浴の仕事内容について理解を深め、就職や転職にお役立てください。
- 訪問入浴の仕事内容やきついところ
- 訪問入浴のメリット・デメリット
- 訪問入浴に向いている人
こんな人におすすめの記事です
- 訪問入浴の仕事を検討している人
- 訪問入浴の仕事内容について詳しく知りたい人
訪問入浴とは?
訪問入浴とは、自宅での入浴が難しい要介護高齢者に対して、安全に入浴できるようにサポートする介護保険サービスです。
利用者宅に訪問し、自宅内に組み立て式の簡易浴槽を設置し、入浴していただきます。
要支援から要介護の方まで利用可能であり、寝たきり・歩行が不安定といった身体的な理由や、浴室の段差や広さなど環境的な理由から、自宅での入浴が困難な方が利用しています。
訪問入浴では1件1件訪問するため、利用者とじっくり関わる時間が持てる点が特徴です。
人員基準
訪問入浴は、基本的に介護職員2名、看護師または准看護師1名で業務を行います。
要支援の方を対象とする介護予防訪問入浴介護の場合は、介護職員1名でサービス提供が可能です。
介護職員2名のうち1名は、「オペレーター」の役割を担います。
オペレーターは、入浴介助以外にも車両の運転や浴槽の設置、機械操作など訪問入浴の業務全般を行います。
訪問入浴では、介護の資格がなくても働くことが可能です。
ただし、無資格の場合、業務内容に制限があったり、採用の条件に資格が必要だったりすることが多くあります。
介護職員初任者研修や介護福祉士などの資格を保有しているほうが、就職や転職に有利と言えるでしょう。
業務内容
訪問入浴の一般的なサービス提供時間は、1件あたり60分です。
まず、浴槽やその他の備品を準備します。
安全に入浴するために利用者のバイタルチェックを行い、異常がないことを確認してから入浴介助を行います。
入浴中は、血圧の変動が起こりやすいため常に利用者の様子に注意を向けておくことが重要です。
入浴後は、更衣介助を行い、片付けをして終了になります。
限られた時間の中で、気持ちよく入浴してもらうためには準備や片付けを手際よく行う必要があります。
1日の流れ
訪問入浴の1日の流れは、以下の通りです。
時間 | 仕事内容 |
---|---|
9:00 | 出勤、申し送り |
9:30~ | 利用者宅に訪問し、入浴介助 |
12:00~ | 休憩 |
13:00~ | 利用者宅に訪問し、入浴介助 |
18:00 | 退勤o |
出勤後、申し送りを行い、1日の訪問スケジュールやケアおける注意事項などを確認します。
その後、利用者宅へ訪問し、1日4〜6件のサービス提供をします。
午後も訪問の予定がある場合は、車内で休憩を取ることが多いでしょう。
午後のサービス提供を終え、事業所に戻り翌日の訪問の準備をして退勤となります。
【デメリット】訪問入浴がきついと言われる5つの理由
訪問介護は「きつい」と言われることがあります。
その理由として、以下の5つが挙げられます。
- 体力的にきつい
- 夏場は暑くてきつい
- 協調性が求められる
- 急なトラブルへの対処が大変
- 大きな車での狭い道の運転が大変
以下で詳しく解説します。
体力的にきつい
大変なところとして、まず体力的にきついことが挙げられます。
訪問入浴では、1日に4~6件訪問します。
その都度、浴槽の準備や片付け、入浴介助を行うため、体力が必要です。
また、訪問入浴で使用する浴槽の総重量は、20kg前後のものが一般的であり、力も必要になります。
エレベーターのないマンションや団地の場合は、階段を登って浴槽や備品を運ぶこともあります。
訪問入浴の仕事は、力仕事と言っても過言ではありません。
力や体力に自信がない方は、チームのメンバーに協力を求めるようにしましょう。
夏場は暑くてきつい
暑い時期の訪問入浴の仕事もきついと言われる理由の1つです。
重い浴槽や備品を運んだり、介助でお湯を使用したりするため、夏場は特にきついと言えるでしょう。
暑い中での作業は、多くの汗をかきます。
必要に応じてサービス提供や訪問の合間に水分を取り、脱水や熱中症に注意しましょう。
協調性が求められる
1日を通してチームで行動するため、スタッフ同士の人間関係が悪いとストレスを感じるでしょう。
また、決められた時間の中で必要物品の準備や片付け、入浴介助などを行わなければいけないため、チームでの役割分担や連携が欠かせません。
スタッフ間の関係性が悪いとストレスを感じるだけでなく、利用者へのケアにも影響が出てしまうかもしれません。
これらのことから、訪問入浴では協調性が求められます。
急なトラブルへの対処が大変
訪問入浴では、利用者の急変や介助中の事故、機械トラブルなどが起こる場合もあります。
入浴中は、気温や温度の差により血圧の変動が起こりやすくなります。
血圧の変動により気分不快や意識消失を起こす場合もあるでしょう。
入浴中は体が濡れているため滑りやすく、転倒や転落、表皮剥離などの事故が発生することもあります。
機械トラブルでは、備品の破損やボイラーの故障などにより、入浴を中断しなければいけなくなることもあります。
このようなトラブルが発生したときでも、慌てずに対応できるようにリスクや対処法について理解を深めておくと良いでしょう。
大きな車での狭い道の運転が大変
訪問入浴の車両は、専用のボイラーや浴槽を積んでいるため大きめのワンボックスタイプであることが多いです。
地域や自宅の状況によっては、狭い道を運転しなければならないこともあるため、運転が苦手な方は、苦戦するかもしれません。
運転が苦手な場合は、採用面接のときに事前に車両や運転の有無について確認しておくと良いでしょう。
【メリット】訪問入浴の4つのやりがい
訪問入浴におけるやりがいやメリットは以下の4つが挙げられます。
- 利用者とじっくり関われる
- 困ったときはすぐ相談できる
- 介護技術が向上する
- 勤務が規則的で生活リズムを整えやすい
以下で詳しく解説します。
利用者とじっくり関われる
サービス提供中は、1人の利用者だけの対応になるためじっくり関わることができます。
入浴の準備や片付けの際は、手際良く行う必要があるため利用者とゆっくり話すことは難しいですが、それ以外の入浴介助中はじっくり話ができます。
入浴をしながらリラックスした状態で会話ができるので話も弾み、利用者との関係も深めやすいでしょう。
また、利用者の気持ち良さそうに入浴する表情が見られたり、感謝の言葉をいただいたりすることも多く、やりがいを感じられます。
困ったときはすぐ相談できる
チームでサービス提供するため、急なトラブルや困ったときでもすぐ相談でき、安心して仕事を行えます。
介護技術が向上する
訪問入浴の業務を通して、介護技術やコミュニケーションスキルの向上が図れます。
訪問入浴利用者の約75%以上が要介護4以上で重度の方が多く、入浴介助以外にも移乗介助や更衣介助などさまざまな介護技術が必要です。
また、利用者と会話する機会も多くコミュニケーションスキルも求められます。
業務を通してこれらのスキルの習得や向上を図れるでしょう。
勤務が規則的で生活リズムを整えやすい
訪問入浴の勤務は、規則的なため生活リズムを整えやすいでしょう。
特別養護老人ホームや老人保健施設等の入所施設では、早番や遅番、夜勤などの勤務に分かれており生活リズムが乱れやすくなります。
生活リズムが乱れると疲れが溜まりやすく、体調を崩してしまうこともあるかもしれません。
それに対して、訪問入浴では9時から18時のように勤務時間が規則的になっています。
そのため生活リズムも整えやすく、体調管理もしやすいでしょう。
訪問入浴に向いている人の特徴
訪問入浴に向いている人との特徴は、以下の5つが挙げられます。
- 丁寧な対応ができる人
- 人に喜んでもらえることが好きな人
- 協調性がある人
- 体力や力に自信がある人
- 手際が良い人
利用者に気持ちの良いサービス提供をするためには丁寧な対応が求められます。
時間内に効率良く業務を行うためには、協調性や手際の良さも必要です。
また、浴槽やその他の備品は重いものも多く、体力や力に自信がある人は活かすことができます。
訪問入浴では、気持ちよさそうに入浴する表情を見られたり、感謝の言葉をいただいたりすることも多くやりがいにつながります。
人に喜んでもらうことが好きな人は、訪問入浴の仕事に向いているでしょう。
訪問入浴に向いている人の特徴については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
訪問入浴に必要な準備
利用者様の自宅を訪問して入浴介助をする訪問入浴は、必要なものを持参しなければなりません。
また、単に道具を持っていけばよいわけではなく、スムーズに進められるように流れを確認したり安全に関する確認をしたりすることも大切です。
ここからは、訪問入浴に必要な準備をご紹介します。
身体的な準備
必ず必要な準備として、利用者様の体調の確認が挙げられます。
入浴前に、体温・脈拍・呼吸・血圧を看護師が測って、問診をします。体調が万全ではない場合、安全を考慮して入浴はできません。
例えば、高血圧や発熱がある人などが対象です。
高血圧であれば安静にして様子を見ますが、発熱がある場合は医療機関への連絡も訪問入浴の業務です。
また、高血圧や発熱はないものの体調が優れない場合は、清拭や部分浴に切り替えます。
体が不自由な人にとって、入浴は負担がかかることもあります。冬場はヒートショックが起こるリスクもあるため、事前の体調チェックは必須です。
なお、体調の確認は入浴後も実施します。体調をチェックして異常がないことを確認してから、施設に戻ります。
道具や機材のチェック
バイタルチェックをして、訪問入浴ができることを確認できたら、道具や機材の確認や準備をします。
訪問入浴では指定の部屋で入浴を行うため、浴槽を運んでお湯を張りましょう。
入浴剤・石けん・シャンプーは複数種類持参して、皮膚の状態や好みに応じて好きなものを選んでもらいます。
その他必要な機材が揃っているかを確認しましょう。
安全に関する注意点
安全に入浴をするために、入浴前後の体調確認が必要です。
バイタルチェックだけではなく、問診をして体調に違和感がないかを確認しましょう。
体調に違和感がある場合は無理をせず、清拭や部分浴に切り替えます。
また、湯量や湯温、入浴時間も1人ひとりの体調に合わせることが大切です。利用者様が湯疲れしないように気をつけながら入浴してもらいましょう。
訪問入浴の研修制度
入浴のサポートは決して簡単なことではありません。
慣れていない人が行うと、手こずって時間がかかります。しかし、長い時間をかければそれだけ利用者様の負担が増えかねません。
そこで、訪問入浴サービスを提供する事業者の多くは研修制度を設けています。ここからは、研修内容や目的、重要性をご紹介します。
研修内容と目的
研修内容は目的に応じてさまざまです。
例えば、訪問入浴の基本姿勢や技術を身につけることを目的とする場合は実務研修が行われます。
実務研修では、ベテラン社員が訪問入浴をどのような流れで実施するのか、どのように動けば負担が少ないのかなどを教えます。
新入社員研修や入社後定期研修で実施されることが多い研修です。
また、基礎的な動きを理解した後にはOJTを実施する事業者も少なくありません。
OJTは、トレーナーや先輩スタッフによる同行指導や個別指導研修です。事業者によっては、レベル分けをして受講者ごとに研修内容を変えます。
研修を受けることの重要性
知識として理解をしても、それだけで思い通りにできるとは限りません。そのため、研修を受けることで、目で見て身体を動かすことが大切です。
また、研修では動きだけではなく基礎的な姿勢を学べます。利用者様の安全確保のためには、心構えの習得も欠かせません。
利用者様の身体を預かる立場であることへの理解を深め、一歩間違えれば危険を及ぼす可能性があることを知るためにも、研修を受けることは大切です。
実務経験の活用
経験豊富なスタッフがいる場合、研修を外注する必要はありません。なぜなら、ベテランスタッフが実務経験をもとに研修を実施できるためです。
セオリーはあっても、いざ現場に行くと教科書通りに行かないことがあります。臨機応変にどのような対処をすればよいのかを理解するためには、実務経験が必要です。
また、家族が将来自分での入浴が困難になった際、訪問入浴の経験が役立ちます。
このように、実務経験はさまざまな場面で活用できます。
訪問入浴の対処法
訪問入浴は、単に利用者様の入浴をサポートすればよいわけではありません。
安全な入浴のためには、コミュニケーションをとって体調を確認しながらの実施が大切です。
また、研修を受けていても思いもよらぬトラブルが発生する可能性もあります。
そこでここからは、訪問入浴でトラブルが発生した際の対応方法や利用者様のコミュニケーションについて解説します。
トラブル時の対応方法
訪問入浴でよくあるトラブルと、それぞれの対処法は以下の通りです。
- 設備や機材の不具合(浴槽のヒビによる水漏れや、整備不良によって肌を傷つけるなど)
- 定期的なメンテナンスで予防。使用頻度が高い機材や消耗品は定期的に交換する。
- 体調変動
- 入浴前のバイタルチェックと、問診によるその日の体調の確認と、その徹底。
- スケジュールの確認不足
- スケジュールの伝え忘れや確認不足は、利用者様とその家族に迷惑をかけるため、確認の徹底と変更時は速やかな連絡。
- 入浴拒否
- コミュニケーションをとって、拒否する理由を究明。安全性を伝えたり、より快適なサービスの提案をしたりするとよい
利用者とのコミュニケーション
安全のために、利用者様とのコミュニケーションは欠かせません。
例えば、普段から顔色や様子を観察していないと体調の変化に気づけないことがあります。安全のためにも、しっかりとコミュニケーションをとりましょう。
また、適切なサービスは利用者様1人ひとり違います。コミュニケーションをとることで、どの程度の湯温がよいのか、どのシャンプーやボディソープを使いたいのかなどの好みを引き出せます。
安全性だけではなく、満足度向上のためにも普段から利用者様とのコミュニケーションは重要です。
自分の体調管理
訪問入浴は慣れない場所での入浴介助となるため、施設での入浴介助と比べて介助する側の負担は増えます。
もし、体を支えている途中で倒れたら、利用者様にも怪我をさせるリスクがあります。そのため、自分の体調管理も重要です。
体調が優れない場合は、遠慮せず上司や同僚に伝えてなるべく訪問入浴に入らないようにしましょう。
訪問入浴における安全対策
利用者様の体調を適切に把握していないと、健康面でのトラブルが生じるリスクもあります。
また、入浴介助は足場が濡れていることによる転倒のリスクがあるため、安全対策が欠かせません。
そこでここからは、訪問入浴における安全対策をご紹介します。
浴槽の安全設置
浴槽にヒビが入っていると、お湯が漏れたり利用者様の体を傷つけてしまったりするリスクがあります。
浴槽は毎回使うため、利用が終わったら点検をして、不具合が起きていないかを確認しましょう。
利用者の健康状態の確認
入浴をする前に、利用者様の健康を必ず確認します。
この際、少しでも体調が優れなければ、利用者様が入浴したいといっても部分浴にしたり、清拭にしたりするなどの対策をして安全を確保しましょう。
また、入浴後も健康状態を確認します。健康状態に問題がないことを確認してからサービスを終了しましょう。
トラブル回避のためのチェックリスト
トラブルを回避するために、以下のチェックリストを活用しましょう。
- スケジュールは間違っていないか
- 健康状態を確認したか
- 浴槽にヒビが入っていないか
- 備品に不足はないか
- コミュニケーションをとっているか
- 利用者様が怖がったり、不安に感じたりしていないか
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やりがいの多い訪問入浴の仕事探しならカイゴLINKがおすすめ!
訪問入浴は、重い浴槽を運んだり、1日に数件の入浴介助をこなしたり体力的にきついところもあります。
しかし、それ以上に利用者とじっくり関われたり、感謝の言葉をいただけたり、やりがいを感じる場面も多くあります。
やりがいを感じて働くためには、職場の雰囲気や労働条件など自分にあった職場を選ぶことも重要です。
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また、給与・条件交渉や応募書類の添削や面接のアドバイスなども行い、転職活動をしっかりサポートします。
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